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撫で肩ときどき怒り肩69

时间: 2020-02-09    进入日语论坛
核心提示:カラオケビデオ情報に人類の不気味さを見た私は今まで一度もカラオケで歌ったことがない。仕方なく取材やらつきあいやらで、三回
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カラオケビデオ情報に人類の不気味さを見た

私は今まで一度もカラオケで歌ったことがない。仕方なく取材やらつきあいやらで、三回ほどカラオケスナックに行ったことはあるが、自己陶酔にひたる俄《にわ》か歌手の歌をききながら、「みんなよくやるなぁ」と思っていた。カラオケのどこが面白いのか、ちっともわからない。だいたい私は自分の声が大嫌いなのだ。喋っている声でさえ聞くとうんざりするのに、そのうえ歌うなどというおぞましいことはできない。中学生のころは、音楽の時間にアルトのパートにいて歌っていると、先生は困った顔をして、「しょうがないなぁ。よし、お前、テノールやれ!」といわれた。私はただ一人、男の子の中にまじってムッとしながら�野ばら�なんかを歌っていたのである。高校生のときは、「体つきは十分オペラ歌手並みなんだけどねぇ。どうしてそんな声しか出ないんだろう」と教師に不思議がられたくらいのヒドさなのである。ところがカラオケスナックで、小指をピクピクさせながら熱唱しているおじさんたちは、自分がダミ声だろうが胴間声だろうが全くおかまいなし。自分が気持ちよければ周りの人間などどうでもいいようなのだ。
私は根がキライなものだからカラオケブームなんて、すぐすたれると思っていた。ところがなかなかこの業界もしぶとい。決まったキーでしか歌えないという不満にはキーチェンジャー付きの機械を、自分の歌唱力の評価を望む向きには、点数が表示されるものを出す。そして現在は、ビデオカラオケが主流になっている。
この略してビデカラは、カラオケファンにいわせると、映像と共に歌詞が出てくるから、曲さえ知っていれば、画面を見ながら歌えるのが利点だそうだ。物覚えが悪くなってきた中年にはうってつけといえよう。私は三大スケベビデカラを見せてもらったことがあるが、一本は、ポルノ女優・水月円《みなづきまどか》を起用してそれなりに製作者の意欲を見せていたが、あとの二本は着物姿の過去のありそうな二十七、八の女が、いかにもヒヒジジイといった男にベロベロとあっちこっちナメまわされたり、ひなびた旅館に泊まっている女が、浴衣姿で一人身もだえる、という、どうしてそうなるのか全然わからないストーリーなのである。おまけによくよく見ると、ヒヒジジイになめまわされる女と一人身もだえる女とが同一人物で、同じモデルを再使用しているところに、この業界の苦しさを垣間見たような気がした。「歌わなくても、けっこうビデカラって面白いでしょ」とスナックのお姉さんはいったが、私は裸の女が画面に登場するたびに、スルメをしゃぶりながら「おーっ」とうめいて画面を凝視する、サラリーマンのふぬけた顔を見ているほうが、よっぽど面白かった。花見にまで、わざわざビデカラを持っていって歌いまくる人もいて、カラオケ人類はいったい何を考えているんだか私には想像できないのである。
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