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イブのおくれ毛01

时间: 2020-06-09    进入日语论坛
核心提示:男の三大ショック「女の長風呂」も延々百回に及び、ようやく私もいささか湯中《ゆあた》りぎみ、のぼせてきて、茹《ゆ》で上らん
(单词翻译:双击或拖选)
男の三大ショック

「女の長風呂」も延々百回に及び、ようやく私もいささか湯中《ゆあた》りぎみ、のぼせてきて、茹《ゆ》で上らんばかりになった。
ここらで長湯からあがり、秋のはつ風におくれ毛を吹かれながら——というと、なまめかしいが、ナニ私のことだ、べつにどっちへ転んでも色香が増すわけではないが、心機一転、題をあらため、禿筆をとりかえ、机の塵を払って、あらたなる稿を起そうと思う。
さて、長風呂を出て、女は何をするかというとまず、濡れた髪を束ねるのである。そうして私であると、ビールの冷えたのをぐいとやったりいたすのであるが、その際、前《ぜん》申すごとく、おくれ毛がこぼれる。よって、こんどは、女のおくれ毛ならぬ「イブのおくれ毛」と名付けた次第である。
大体しかし、毛というものは情緒|纏綿《てんめん》たるもので、また、一面、人によっては妄想をそそられ、ワイセツ心が泉のごとく湧いたりする。あるいは殺人現場のざんばら髪、ユーレイの脱け毛、さらにはミイラに毛だけありし日のままに残ってるなど、エロからグロまで連想のはばが広いものである。更には色や形状によっても、情緒がちがう。
モーパッサンの「ベラミ」という小説には、主人公の男のボタンにからまっている女の毛をつまみあげた恋人が、
「あなたは中年女と浮気したわね!」
ととっちめるくだりがある。何となればその髪の毛に白髪がまじっていたからである。
わが愛するツチノコは魔性の神蛇で、決して姿を見せないが、人間の毛を焼くと、その匂いに釣られて穴から這い出してくるという。私はツチノコ狩りに行って早速、これを試みたが、ダメであった。一向、キキメありませんでした、と私がツチノコ学の泰斗になじる如くいうと、彼は重々しく、
「その髪の毛は、直毛でしょう?」
「はい。日本人の毛ですからね」
「そらあかん。縮れてるヤツでないとあかんですわ」
「縮れっ毛がよろしいんですか。すると、パプアの人というか、ニューギニアの人というか、そういう南洋の人の毛なんぞを貰《もろ》てこな、あきませんか」
「いや、日本人でもかまわんが、縮れてツヤがあって、まあ短い方、その毛がよろしい。生えてる場所は、この際、問いません」
などということであった。
カモカのおっちゃん(あいかわらず、こいつが登場する)にいわせると、「毛」は人間の人生で、たいへん重要な意味をもつんだそう。
「ことに、男の人生にとってはたいへんなもんです。男の人生には三大ショック、ということがある」
おっちゃんが勿体ぶっていうと、どうせロクなことではないが、あえて問うと、
「まずその一は、思春期に及び、ある日、ふっと気付くと、かくし所に思わざる伏兵を発見してギョッとする。その日は一本やと思《おも》たのに、あくる日見ると、加速度的にふえている。十日もたつと、今まで気付かなかった所まで発見する。もう、えらいショック、人と風呂へ入られへんと思いつめる。女はそんなこと、ありまへんでしたか」
「知りませんよ、そんなこと」
「知らんことはないやろ」
「忘れましたよ! それよか、第二のショックて何ですか」
「老眼です。女はどうですか」
「いちいち、うるさいわね、それは女もあるでしょう。でも、私は幸い、まだ、メガネなしでよめますが、もう半年、一年のうちかもしれない」
「腕を伸ばしあるいは近づけ、やってるうちに愕然とする。うーむ、これこそ世に聞く老眼ならんか、そう思《おも》たとき、がっくり、きますな」
「そんなもんでしょうか。目が見えなきゃメガネ買えばすむこっちゃないの」
「いや、男はやはり、老眼鏡がいるようになった思うと、感無量の所がありますからな。本人はまだ三十代の心意気で居《お》るのに、階前の梧葉《ごよう》すでに秋声、人生の秋のさびしさが、ソクソクと身にしみます」
おっちゃんがいうと、何でもくどくなる。
「第三のショックは何ですか」
「思春期の伏兵に、老齢再び、おどろかされることです。伏兵が、白旗かかげて降参しとる」
「と、いいますと……」
「あたまのこととちがいまっせ。あたまはいつもしげしげ見てるとこやから、少々白うなってもどうということはない。しかし、ふだん、じーっと見たことのない所を、あんまり日に当てない所を、ある日、ふと気付くと、黒かるべき所に、白いものがまじってる。その日は、一本二本発見して、ショックです」
「ハア。そんなもんでしょうか」
「おお! ついに、という気になります。あんまり使うたおぼえもないのに、と自然の摂理の理不尽さに怒りをおぼえる。もっと配給あるはずやのに、えらい少ないままで、もう予定終了といわれたよう。そのうち、しばらくして探ると、またふえてる。もう、やけくそになる。拗《す》ねてくる」
「ハハア」
「ええわい、何ぼでもふえたらええわい、シラガが何じゃ、老眼が何じゃ。——男の人生の三大ショック、そのうち、二つまで毛が占めてます。女はどうですか」
「べつにショックやないでしょう。自然の成りゆきやから」
「いや、女はそれがあかん。帰って早速、懐中電灯で調べてみなさい。それで、ショックを感じないような人生は、ほんまに生きとらへんからや。毛というものは人生悟達の契機です」
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