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国盗り物語19

时间: 2020-05-25    进入日语论坛
核心提示:西村勘九郎 深芳野のからだに酒が入ったわけではないのに、酔いが夜ふけまで残った。かるく、頭痛がする。(なんと異様な男か)
(单词翻译:双击或拖选)
西村勘九郎

 深芳野のからだに酒が入ったわけではないのに、酔いが夜ふけまで残った。
かるく、頭痛がする。
(なんと異様な男か)
あの松波庄九郎という男のよく光る眼が、深芳野の網膜の残像になり、こうして眼をつぶっていても、闇《やみ》のなかにありありとうかびあがってくるのである。
(厭《い》やな)
とは思わなかったが、気味わるくはある。ちょうど部屋のすみにまぎれこんだ夜走獣の眼が、またたきもせずにこちらを見つめているような。
そういう不気味さである。
(わたくしを欲していた)
深芳野には、本能でわかる。しかし、他人の館《やかた》にはじめて来て、しかも身分は一介の油商人でありながら、なんと無礼な眼をあの男はしたものであろう。
ぞくっ
と、深芳野は身ぶるいをした。
 頼芸はよほど庄九郎が気に入ったらしく翌朝も使いを常在寺へ走らせて、
「わが無聊《ぶりょう》をなぐさめよ」
といってきた。
庄九郎は、
……夜来、風邪をひき、気分がすぐれませぬので。
とことわった。
使者は、ほとんど毎日やってくる。
庄九郎は、そのつどことわった。当然のことだ。よばれてすぐ参上するのは、放《ほう》下《か》僧《そう》ぐらいのものであろう。
断わる理由は、いつも、
病気、
であった。
「今日もすぐれませぬようで」
と、日護上人にいってもらう。
そのくせ、庄九郎は、書見をしたり、庭をぼんやりながめたり、槍《やり》のひとり稽《げい》古《こ》をしたりしている。
「法蓮房《ほうれんぼう》、どうするつもりじゃ」
と、日護上人があきれていった。
「仮病《けびょう》をつかって伺《し》候《こう》せぬのは、太守の弟君に対して無礼ではあるまいか」
「会う気がせぬ」
「相変らず、気むずかしいひとじゃ。頼芸様が気に入らぬのか」
「貴人の御前に出るというのは肩の凝るものだ。人間、おなじ五十年なら、できるだけそういう機会を避けて暮らしたい」
裏はらなことを云《い》っている。
この庄九郎の言葉が、日護上人の口から頼芸の耳に入ったらしい。
「さても無慾な男だ」
と感心し、いよいよ松波庄九郎という人物が貴重なもののように思えてきた。
頼芸は、加納城主長井利隆をよんで、庄九郎をいかにして美濃にとどめておくべきかの相談をした。
「やはり、地位と知行《ちぎょう》をあたえることでござりましょう」
「あの庄九郎が、受けるであろうか」
「わかりませぬな」
二人の頭に、庄九郎の京における巨富がある。都にそれほどの富をもつ男が、こういう片田舎で宮仕えをしたいと思うはずがない。
二人は貴族といっても、田舎者である。田舎者らしく、都住いの庄九郎に対し不必要なほどに気がねをしていた。
「あ、妙案がござりまする」
と、長井利隆がいった。
「西村の家を継がせれば?」
「ああ」
頼芸も、ひざを打った。
西村の家、というのは、美濃では名族の一つで、守護職の土岐氏とも血のつながりがあり、長井氏とは同族になる。
先年、「西村」の当主西村三郎左衛門が病死し、あとつぎもないまま、絶家している。
その西村氏の位《い》牌《はい》、所領は、長井利隆が親族としてあずかっているのである。
「そう。西村の名跡《みょうせき》を継がせるがよい。利隆そちの一存ではからっておけ」
「いやいや。この一件は、庄九郎に対し、殿ごじきじきに申されるがよろしゅうございましょう。人はそういうことで感奮するものでございます」
 庄九郎は庄九郎で、もくろみがある。
ずっと鷺山《さぎやま》御殿に伺候しなかったのは、京からとどく贈りものを待っていたがためであった。
それがようやくにして、とどいた。
(機《き》嫌《げん》をとりむすぶだけでは、こちらが下目になる)
そう思って、手配したのである。この男は、無官の商人でありながら、心中美濃の太守の弟土岐頼芸と対等のつもりでいる。いや、気をもってすでに頼芸などは呑《の》んでかかっていた。
京から、馬も着いた。
赤糟《あかかす》毛《げ》である。みごとな駿馬《しゅんめ》で、耳そげ立ち、眼底に光彩あり、上首《うわくび》が長く、琵琶《びわ》股《また》に張りがあり、四足は、馬《ば》相《そう》でいう麻を立てたようにすらりとしている。
庄九郎は、あらかじめ鷺山殿に使いを馳《は》せた翌日、常在寺の人数に荷を運ばせつつ、鷺山へむかった。
