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大都会24

时间: 2020-04-13    进入日语论坛
核心提示:樹冠炎「やあ」岩村は軽く手を上げると、人なつっこい微笑をたたえて歩み寄って来た。「久しぶりだな、奥さんとは、もう三年にな
(单词翻译:双击或拖选)
樹冠炎

「やあ」
岩村は軽く手を上げると、人なつっこい微笑をたたえて歩み寄って来た。
「久しぶりだな、奥さんとは、もう三年になりますかな? や、この坊やが雄一君ですか、ずい分大きくなったもんだなあ」
岩村は渋谷一家の前に立つと家族三人の顔をこもごも見比べながら大げさに言った。
「まあ、坐れよ」
渋谷にうながされて岩村は腰を下しながら、
「しかし、奥さんやお子さんも一緒とは知らなかったな。で、いつ出てきたんだ?」
「一昨日だよ。急な社命でな」
「一昨日? 手紙では昨日のはずだったぞ。何故もっと早く知らせないんだ?」
岩村がやや詰《なじ》るような口調で言うのへ、
「いや、少し予定変更になってな、一昨日は大分遅く着いたし、昨日は一日中、とび廻っていたもんだから」
「まあいい、それで宿は?」
「このホテルに取ったよ」
「ますますもってけしからんな。東京には俺の家があるんだぞ、大して広くもないが、このホテルよりずっと心のこもったもてなしはできる。お前、いつからそんなに水臭くなったんだ?」
「いやあ、すまんすまん、別に水臭くしたわけじゃあない。今度はコブ付きで出てきたし、それにお前にはこの前のことで大分迷惑をかけたようだから、何となく敷居が高くなってしまったんだ」
渋谷は岩村を通しての菱井電業からの誘いを断ったことを言ったのである。
「あんなことは忘れろ。あれは企業人としてのことだ。私人としての俺達のつきあいには何の関係もないことだ。困るなあ、そんなことをいまだに言ってるようじゃあ」
「いやあ、お前にそう言われると俺も救われるよ。しかし、花岡との板ばさみになって俺は本当に苦しかった」
「もうそれを言うな、今夜は久しぶりに旧い山仲間《ザイルパートナー》が再会したんだ。昔の山の話を思い切り語ろう。奥さんもいることだし」
「お前、本当に気にしてないのか?」
「くどいなあ、そらそら、奥さんがアクビをしておられる。すみませんねえ、こんな話題になってしまって」
岩村はおどけた身振りでペコリと頭を下げた。
「いやですわ、アクビだなんて。私、ちっとも退屈なんかしてませんことよ」
渋谷はるみは軽くにらんだ。ちょうどその折、ホテル専属のバンドが、演奏を始めた。曲目は山のロザンナ。——
ここは、東京赤坂の高台にある日本最初の超高層建築を誇るホテル大東京三十六階にある回転展望台�ブルースカイサロン�である。
渋谷一家と岩村元信はその一隅に席を占めて久しぶりの再会に話をはずませていた。
新幹線でわずか一時間半の東京と名古屋にいながら渋谷が協和電機の第二中央研究所に閉じこもっての研究三昧、岩村の方も大阪へはよく出張するが、名古屋へ途中下車《ストツプオーバー》することはめったにないために二人はあのスカウト勧誘以来会っていない。
今度の渋谷の出張も社用とはいうものの、慰労の性格が濃いものである。研究所浸りの渋谷の身体を星川副社長が心配して、社命でなければ研究所から容易に出ようとしない渋谷のために、ほんの口実の軽い社用に結びつけて一週間ほどゆっくり遊んでこいと送り出したものだった。
几帳面な渋谷はそれを昨日一日がかりで片づけ、やっと今日旧友の岩村にお呼び出しがかかったという次第である。
「山へもしばらく行ってないな」
