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猫を抱いて長電話12

时间: 2020-08-09    进入日语论坛
核心提示:�小池�の体験 三歳か四歳の時、現在の板橋区|成増《なります》あたりにある社宅に住んでいたことがある。なかなか立派な社宅
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 �小池�の体験
 
 三歳か四歳の時、現在の板橋区|成増《なります》あたりにある社宅に住んでいたことがある。なかなか立派な社宅で、周囲を雑木林に囲まれた広い庭があり、庭には池までついていた。奮発すれば鯉も飼えたかもしれないが、わが家では池に近所の子供たちが落ちる危険性があるというのを理由に、池に水を張らなかった。要するに庭の片隅に、ただのコンクリートの小さな穴ぼこがあった……ということである。
 或る夏の日の午後、蝶々だかバッタだかを追いかけるのに夢中になっていた私は、庭の隅まで走って行って、不意に穴に片足を取られた。「痛い!」と思ったのも束の間、火のついたような痛みが股間《こかん》のあたりに走った。
 母が走って来て池から引き上げてくれた時には、太ももに血が流れていた。剥《む》き出しのコンクリートで股間をすりむいたのだ。
 大した怪我ではなく、二、三日で治ってしまったのだが、ひとつだけ幼児の記憶に残ったものがある。怪我をしてから、何度か母が眉間に皺《しわ》を寄せて「もしかしたら」とつぶやいていたことだ。
「もしかしたら」……何なのか。もしかしたら、何が起こるのか。まったくわからなかったが、ちょっと不吉な言葉であるらしいことはわかった。母に訊《たず》ねても、答えてくれなかった。
 それから間もなく私たちは板橋の家を離れ、父の転動で全国を転々とし、私は仙台の高校に入学した。男友達が「ただのボーイフレンド」ではなくなる年ごろである。デートまがいのことも始まり、親はどこの親にも共通するように、そわそわと私の帰り時間を気にするようになった。
 そんな或る日だったと思う。何かの話の折りに母が妙なことを言った。
「あのね、突然こんなこと言うのもヘンだけどね、あんた、もしかすると、そのう……ほら……初めての時にね、なんて言うか……そのう……疑われるかもしれないわよ」
「何よ、それ」と私。
「だからさ、初夜っていうの? そういう時の話よ」
「はっきり言いなさいよ。なんで、あたしが男と寝て疑われるの」
「ほら、あんた覚えてる? 四つの時、板橋の家の庭の池に落ちたこと……」
「覚えてるけど、それがどうしたの」
「血が出たでしょ」
「出たわよ。だから何なのよ」
「だから、そのう……処女膜がね、あの時に切れちゃったかもしれないのよね。そうすると……初夜の時に……初めてじゃないんじゃないか、って思われて……」
 ナルホド、それは可能性がないでもない、と私は思った。だが、処女膜信仰などというものとは無縁の考え方をしていた私としては、一笑に付す話だった。「だいたいね」と私は言ったものだ。「処女かどうか、ってこと気にするような男とはつき合わないわよ」と。
 それからまた私はその話を忘れた。四つの時に池に落ちて処女膜をなくしたかもしれない、なんてことを気にするほど暇じゃなかったのである。
 十八のころ、同じ年の男と恋に落ちた。彼は学生運動の活動家だった。恋にかまけて大学受験に失敗した私たちはそろって浪人生活を送り、その春、めでたく(?)初めての体験をすませた。
 コトがすむと、彼は小雨ふる仙台の街を歩きながら、突然「君は初めてじゃなかったんだね」と言った。「本当のことを言ってほしかった」
 そう。確かに私は初めてなのに出血しなかったのである。だからといって、何よ、それ……と言いたい気分だった。あんた、勇ましく機動隊と渡り合ってるってのに、今さら処女かどうかにこだわるわけ?……と。
「こだわるわけではないけど」と彼。
「僕に嘘《うそ》をつかないで欲しかった」
 嘘? 誰が嘘をついたのよ! 血が出たか出ないか、なんてちっぽけなことを気にして、恋人の言うことを信じられないなんてサイテイよ!……と、そういったことをわめき、大喧嘩し、翌日、彼は木造の古びた仙台駅から「傷心の旅」と称して旅に出てしまった(バカみたい)。彼の帰りを待って、私は「四つの時の体験」を打ち明けた。彼がそれを信じたかどうか、未だに定かではない。大学に入り、東京に出て来てまもなくその人とは別れてしまった。多分、作り話だと思っていたんでしょうね。シャクだけど。
 それにしても、私の苗字が悪かった。娘が「小さな池=小池」に処女を捧《ささ》げることになろうとは、親でも考えつかなかったに相違ない。
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