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死体は語る27

时间: 2020-04-14    进入日语论坛
核心提示:愛の頬ずり昭和四十年五月、ある大学のワンダーフォーゲル部が、新人強化訓練のため、奥秩父縦走コースに出発した。約三〇キロの
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愛の頬ずり

昭和四十年五月、ある大学のワンダーフォーゲル部が、新人強化訓練のため、奥秩父縦走コースに出発した。約三〇キロの荷物を背負っての山道に、新入生たちは次々にへばって落伍《らくご》し、先輩に気合いを入れられ、集団暴行なみのシゴキを受けたのである。
そのため、新入生の一人は歩行不能となった。家族に連絡され、付き添われて帰宅した。家で寝ていたが、二日後尿量が減少し、胸が苦しいと訴えた。三日目に無尿となり、嘔気、血痰をはき、呼吸困難となって、五日目に入院したが、時すでに遅く、翌早朝急激な血圧低下から死亡してしまった。全身打撲による外傷性二次性ショックという診断であった。
検死すると、臀部《でんぶ》を中心に広い範囲に強度の皮下出血と腫脹がみられた。頭部に損傷はない。素人考えで、頭には脳があるから殴っては危険だ、臀部は筋肉だけだからと、そこを中心に殴る蹴るのシゴキが加えられたのであろう。
しかし、皮下、筋肉の出血が強度となると、ミオグロビンという物質が発生して腎臓につまり、徐々に尿が出なくなり、尿毒症となって、腎不全から死に至ることがある。人間を教育するのに、どの部位であろうと殴る蹴るなどの暴行は許されない。
この事件は、司法解剖の結果などを踏まえ裁判官は、錬成の限界を越えるとして七被告全員を有罪にした。しかし、被告たちは将来性のある青年たちであり、深く反省し大学当局とともに被害者の家族に詫びて、その許しを得ている。遺族もまた、悲しみを乗り越えて被告たちを許しているので、執行猶予になった。
 最近、同じような事件があった。校則で禁止されているヘアードライヤーを使用したとの理由から、教師が生徒に体罰を加え死亡させるという、いたましい事件である。教育的懲戒と無縁の暴行であるとして、体罰教師に懲役三年の判決があった。教育の場から傷害致死の現場になるなど、許されないことである。言っても言うことを聞かないから、つい手が出てしまう。やられた方は、反抗的態度に出る。頭にきた教師は暴行をふるう。口論からけんかへとエスカレートし、もはや先生と生徒という関係ではなくなってしまう。
息子から聞いた話であるが、中学の音楽の先生が生徒への罰として、愛の頬ずりをするというのである。人一倍ひげの濃い先生が、いたずら坊主を抱きかかえて頬ずりをする。やられた生徒はタワシでホッペをこすられるようで、痛い痛いと顔をのけぞって笑いだす。クラス全体が爆笑する。すばらしい先生と生徒の関係だ。
動物などの訓練でも決して怒ったりはせず、かわいがり、芸ができると食べ物を与えながらやっている。教える側と教わる側の信頼関係が、愛情という絆でつながっている。
新聞・テレビなどによると、教育の現場は想像以上に荒廃している。専門家でもなく、この問題にとくに関心があるわけでもないので、安易な批判など許されないと思うが、教育の場ではなく、社会的最小単位である家庭のあり方から出直さなければ、この問題は解決しないような気がする。
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