青鈍色《あおにびいろ》の肩衣《かたぎぬ》に、やや色薄の小《こ》袖《そで》、袴《はかま》をつけ、当節はやりの打刀《うちがたな》ごしらえの大小を差し、蒔《まき》絵《え》鞍《ぐら》をおいた赤糟毛にゆられてゆく姿は、どこの小名《しょうみょう》かといういでたちである。
鷺山の城中では、頼芸が待ちくたびれて、窓から大手筋のあたりを見おろした。
やがて、小さな騎乗の人影がみえ、だんだんこちらに近づいてくる。
馬に張りがあり、人にあたりを鎮《しず》まらせるような威がある。
「深芳野、これへ来《こ》よ」
と、頼芸はせきたてた。
深芳野が、窓へきた。
「見よ、あれが男だ」
と、頼芸はほれぼれといった。
庄九郎の小さな影が、しだいに大きくなって大手門へ近づいてくる。それが、頼芸と深芳野の一生にどんな運命をあたえるかは、かれらは神仏でない以上、わからない。

頼芸の御前——。
庄九郎は、進み出て、長井利隆にまで献上物の目録をさしだした。
頼芸はそれに目を通しながら、いちいち子供のような声をあげた。
やがて席を移して、酒宴になった。
深芳野が同座した。
庄九郎は進み出、深芳野に対しても、別の目録をさしだした。
「これはあなた様に。——」
じっと、深芳野の眼をみつめた。他人のめかけに主人の面前でぬけぬけと物を贈る男もめずらしいであろう。
目録をもつ深芳野の手が、ふるえている。なぜか、庄九郎に見つめられるとからだが慄《ふる》えてくるのである。
「お気に召しましょうか」
と庄九郎はいった。
唐錦《からのにしき》 
蜀江錦《しょっこうのにしき》
紅《べに》
白粉《おしろい》
など、堺《さかい》でなければ手に入らぬ舶来の品々のなかに、血のような色の土佐の珊《さん》瑚《ご》などが入っている。
「…………」
と、深芳野は庄九郎を見た。懸命に表情を消しつつ、小さく頭を下げた。
庄九郎は平伏し、やがてあとじさりしつつ自分の座にもどった。
「庄九郎」
頼芸は、人の好い微笑をふくんでいる。
「いまひとつ、無心をいいたい」
「なんでございましょう」
「そちの体をもわしに呉れぬか。いや、当方からも、西村家の名跡を引出物《ひきいでもの》にしたいが、どうであろう」
「…………」
と、庄九郎は、長井利隆に顔をむけた。
「お受けすべきか如何《どう》かは、すべて長井様のおはからいにおまかせしとうござりまする」
こういわれれば、紹介者の長井利隆もわるい気持がしなかった。
「庄九郎殿、先例のないほどの御沙汰《さた》でござる。有難《ありがた》くお受けしますように」
「はっ」
と庄九郎は平伏した。
「本文《ほんもん》にも、士はおのれを知る者のために死す、とござりまする。菲《ひ》才《さい》を補うに、一死もって御奉公つかまつるでござりましょう」
「おお、安《あん》堵《ど》した。されば、いまより西村の姓を冒し、勘九郎、と通称するように」
「西村勘九郎」
庄九郎は、生涯のうちで十三回姓名を変えている。変えるごとに身分があがった。後世もっとも有名になった斎藤道三《どうさん》という名は、その晩年のものである(筆者——この物語ではまぎらわしいため、庄九郎で通したい)。
「庄九郎、いや勘九郎殿」
と、長井利隆が横からいった。
「西村勘九郎となれば、わが長井家の親族ということに相成ります。よろしく」
「い、いや」
庄九郎は、度を失ったようにどもった。いや正直なところ、かれ自身、ここまで頼芸や長井から知遇を受けようとは思わなかったのである。
「なんの、御遠慮なさることはない。いずれ一族をあつめて、この披《ひ》露《ろう》の肝煎《きもいり》を拙者がつとめましょう」
「身にあまることでござりまする」
と庄九郎はあくまで、辞を低くした。
「御一族のはし、というよりも、家来分としてお使いくださりますように。加納城にも、身の都合のつきますかぎり、出仕いたしまする」
「これ、勘九郎」
頼芸はいった。
「出仕は、この鷺山にするのじゃぞ。そなたのような男を加納城にとられてはかなわぬ」
「これは殿のきつい嫉《しっ》妬《と》じゃ」
と長井利隆は苦笑した。
「いや、殿の申されるとおり、そなたは、この鷺山土岐家の執事として奉公してもらう。加納城にはときどき遊びにきてもらうだけでよい」
再び、酒宴になった。
「深芳野、ひとさし、舞わぬか」
と、頼芸はますます機《き》嫌《げん》がいい。
深芳野はすぐ伏目になり、やがて怨《えん》ずるような眼をあげ、頼芸にだけわかるようなしぐさで、
(厭や。——)
といってみせた。
「なぜそのようにむずかる。いつもわしのために舞ってくれるではないか」
(でも)
と、眼で懸命に頼芸へ訴えた。
(きょうだけはいやでございます)
京の舞の上手、といわれた庄九郎の眼の前では、とても舞う気はしない。
「……つまり、そういうことか」
(はい)
と眼で、いった。
