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撫で肩ときどき怒り肩86

时间: 2020-02-09    进入日语论坛
核心提示:子泣きジジイと共演 原節子の姿を観たのも感動したが、それと同じくらいジーンとしたのが、神田隆の姿を初めて観たことであった
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子泣きジジイと共演
 原節子の姿を観たのも感動したが、それと同じくらいジーンとしたのが、神田隆の姿を初めて観たことであった。私は彼が亡くなったことを新聞記事で知ったが、普通の死亡記事ではなく、けっこう大きく扱われていたので、「この人は、昔、活躍した俳優さんなんだな」と思っていた。映画の中の彼は、優男《やさおとこ》ふうではなく、明るくて健康的などちらかというと、スポーツマンタイプの男性であった。
「そうか、この人がこのあいだ亡くなったわけね」と私は、若かりし頃の彼の姿を観て感無量であった。ところが、それから一週間もたたないうちに、私はもっと年配になった彼の姿を観た。仕事がらみで「妖怪大戦争」という、一九六八年製作の映画のビデオ版を観たのだが、偶然それに出演しておられた。バビロニアの妖怪《ようかい》「ダイモン」にのりうつられる、情け深い代官様という役柄であった。屋敷の池に棲《す》みついているカッパや、日本の妖怪がそれを知り、ダイモンと闘って勝利をおさめる、というお話で、なかなかおもしろかった。しかし、かつてはパリッと背広を着こなしてスクリーンに登場した彼も、仕事とあれば子泣きジジイやカッパと、共演しなければならないのである。俳優という仕事もなかなか大変だったようである。
そのほかこの番組では、今でも活躍している女優や俳優の、若い日の姿を観ることができる。八月三十日は、一九五三年製作、徳田秋声原作の「縮図」が放送された。貧しいために、芸者に売られてしまった銀子という女の半生記である。出演者のなかには、山田五十鈴、逢初夢子、奈良岡朋子の名前があった。主演は乙羽信子である。一番最初に、ゆでたまごみたいにつるつるした顔に、おさげ髪の乙羽信子がでてきたときはビックリしたが、初々しくてかわいい。山田五十鈴はヒステリックな芸者置屋のおかあさんで、今みたいにふっくらゆったり、という雰囲気ではなくて、典型的なうりざね顔の細面美人であった。「安城家の舞踏会」では、華族の出戻り娘を演じ、イブニング・ドレスを着て優雅に歩いていた逢初夢子も、「縮図」では育ちのよろしくない芸者役であったが、両極端の役をそれなりに、こなしていた。小沢昭一がでてる、と思ったら、若い頃の芦田伸介だったりして、これにもビックリした。
なかでも、私が一番親しみがあったのは、奈良岡朋子である。ところが、どんな役ででてくるか楽しみにしていたのに、映画がおわってもどこにいたのか全然わからない。おかしいな、と思ってビデオをまわしてみると、何人もいる芸者の中の、芸者Cといった役どころで、セリフも「やらせ、やらせ」というだけ。今やベテランといわれている女優も、最初はその程度のことしかやらせてもらえなかったわけである。ヘタをすると、おばさん女優は、「いただきます」にでてる面白い人ぐらいにしか、みられないこともありうる。永いこと業界で生き残ってきた間には、いろいろなことをしてきたはずである。私はそれが知りたい。
だから自分でも暗いなあと感じつつ、土曜の深夜たったひとりで、モノクロの画像がちらつく映画をみているのである。
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