いまでも韓国人は、日本人のことをイルボンノム(日本人野郎)と表現することが多い。韓国人どうしの会話では、ごく自然に使っている。
日本はイルボンで、人はサラムだが、人を卑しんで言う場合にはサラムではなくノムを使う。ノムと言えば日本語で「あのばか奴」「あのばか野郎」などの「奴」「野郎」に相当する言葉だ。もっと侮《ぶ》蔑《べつ》的には、ウェノム(倭野郎)と使う。倭は韓国では日本人の背の低さをばかにした言い方となっている。さらにと言えば、チョッパリ(豚足)となる。これは日本人が足袋をはいたところが豚の足のようだからである。
日本のテレビが北朝鮮の子どもたちに「日本のことをどう思うか」とインタビューしているのを見たときのこと。質問を受けた小学校の女の子は「日本人は戦前、私たちを苦しめ……」と決まり文句を可愛らしい声でしゃべっていたが、そこで女の子は、イルボンノム、イルボンノムと「日本人野郎」を連発していた。
字幕では「野郎」は出なかったが、これをある日本人に話したら、「いくらなんでも、北朝鮮はこれから日本とつき合いたいと言ってるわけでしょ、しかも日本人からインタビューを受けてるのに、それを子どもがしゃあしゃあと『日本人野郎』とはねえ」とあきれていた。もちろん、韓国人なら間違っても、日本人に面と向って「野郎」とはまさか言わない。ただ、政策とは恐ろしいもので、内側では「野郎」をつけることが自然な言い方になっているのだ。
だからと言って、韓国人の多くが日本人を軽蔑しているのではない。個人的には尊敬もし、好きだと言う人はかなり多い。ただ、反日的であること、反日的な言い方をすること、反日的に感情表現をすることが、ひとつの習慣になってしまっているのである。