体を知りあった男女のあいだだけに通ずる会話である。
それを眺《なが》めさせられていて、庄九郎ははげしく嫉妬した。
「されば」
と庄九郎は口早やにいった。
私が舞いましょう、というのである。庄九郎は、えたいの知れぬ衝動にかられている。
「おお、そちが舞うてくれるか。ねがってもないことだ」
と、頼芸は大よろこびで、地《じ》謡《うた》をはじめ、小鼓《こづつみ》、大鼓《おおかわ》など囃子《はやし》の支度をさせ、さらに深芳野のほうにむいて、
「笛はそなたじゃ」
と命じた。
舞うは、曲舞《くせまい》である。
「敦盛《あつもり》な、つかまつる」
庄九郎は、扇子をとって立ちあがった。女人の前で舞うには、十六歳を一《いち》期《ご》に、熊谷《くまがい》のために討たれたこの初々《ういうい》しい平家の公達《きんだち》を演ずるのがとく《・・》というものであろう。
やがて、庄九郎は、地謡、囃子の音につつまれて舞いはじめた。
……しかるに平家、世を取つて二十余年、
まことに一昔《ひとむかし》の、過ぐるは夢の中なれや。
寿永の秋の葉の、四方《よも》の嵐《あらし》に誘《いざな》はれ、散り散りになる一葉《いちよう》の、舟に浮き波に臥《ふ》して、夢にだにも帰らず。籠鳥《ろうちょう》の雲を恋ひ、帰《き》雁列《がんれつ》を乱るなる、空《そら》定めなき旅衣《たびごろも》、日もかさなりて年月の、立ち帰る春の頃、……
 庄九郎は、七五七五の句切れで拍子をとりつつ、かるがると舞いすすめてゆく。
みごとな芸である。
舞いおさめ、やがて囃子が鳴りやんだとき頼芸ははじめてわれにかえったようにひざを打った。
「さすが」
と讃《さん》辞《じ》をのべようとしたとき、庄九郎はすかさず、いった。
「つぎは深芳野様にねがわしゅうございます」
「おお」
頼芸は、深芳野のほうにむいた。それと拍子をあわせるように庄九郎はするすると深芳野のまえに進み、
「それを」
と掌でうけるようにして、笛を指した。深芳野は、なにげなく庄九郎に笛を渡した。
庄九郎は受けとり、
「それがしは、笛をつかまつりまする」
と、すらりといった。否応《いなや》をいうゆとりなどをあたえない。
やむなく深芳野は支度をした。
曲は、吉野天人である。
庄九郎は、息をしずかに吸いこみ、たったいままで深芳野の唇に触れていた笛の歌口《うたぐち》に自分の唇を近づけ、やがて、
ひそ、
と触れた。
そのときには、妙音が噴《ふ》きあがっている。
深芳野が、舞う。
庄九郎は、その舞姿から眼をはなさず、笛を吹き、かつやめ、かつ吹いた。
(見られている。……)
深芳野は拍子のなかで舞いながらも、息がくるしくなっている。
汗が、深芳野の、薄いこめかみの皮膚にうかんだ。かつてないことである。
 庄九郎は、毎日、鷺山城に出仕した。
出仕、といっても、頼芸のあそびの相手をするだけである。
その間、深芳野の挙措には、できるだけ注目をはらった。
やがて庄九郎は、毎月十九日の日没前から日没後にかけてほんの四《し》半刻《はんとき》ほど、深芳野が城内の念持堂にこもる習慣があることを知った。
(母者《ははじゃ》かなんぞの命日なのか)
とひとにきいてみると、どうやらそうらしい。奇貨《きか》である、とおもった。
が、かといって庄九郎は、ひと目を忍んでこの女人と恋を語ろうとはおもわないのである。
女人は、盗むべきものではない、白昼堂々と愛することができるような恋を、庄九郎は望んでいる。
しかしそのようなことが可能か。
(可能かどうかを考えるよりも、一つずつやりとげてゆくことだ)
まず、深芳野に自分の意中を伝えておく必要があるとおもった。
その日、庄九郎は、日の翳《かげ》るとともに、念持堂に入り、燈明をともし、香を�《た》き、しかるのちに須《しゅ》弥《み》壇《だん》の裏に休息した。
ほどなく、観音扉《かんのんとびら》が、小さくきしりつつひらき、すぐ閉じられた。
(…………)
深芳野の足がとまったのは、堂に灯がかがやき香が燻《くゆ》っているのに不審をもったのであろう。
やがて、ひざまずいたらしい。
看経《かんきん》の声が、低く流れた。
すぐ、やんだ。
深芳野は、たちあがった。
そのとき、庄九郎が足をはこび、須弥壇の裏をまわり、深芳野の横に出た。
声も、出ないらしい。
「一こと、申しあげたかっただけでござる」
と、庄九郎は、板敷にすわった。
「なにを、でございます」
深芳野は、そうたずねるだけが、せいいっぱいの様子だった。
「あなた様を、いつかは、殿から申しうける所存でござりまする」
「…………」
庄九郎は外へ出た。
血を薄めたような色の星が、金華山の上に出ている。
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