蒼茫たる黄昏を重畳たる山脈の彼方から呼んでくるような山のロザンナの調べに、渋谷は遠い眸をした。
折りしも、一時間に一回転する展望台は山手方面にめぐり、眼路のかぎりのビルと甍《いらか》の波の彼方に奥多摩や丹沢の山塊が、青い雲の影のように流れている。
「もう山には新雪がきているかもな」
岩村が言った。彼が言った山とは彼らの青春の舞台であった不帰岳を指していることは言うまでもない。
「ああ行きてえな」
この時ばかりは渋谷の技術者としての冷たい光りを湛えた眸にも、かつての日のアルピニストの熱い輝きがよみがえっていた。
「どうだ、久しぶりに一緒に行ってみないか? 二、三日の暇ぐらいどうにでもなるんだろう?」
岩村が急に思いついたように言った。
「山へか? しかし、今度は女房子供を連れているし」
「奥さんも行けるところにすればよい」
「でもなあ」
「秩父の前衛に外秩父高原と呼ぶ五、六百米の低山帯がある。低山とはいっても人造湖だが湖もあるし、森も深い。尾根筋からは関東平野がよく見渡せる」
「外秩父か」
渋谷は悪くないなと思った。熾烈な日の光と高燥な大気に身を晒して絶え間ない緊張を強いられる高山は、今の自分には時間的にも体力的にも文字通り高嶺の花だ。それよりも湖や森に囲まれた優しい草山、初秋の広々とした風景の中に、麦藁《むぎわら》色の穏やかな陽光を浴びて自分自身、その風景のように空しくなりたかった。
「今度、うちの社で外秩父のアマメクボ山という小さな山を一つ買ったんだ。社員厚生施設の一つとして菱井電業専用のキャンプ場にする予定だ。来春店開きなんだがもうほとんどでき上がっている。中腹まで車で上がれるから頂上へ奥さんでも行けるよ」
「山を買った!? さすがに大企業となるとやることが派手だな」
渋谷は驚いた。社員の厚生施設として山を買うなどとは、とても彼の旧社では考えられないことだったからだ。
「アマメクボ山、行ってみたいわ」
渋谷の妻が目を輝かした。
「車から降りて頂上までこの子でも登れるかしら?」
それでも少し心配顔で質《たず》ねるのを、岩村は押しかぶせるように、
「大丈夫ですとも、地元の幼稚園が遠足に行く所です。何だったら、バンガローに泊まれるように手配しておきますから」
「わあ、キャンプもできるのですか? ねえあなた、行きましょうよ。あなたはいつも私に山の話を聞かせるばかりで連れて行って下さったことは一度もないじゃない。こんないい機会はないわ」
彼女は女学生のように目を輝かせた。
「そうだな」
渋谷はうなずきながら、ふと、遠い日、岩村と大阪にいる花岡と三人で冬山行の足馴らしに、秋草をふみ分けて歩いた奥多摩辺の茫々たるカヤト(草原)の尾根を想い出した。
「うわあ、きれいだぞう、ママア、パパア早く上がっておいでよ」
展望台の上から雄一が大はしゃぎに叫んだ。
「雄ちゃん、あんまりはしゃぐと落っこちるわよ」
はるみが下から心配そうに言った。しばらく後、展望台の上で顔を揃えた親子三人の幸福なさんざめきが山の静かな空気を震わせた。
山頂はササを混えた一握りの明るいカヤトであり、その上に火の見|櫓《やぐら》のような展望台が急造されてある。
標高六百米弱の低山でありながら、山頂近くまでびっしりと生い茂った、秩父特有の密度の濃い樹林は、展望台のおかげでさしたる展望の障害にならない。
傾きかけた初秋の午後の光の中に外秩父の柔かな山脈が幾重にもたたなわっている。その彼方に奥秩父の濃く鮮かな稜線、さらにはるかには日光、赤城、上信越の山群が薄青い煙のように流れている。そして頭をめぐらせば青くけむった関東平野と銀蛇のようにきらめきながら流れ去る荒川の流れ。
