『グリム童話集』の「運のいいハンス」の類話です。チンゲルレ兄弟の口伝えによる昔話集にチロル地方のラッテンベルクの話として紹介されています。まぬけな主人公が、大きなものから小さなものへと交換していき、その無欲さのおかげで、最後に高価な代償を手に入れる笑話ですが、同じモチーフが『アンデルセン童話』の「父さんのすることはすべてよし」にもみられます。
アンズダケは南ドイツからオーストリア地方にできるごく一般的な食用きのこです。アンズダケという言葉は俗に「とるに足らないもの」という意味にも使われます。そんな意味から、鶏飼いの娘がハンスに鶏のフンを包んでわたしたのかも知れません。