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撫で肩ときどき怒り肩73

时间: 2020-02-09    进入日语论坛
核心提示:脱脂粉乳のイッキ飲みにタッちゃんの面影を見た「給食」ときくと、どうも私には良いイメージがない。特に小学校の低学年の頃は、
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脱脂粉乳のイッキ飲みにタッちゃんの面影を見た

「給食」ときくと、どうも私には良いイメージがない。特に小学校の低学年の頃は、悲惨な記憶しかないのである。昭和三十年代に私は小学校に通っていたが、勉強より何より、給食を残さず食べるということが、人生の一番初めの試練だったような気がする。
生まれて六年目の私たちは、給食の時間が待ちどおしくもあり、また苦痛だった。担任の先生が、パン以外のものを全部食べ終わらなければ、家に帰してくれなかったからだ。私はおいしくないなぁとは思いつつも、いつもちゃんと給食はたいらげていたから、泣きながら給食を食べたことはなかった。しかし登校下校がいつも一緒だった、タッちゃんが好き嫌いが激しくて、嫌いなおかずがでるとすぐ目をうるませて、「ボクが食べ終わるまで待っててね」と哀願するのであった。私はコッペパンをわしわしと食べながら、「うんいいよ」と答えるのが常であった。しかし、さすがにあの脱脂粉乳を飲むときは、決断が必要だった。アルミのカップに入っているミルクの表面には、薄い膜まで張っていて気持ちが悪く、冷たくなるとマズすぎて飲めないので、ほどほどにさめたときに息を止めてぐわっと一気に流しこんだ。
あるとき、いつものように下駄箱のところでタッちゃんを待っていると、うつろな目をして彼はやってきた。
「早く、帰ろ」
といっても、タッちゃんはボーッとしている。おかしいなと思って顔をみると、静かに泣いているではないか。
「どうしたの」
ときくと、どうしても、おかずの酢豚が食べられずに、先生の目を盗んで靴下の中に入れたのだ、という。タッちゃんの左足からは、じわじわと酢豚がにじみ出していて上履きにシミが広がっている。私はあわてて彼を校庭の足洗い場につれていって、足を洗わせた。証拠品の左足の靴下は花壇の植えこみの中に隠し、上履きは捨てると書いてある名前からアシがつくので、ブラ下げて家に持って帰るように! と命じた記憶がある。
献立は、ただ栄養素だけが満たされればいいといった感じで、ちくわを油で揚げて青ノリをふった�ちくわの磯辺揚げ�が出てきたときに、私は子供心に「こんなもんでコッペパンが喰えるか!」とムッとした。そのうえ、コッペパンも油で揚げてきな粉をまぶしたものまであった。ランドセルの中に入れて持って帰ると、油がしみ出てノートにシミができるのも悲しかった。おしるこの中に、貝の形をしたマカロニが入っているのも解せなかった。自らすすんでおかずのおかわりをする子を私は横目でみながら「変な奴」と思っていた。その後、何年もたって、あの脱脂粉乳はブタのエサだったらしいという噂をきいて、「成長期にそんなもの食べさせられたら、私の足が短いのも当然だ」と未だに恨んでいる。
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