「なるほど、これは素晴しいな」
山馴れしているはずの渋谷も嘆声を洩らした。
「来てよかったわ、本当に」
はるみも目を細めた。
「今夜はどうせバンガロー泊まり、ここでゆっくり遊んでいきましょうね」
彼女はすっかり童心に帰って言った。
「しかし、炊事の支度を岩村ばかりに任せておいていいかな?」
「いいでしょ、私達、今日はお客様だもの」
「いや、そういう意味ではなくて、あいつに任せておくと何を喰わされるか分らないからさ」
「あらっ、それは大変」
「あのおじちゃん、そんなに下手なの?」
「ああ、下手だよ。パパの学生時代、仲間で一番下手だった。おかげで彼はいつも炊事当番から外されていたんだよ」
「いやだなあ、僕そんなまずいもの」
「はっは、大丈夫、大丈夫。パパもママもついている。雄坊の口に合うものをすぐ作ってやるよ」
三人は秋の山の陽を全身で受け止めながら笑った。久しぶりの、本当に久しぶりの親子水いらずの団らんであった。
外秩父、アマメクボ山、岩村に誘われた渋谷一家は岩村の運転するセドリックで東京を朝ゆっくり発ち、暮れるに早い秋の陽がまだ大分高いうちにその山頂に立っていた。
車は中腹の扇平というススキの穂波の美しい草原まで入り、そこから小一時間ほどの樹林帯のゆるやかな登りの後、この頂きに立てるのである。
キャンプ場は扇平にある。頂上までの道は一本道で迷う心配もないところから、岩村は炊事当番ということでそこに居残った。さすが、大菱電が買い取った山だけにキャンプ場の設備も申し分ない。バンガローといっても下手な一戸建の家よりずっと立派なものだった。
「頂上でゆっくり遊んでこいよ。夕飯は俺が腕をふるってやるから」
岩村はそう言って渋谷達を送り出したのである。
「そろそろ下るか」
「そうねえ、風が少し冷たくなったようね」
陽は武甲山の肩に大分近づいたようである。
「樹林帯で日が暮れると足許が危ないからな。さあ、雄一、行こう」
渋谷はまだ去りがてにしている子供の手を握った。
「お父さん、へんな匂いがするよ」
雄一は父親に手を取られながら鼻をうごめかした。
「へんな匂い、どんな?」
「きな臭いよ、何か燃えてるみたい」
渋谷はきな臭いなどという語彙《ごい》をこの幼児が知っていたことに感心しながら、
「きな臭い? 気のせいだろう。お父さんには何も匂わない」
「ほんとだよ、くさいよ、確かに」
「そうかなあ」
渋谷がつぶやいた時、妻が、
「あらっ、あの煙は何かしら」
と下山道の方を指さした。見れば薄青い煙が樹林の間から頂上のカヤトに向かって二筋三筋、霧のように流れ出している。
「へんだな」
渋谷は初めて眉を寄せた。
「山火事かしら?」
「まさか!」
妻が心配そうに言うのを押しかぶせるように否定しながらも、彼は何となく心が忙しくなるのを感じた。
「とにかく、早く下りよう」
展望台の心細い梯子から、二人を助け下ろしながら、渋谷は煙の原因を気忙しく考えた。
——自分は煙草を吸わない。それでは、誰か他のハイカーか? しかし、今日は、誰にも出会っていない。登山道は一本道だし、不心得な猟師の焚火の不始末か?——
「パパア、この道下れないよ」
子供の声に渋谷は愕然とした。密度の濃い樹間を縫う一本の登山道は、そのまま煙道となって、何処か分らぬ火源によって作られた大量の煙を集めて煙突のように吐き出している。
「弱ったな」
下山路は一本だけ、他に道はない。自分一人ならこのくらいの低山、道がなくとも平気だが、足弱の女子供に藪こぎはさせられない。
まして、こんな事態は予想だにしていなかっただけに、鉈《なた》や鎌の用意もない。下手に道から外れれば低山特有の藪に身体を縛られて、にっちもさっちもいかなくなる。
