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撫で肩ときどき怒り肩18

时间: 2020-02-08    进入日语论坛
核心提示:カニ運転手の疑惑大学時代、私はバスと電車を乗り継いで学校に通っていた。実家は東京都下で、まだ畑や野原があちこちにあったり
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カニ運転手の疑惑

大学時代、私はバスと電車を乗り継いで学校に通っていた。実家は東京都下で、まだ畑や野原があちこちにあったり、近所で突然遺跡があるのが発見されたりするという、東京の田舎地区であった。まず私は三、四十分バスに乗って駅まで行く。そして私鉄に乗り換えるというルートを使っていた。とにかく東京都の境目なのに、今一つ開けていない土地柄のせいか、昼間バスに乗っているのは、爺さん、婆さん、それにおばさんたちばかり。まれに学生もいるものの何となーく暗い雰囲気だったのである。
そのバスは直線距離を走ればすぐ駅に着くのに、うっそうと茂った竹藪《たけやぶ》に囲まれた藁葺《わらぶき》屋根の家の前とか、破れかかった赤いよだれかけをしたお地蔵さまがそばにあるナントカ塚といった、乗降客があまりいない停留所まで遠回りしていた。そのため均一料金ではなく中間地点のナントカ塚から、料金が百十円から百二十円になるのであった。
あるとき、学校から帰る私はいつものように料金箱に百二十円を入れて座席に座っていた。そして停留所が近づいたのでブザーを押して降りようとすると、車は止まっているのにドアが開かない。おかしいなと思ってじっと待っていたがいっこうに開かない。
「すみません」と運転手に声をかけても私のことを無視している。もう一度声をかけると突然彼は、
「おまえ、ちゃんと金を入れろよ」
というのである。何のことかわからずボーッとしていると、口汚く私が百十円しか入れないのに百二十円区間まで乗った、と一人で騒いでいるのであった。
「そんなこといわれたって、ちゃんと払ったものは払ったんですけど」
といっても、そいつは、
「いや、入れてない」
とカニの甲羅のような顔をますます真赤にして怒っている。乗客もみんな困ったわねえという顔をしている。私も名誉のために何度も「払ったんだ」と頑張っても、カニはガンとしてゆずらない。払った、払わないじゃあいつまでたっても泥仕合である。私だって料金をちゃんと入れたという証拠はないし、テキも私が金をごまかしたという確固たる証拠はないのである。しかし「信用して」といってもカニにはそんな余裕などなさそうなので、私はブスッとして降車口のところで立っていた。
するとそこに山羊のようなお婆さんがよたよたと運転手のところに歩み寄り、
「私はあの人の後ろから乗りましたけど、ちゃんと百二十円払ってましたよ」
といってくれたのである。私は救いの女神にしてはちょっと年をとっているそのお婆さんにぺこぺこと頭を下げた。プシューと音をたててドアが開いて私は解放された。一時はほっとしたものの、だんだん疑われたことにすごく腹が立ち、うちの玄関のドアを開けるやいなや、母親を大声で呼びつけて運転手の無礼な一件を告げた。
彼女は「ふーん」といったあと、他にどういう人が乗っていたか聞いた。「子供連れのお母さんと、助けの女神のお婆さんと、私と同い年くらいのきれいに化粧してワンピースを着た女の子が乗っていた」というと彼女は、
「そりゃ当たり前だ。それじゃあんたは疑われる」
と自分のかわいい娘が犯人扱いされているというのに、非常にクールな判断をしているのである。母親として少しはいたわってくれるかと思ったのに、私はますます頭に血が上ってきた。
「たとえば乗客の写真を撮って、このなかに犯人が一人います。さて誰でしょう、といわれたら、ほとんどの人はあんたのことを指差すわ」
とまでいうのであった。
「どうしてよ」
「だって格好が汚いんだもん」
それについては、私も納得する。洗ってはあるものの擦《す》り切れ寸前のジーンズに運動靴。いくら太っても許容量のあるトレーナーという、年ごろの娘にあるまじきスタイル。しかしそれと人を疑う事とは別問題ではないか、と反論すると彼女は、
「世の中は、着ているもので人を判断する人間が多いの」
といって一方的に話を打ち切ってしまった。必死にバイトしてミンクのコートでも買おうかしらと本気で思った。それを着ていれば日本国では全《すべ》ての免罪符になるのではないかという気がした。
私が帰る時間と、そのカニ運転手のローテーションとがぴったりだったようで、それから何度も何度も顔を合わせた。そのたんびに私は行き先をはっきりといい、百二十円をいれたことがはっきりわかるように一個ずつ硬貨を料金箱に入れた。カニ運転手はその間しらんぷりをしていた。私が乗っているときも、カニは私に疑いをかけたように、高校生の男の子やら髪を染めた女の子にむかって、
「百二十円、百二十円」
としつこく絡んでいた。カニ運転手は「乗客の料金ごまかし絶対阻止」だけを目標に生きているようだった。最近は整理券を取って乗った分だけ下車時払いになっているバスが多いが、これは運転手と乗客の精神衛生上誠に良い方式である。この方式が採用されるまで、私みたいにどれだけの人が疑われ、バス会社にしてみればどれだけ悪いやつに料金をごまかされたかわからないだろう。これで安心してバスに乗れるとは思うものの、正直いっていまだに名前をはっきり記憶しているカニ運転手のことを、生涯許さないと思っているのである。
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