日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

十二国記104

时间: 2020-08-24    进入日语论坛
核心提示: 思いのほか力のある手に支えられ、小さな家にたどりついてからあとのことを、陽子は覚えていない。 何度か目を覚ましてなにか
(单词翻译:双击或拖选)
 思いのほか力のある手に支えられ、小さな家にたどりついてからあとのことを、陽子は覚えていない。
 何度か目を覚ましてなにかを見たような気もするが、それがなんだか思い出せるほど、はっきりと風景をつかむことはできなかった。
 深い眠りと浅い眠りを交互にくりかえしてようやく目覚めると、陽子は粗末な家のなかにいて、寝台に横になっていた。
 ぼんやりと天井を見て、それからあわてて身体をおこす。とっさに寝台を飛び降りて、その場にへたりこんだ。陽子の足はまったく使いものにならなかった。
 狭《せま》い部屋のなかには誰の姿もない。まだ目眩《めまい》のする目でそれを確認すると、必死で這《は》って寝台の周囲をあらためた。家具らしい家具はほとんどない。かろうじて枕元に板を組み合わせただけの棚があってその上に、畳んだ布、ひとふりの抜き身の剣と青い珠《たま》がきちんと揃えておいてあった。
 陽子は力を抜く。なんとか立ちあがって珠を首にかけ、剣と布を取りあげて寝台に戻った。布を巻いて剣を布団のなかに引っぱりこむ。それでやっと安心した。
 その段になってようやく、陽子は自分が寝間着に着がえているのに気づいた。
 あちこちの怪我《けが》もぜんぶ手当てされている。横たわった肩の下に湿《しめ》ったものがあって、取りあげてみるとそれが水に浸した布だとわかる。置きあがったときに気づかぬまま落としたのだろう。それを額にのせると気持ちよかった。厚い布を重ねた布団を引っぱりあげ、珠をにぎって目を閉じる。安堵の深い息を吐いた。助かってしまうと、こんな貧しい命でも惜《お》しい気がする。
「目が覚めたか?」
 飛び起きて声のしたほうをふり返ると、灰茶の毛並みをした大きなネズミが立っていた。ドアを開けて部屋のなかに入ってくる。片手にトレイのようなものを、もう片手には手桶《ておけ》をさげていた。
 警戒心が頭をもたげた。人のように暮らし、人のようにしゃべるかぎり、獣のように見えても油断はできない。
 その姿を凝視《ぎょうし》する陽子の前で、監視する視線には気づかないようにネズミはのんきな足どりで歩く。テーブルにトレイをのせて、手桶《ておけ》を寝台の足元においた。
「熱はどうだ?」
 小さな前肢が伸びる。とっさに見をすくめて陽子が逃げると、ネズミは髭をそよがせてすぐに寝台の上に落ちた布を拾いあげた。陽子がしっかり胸に抱いた布包みに気がついたはずだが、ネズミはなにも言わなかった。布を手桶に放りこみ、陽子の顔をのぞきこむ。
「気分はどうだ? なにか食えるか?」
 陽子は首を横にふる。ネズミは小さく髭をそよがせてからテーブルの上から湯呑《ゆの》みを取りあげた。
「薬だ。飲めるか?」
 陽子は再び首を横にふる。油断してはいけない。それは陽子の生命を危険にさらす。ネズミは首をかしげて、それから湯呑みを自分の口元に運んだ。目の前ですこし飲んでみせる。
「たんなる薬だ。ちょいとにがいが、飲めないようなシロモノじゃねえ。な?」
 言ってさしだされた湯呑みを、それでも陽子はうけとらなかった。ネズミは困ったように耳の下の毛並みをかく。
「──まあ、いいか。どんなものなら口に入れられる? 飲まず喰《く》わずじゃ身体が持たねえ。お茶なら飲めるか? 山羊《やぎ》の乳はどうだ? それとも粥《かゆ》ならたべられるか?」
 だまったまま答えない陽子に、ネズミは困ったようにためいきをついてみせた。
「おまえは三日、眠ってた。どうにかする気なら、そのあいだにしてらぁ。その」
 ネズミは陽子が抱いた布の包みに鼻先を向ける。
「剣だって隠してるぞ。そういうことで、おいらをちょっとだけ信用しねえか?」
 真っ黒な瞳に見つめられて、陽子はようよう抱きしめた剣をはなす。膝《ひざ》の上においた。
「うん」
 ネズミは満足そうな声で言って、手を伸ばす。今度は陽子も逃げなかった。小さな手先が額に触《さわ》って、すぐに離れる。
「まだすこし熱があるけど、だいぶさがったな。落ちついて寝てろ。それともなにかほしい物があるか?」
 陽子は迷って口を開く。
「……水」
「水な。──よかった、ちゃんとしゃべれんじゃねえか。すぐに湯冷ましを持ってくるから、起きてるんなら布団をかぶってんだぞ」
 陽子のうなずくのも見ずに、ネズミはいそいそと部屋を出ていく。短い毛並みにおおわれた尻尾《しっぽ》がバランスをとるように揺れていた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%