そうしている間にも、煙の密度と量はますます大きくなった。
ぱちぱちという粗朶《そだ》の弾ぜる音、煙の奥にはすでに赤い炎舌すらちろちろとからんでいるではないか! しかも風は下から吹き上げてくる。
この時はじめて渋谷の心に慄えが起きた。
「こっちへ来て!」
渋谷は取りあえず反対側の山腹に避難することにした。扇平から岩村らが救助に駆けつけてくるまで、何とかもちこたえればよい。
それに火が山頂に達すれば、反対側の山腹から風が吹き上がってくるから、火はなかなか、風下の山腹を下れない。いざとなれば、渋谷は道のない山腹を下るつもりであった。藪の茨や刺《とげ》で身体中を引掻かれても、バーベキューになるのよりはましである。
それにしても何という火のまわりの早さだろう。ここ数日の好天と、からからに枯れ切った落葉や下草は山火事の理想的な温床となっているにちがいない。
「パパア、怖いよ」
「あなたあ、どうしましょう」
「心配するな、岩村がすぐ駆けつけてくれる。それにこれくらいの山火事はよくあること�ん、へんな匂いがするよ」
雄一は父親に手を取られながら鼻をうごめかした。
「へんな匂い、どんな?」
「きな臭いよ、何か燃えてるみたい」
渋谷はきな臭いなどという語彙《ごい》をこの幼児が知っていたことに感心しながら、
「きな臭い? 気のせいだろう。お父さんには何も匂わない」
「ほんとだよ、くさいよ、確かに」
「そうかなあ」
渋谷がつぶやいた時、妻が、
「あらっ、あの煙は何かしら」
と下山道の方を指さした。見れば薄青い煙が樹林の間から頂上のカヤトに向かって二筋三筋、霧のように流れ出している。
「へんだな」
渋谷は初めて眉を寄せた。
「山火事かしら?」
「まさか!」
妻が心配そうに言うのを押しかぶせるように否定しながらも、彼は何となく心が忙しくなるのを感じた。
「とにかく、早く下りよう」
展望台の心細い梯子から、二人を助け下ろしながら、渋谷は煙の原因を気忙しく考えた。
——自分は煙草を吸わない。それでは、誰か他のハイカーか? しかし、今日は、誰にも出会っていない。登山道は一本道だし、不心得な猟師の焚火の不始末か?——
「パパア、この道下れないよ」
子供の声に渋谷は愕然とした。密度の濃い樹間を縫う一本の登山道は、そのまま煙道となって、何処か分らぬ火源によって作られた大量の煙を集めて煙突のように吐き出している。
「弱ったな」
下山路は一本だけ、他に道はない。自分一人ならこのくらいの低山、道がなくとも平気だが、足弱の女子供に藪こぎはさせられない。
まして、こんな事態は予想だにしていなかっただけに、鉈《なた》や鎌の用意もない。下手に道から外れれば低山特有の藪に身体を縛られて、にっちもさっちもいかなくなる。
そうしている間にも、煙の密度と量はますます大きくなった。
ぱちぱちという粗朶《そだ》の弾ぜる音、煙の奥にはすでに赤い炎舌すらちろちろとからんでいるではないか! しかも風は下から吹き上げてくる。
この時はじめて渋谷の心に慄えが起きた。
「こっちへ来て!」
渋谷は取りあえず反対側の山腹に避難することにした。扇平から岩村らが救助に駆けつけてくるまで、何とかもちこたえればよい。
それに火が山頂に達すれば、反対側の山腹から風が吹き上がってくるから、火はなかなか、風下の山腹を下れない。いざとなれば、渋谷は道のない山腹を下るつもりであった。藪の茨や刺《とげ》で身体中を引掻かれても、バーベキューになるのよりはましである。
それにしても何という火のまわりの早さだろう。ここ数日の好天と、からからに枯れ切った落葉や下草は山火事の理想的な温床となっているにちがいない。
