ヨーロッパを中心に広く語られている異類婿の話です。ギリシャ・ローマ神話の中の「アモールとプシュケ」も同じタイプの話で、古くから語られていたことがわかります。
この話は、現在のアイルランド共和国リートリム県で一八九三年ころ記録されました。語り手は十四歳の少年で、この話を母親から聞いたといいます。母親は自分の父ジョン・ティーグから聞いて覚えたということです。ジョンとその父は語りの名人として評判が高く、アイルランド語(アイルランドのケルト語)で語っていたそうです。この話は語り手が自分で書きとめたものですが、話の中の「オレンジの牛」という言葉は語り手も意味がわからないと言うことです。