日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

十二国記074

时间: 2020-08-19    进入日语论坛
核心提示: この街にも難民がひしめいていた。宿の従業員に怪しまれるのが怖くて、城壁の下の空いたところに座《すわ》って夜を過ごした。
(单词翻译:双击或拖选)
 この街にも難民がひしめいていた。宿の従業員に怪しまれるのが怖くて、城壁の下の空いたところに座《すわ》って夜を過ごした。
 ようやく迎えた朝、陽子は街の通りを歩いて港へ向かう。街の奥が海にむかって開かれていてそこに粗末な桟橋があり、一隻の、陽子の目には小さな、港に停泊したほかの船に比べれば大きな帆船が繋《つな》がれていた。
「あれだ……」
 なんだか胸に迫る思いで桟橋に近づきかけ、陽子は足を止めた。船に乗りこむ旅人の列を検分している衛士の姿があった。
 一瞬、目の前が暗くなる。衛士たちは乗客の荷物を開けて中をのぞきこんでいた。
 できることなら剣は捨てたくない。ものかげまで近づいて、それ以上近づくことができない。陽子はじっと乗客と衛士の姿を見つめた。
 ──剣を捨てるか。
 身を守る手段を失うが、このまま巧国に残るよりいい。思って、ほど遠くないところの水面を見たが、どうしてもその決心がつかない。これはケイキにつながるものだ。これを失うことはケイキとのつながりを半分断つことを──ひいては故国とのつながりを断つことを意味するような気がする。
 ──迷って迷って、それでも決心がつかない。
 陽子は港を見わたした。剣を捨てずに雁《えん》国へ渡る方法はないか。幾艘《いくそう》かの小さな帆船が停泊している。それを奪っていけないか。
 ──帆船の操り方なんて知らない。
 青海は内海だと聞いた。だとしたら、どれだけの日数がかかるか想像もつかないが、海岸沿いに歩いて雁国へいけないか。
 目眩《めまい》がするほど迷っているときに、突然高い太鼓《たいこ》の音が響いた。
 はっと顔をあげて見わたすと、音の出所は船の甲板で、それが出港の合図だとわかった。乗船する旅人の列もすでに切れている。衛士が所在なげに立っていた。
 ──まにあわない。
 今から走っても衛士に捕まる。荷物をほどいて剣を取り出す時間はない。荷物ごと剣を捨てても、てぶらで船に乗り込んでは怪しまれはしないか。狼狽《ろうばい》するからいっそう動けない。
 棒をのんだように立ち尽くして、陽子は船が帆をあげるのを見ていた。
 船にかかっていた渡り板が外された。ようやく陽子は物陰を飛び出した。船がかすかにすべり出して、衛士がその場で見送る。白い帆が目に焼きついた。
 ──今なら海に飛び込んで。
 らちもない考えが頭をかけめぐったが、身動きはできなかった。
 ──あれに乗れば雁国なのに。
 荷物を抱いてただ目を見開いて船が出ていくのを見送ることしかできない。にがしたものはあまりに大きく、その衝撃から立ち直ることができなかった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%