「パパア、怖いよ」
「あなたあ、どうしましょう」
「心配するな、岩村がすぐ駆けつけてくれる。それにこれくらいの山火事はよくあることなんだ」
おろおろする二人を渋谷は、反対側の山腹に見つけた岩かげでしっかりとかかえ、元気づけるように努めて明るく言った。
遠い山麓の村で半鐘が鳴っている。渋谷にはそれが癪にさわるほど間のびして聞こえた。
子供が大きく噎《む》せた。気まぐれな風の流れに濃い煙の帯が吹きよせられたからであった。
——岩村、早く来てくれ!——
渋谷は祈った。まさか焼き殺されるとは思わなかったが、この凄じい火勢を見ては、ふと不吉な連想が心に忍び寄るのを振り切れなかった。
「あっ、パパ、展望台が」
雄一の叫び声に渋谷は目を上げた。頂上台地に吹きのぼった炎は、カヤトの枯れ草を一瞬に舐《な》め尽くして、展望台の脚から這いのぼり、仕掛け花火のように炎の輪郭を浮き立たせた。
「ここは危ない、もう少し、下へおりよう」
渋谷は藪を分けた。山頂に近いので煙や火の粉が時折りふりかかる。
「あっ、あなたあ、こちら側からも煙がくるわ」
妻が絶叫した。
「そんな馬鹿な!」
山頂を囲んで山麓にぐるりと放火でもしないかぎり反対側の山腹からも火がのぼるということは考えられない。それとも飛び火したのか?
「こ、これはどうしたことだ」
渋谷は呻いた。彼らがこれから下ろうとした藪の彼方からも、登山道側と同じくらいの密度で煙が吹きのぼり始めたではないか!
いつの間にか周囲に澱んだ夕闇の中で、下方が際立った明るさに映えているのも火勢の強さを物語っている。
風が起きた。
「あなた!」
「パパア!!」
二人が渋谷にしがみついた。
「がんばれ! 探すんだ、逃げ径は必ずある」
渋谷は必死に二人を励ましながらも、深い藪に手足を縛られて身体を自由に動かせなかった。
ごうという風音と共に黒い煙が三人にまともに吹きつけた。
「苦しいよう」
雄一が遂に泣き出した。頭上で何か崩れ落ちる音がした。炎に侵蝕され尽くした展望台の焼け落ちる音であった。
「がんばれ! 山火事は長続きしない」
と渋谷は言ったつもりだったが、のどが煙に爛《ただ》れてすでに声にならなかった。はるみと雄一が渋谷にしがみつき、酸素不足の金魚のように口をパクパクさせているのが、異様な鮮烈さで渋谷の網膜に焼きついた。
「岩村! 俺達を助けろ」
渋谷は最後の音声を振りしぼった。それが声になったか、ならなかったか、火流線に伴う燃焼音はその確認を妨げた。樹林を這いのぼる炎が梢に達し、樹冠から凄じい火の粉となって折りからの夕焼けの空の赫さをいやさらに濃く深く染め上げるのを、渋谷は何か信じられないものを見つめるような眼つきをして見ていた。
   ハイキングの一家火傷死
——(秩父)十月七日午後三時頃、埼玉県秩父郡東秩父村天窪、通称アマメクボ山(東京都千代田区竹平町菱井電業KK私有地)の山林より出火、同山地約〇・五ヘクタールの山林を焼いた。
たまたま同山にハイキングに来ていた渋谷夏雄さん〈名古屋市昭和区御器所町二十三、協和電機KK技師長(二九)〉一家は山頂付近で逃げ道を失い、妻、はるみさん(二五)、長男雄一君(四)の二人は焼死体となって発見された。渋谷夏雄さんは全身火傷で秩父病院に収容されたが重態。
秩父署では出火原因について調べている。——
 翌十月八日午前九時半、菱井電業の社長室で盛川達之介はソファにゆったりと腰をおろして、秘書の運んできた新聞の社会面に無感動な目を通していた。
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