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海嶺93

时间: 2020-02-28    进入日语论坛
核心提示:再び重右衛門日記九月四日今日は何という悪日ぞ。岩松音吉、朝飯《あさめし》に握り飯と藻の酢の物を調《ととの》えくれたれば、
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 再び重右衛門日記

九月四日
今日は何という悪日ぞ。岩松音吉、朝飯《あさめし》に握り飯と藻の酢の物を調《ととの》えくれたれば、一同|殊《こと》の外《ほか》うましと食いたるなり。その後、辰蔵|梯子《はしご》を登りて櫓《やぐら》に行く。これ辰蔵の慣《なら》いなり。辰蔵は来る日も来る日も飽くことなく島影見ゆるを望み居たるなり。櫓に登りて手枕《てまくら》をし、何処《いずこ》にか島見えんと一日待ち居たるなり。その辰蔵の後を、珍しく利七追い行きたり。日頃水主《ひごろかこ》部屋の片隅《かたすみ》に籠《こも》り居し利七、ようやく元気になりしかと話し居りしに、突如《とつじよ》大声にて叫ぶ声櫓の方より聞こゆ。仁右衛門|苦々《にがにが》しげに又|喧嘩《けんか》なるべしと言う。岩松、梯子を登りて仲裁に行きしが、直ちに大声にて吾《われ》らを呼ぷ。二人の姿なしと。皆々打ち驚きて登り行くに、辰蔵も利七も姿なし。岩松、腰に綱を結びて辺《あた》りを泳ぎ探しまわれど、如何《いか》なることにや、遂に二人を見出《みいだ》す能《あた》わず。かくて皆々語り合う。恐らく利七、うしろより辰蔵の首を締め、諸共《もろとも》に櫓より海に落ち、沈みたるべしと。さるにても、辰蔵も利七も泳ぎ得る者なるに、海の中に欺《か》くも脆《もろ》くも果てしものなりや。今にして思えば、辰蔵虫の知らせたるにや、利七を同じ部屋に寝さしむるは危険と言いしことありき。いつ吾《われ》らを殺《あや》めるか知れずと言いき。よもやと思いて打ち捨て置きしこと、只々《ただただ》悔ゆるのみ。遂に総勢六人となりたり。夜、遺骸《いがい》なき二人のために経を読む。
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