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真夜中のサーカス33

时间: 2020-03-21    进入日语论坛
核心提示:空中ブランコ四女の家は、漁師町のはずれにあって、五年ほど前までは半農半漁でまず人並みの暮らしを立てていた。女の亭主という
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空中ブランコ

女の家は、漁師町のはずれにあって、五年ほど前までは半農半漁でまず人並みの暮らしを立てていた。女の亭主というのは、小心な働き者だったが、畑を半分、別荘づくりの不動産屋へ売り渡して、みたこともない金を手にしてからというもの、すこし、様子がおかしくなった。
その金を、すこしでも殖やすことに異様な情熱を傾けるようになった。殖やすといっても、町の旦那衆のように株を買ったり、値上りしそうな土地を|漁《あさ》ったりするわけではない。|怕《こわ》くて、とてもそんなものには手が出せない。
株なんて、あれはただの紙きれである。土地なんて、掘っても掘っても土ばかりではないか。自分の畑が、いい見本である。不動産屋がうまい具合に目を留めてくれたから金になったが、あれがちょっとでも|斜視《やぶにらみ》だったら、畑はおそらく永久に畑以外のなにものでもなかっただろう。
金は、現金でなければ、信用できない。すこしずつでもいいから、現金だけを殖やすのがいい。
亭主は、漁に使っていた小船を売り払ってしまった。野良へ出て働くこともやめてしまった。突然、東京へ|出稼《でかせ》ぎにいくといい出した。まさかと思っているうちに、本当にいってしまった。
それからもう、五年になるが、|勿論《もちろん》、五年も家を留守にしたわけではなく、盆や正月、それに、仕事の替わり目などに、ひょっこり帰ってきたりする。今度も、五日ほど前に、なんの前触れもなく、貯めた札束を土産にひょっこり帰ってきた。
けれども——女はそれが嬉しくて、今夜馴れない酒に酔っているのではないのだ。
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