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十二国記370

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 固継《こけい》の里《まち》は北韋《ほくい》の街に隣接する。北東の隅に付属するようにあった。官府《やくしょ》は里府《りふ
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 固継《こけい》の里《まち》は北韋《ほくい》の街に隣接する。北東の隅に付属するようにあった。官府《やくしょ》は里府《りふ》だけ、里にある建物も二十五家、最小の規模の街である。
 陽子《ようこ》は蘭玉《らんぎょく》とともに里家《りけ》の門をくぐって大緯《たいい》に出た。
 ふつう里《まち》は百歩四方、高い隔壁《へい》に囲まれ、その内側を環途《かんと》が一周している。里の北に里府《りふ》と里祠《りし》、里家が並び、その前を東西に貫く広い途《みち》が大緯、里祠から里閭《もん》までまっすぐ南北に伸びる途を大経《たいけい》という。里府には府邸《やくしょ》と小学がおかれ、里祠は正式には社《しゃ》といって、里木《りぼく》と諸神、土地神を祀《まつ》る。里木を祀る里祠の西に土地神と五穀神を祀る社稷《しゃしょく》が、東に祖霊を祀る宗廟《そうびょう》があるのがふつうで、これを総じて社というが、里の人々の信仰は里木に収束する。——それはその木が、里の人々に子供と家畜を与えてくれるからだった。
「おもしろいな……」
 陽子がひとりごちると、蘭玉が首を傾けた。
「——ん?」
「いや、里祠というだけあって、社稜も宗廟もおまけみたいだ」
 実際、社稜も宗廟も小さく、常にはひっそりと静まり返っている。
 蘭玉はくすりと笑った。
「陽子は妙《みょう》なことをおもしろがるのね」
「そうかな?」
「だって、里木は子供をくれるもの。いくらお供《そな》えをして祈っても、豊作になるとは限らないし、災害から守ってもらえるわけでもないわ。——だから、里木が一番。どうしたってそうなるでしょ?」
「こちらの人は現実的だな。——でも、天帝と王母は特別なんだな」
 多く天帝も西王母《せいおうぼ》も里祠に合祀《ごうし》されるが、これとは別にわざわざ両者を祀る廟を設ける街もあった。
「だって、子供をくださるんだもの」
「天帝と西王母が?」
「そうよ。子供がほしい夫婦は里木にお願いして枝に帯を結ぶの」
「夫婦でないとだめ?」
「だめよ。——そうすると、催生玄君《さいじょうげんくん》が、子供をほしがっている人の名簿を作って、西王母に差しあげるんですって。西王母は天帝にお訊《き》きして、その中から親にふさわしいりっぱな人を選んでもらうの。そうして王母が女神《にょしん》に命じて卵果《らんか》を作らせるのよ」
「へえ」
 かつて故郷で聞いた神話とはずいぶん違う気がする、と陽子は思う。——詳《くわ》しくは覚えていないのだが。
「送生《そうじょう》玄君が子供のもとをこねて卵果にして、送子《そうし》玄君が里木にそれを運んでくるの。——蓬莱《ほうらい》はそんなふうじゃないの?」
「ぜんぜん違うな」
 陽子は苦笑する。
「蘭玉《らんぎょく》はそれを信じている?」
 陽子が訊《き》くと、蘭玉は笑った。
「本当のところは知らないわ。でも、卵果《らんか》がなるんだもの。お願いした枝の卵果でないと絶対にもげないのよ、不思議じゃない? ——だからきっと神さまが恵んでくださるのよ」
 なるほどな、と陽子は笑う。
「家畜《かちく》も里木《りぼく》になるんだよね」
「そう。月の一日から七日までに里木にお願いするの。一日が鶏《にわとり》や鴨《かも》なんかの鳥、二日が狗《いぬ》、三日が羊や山羊《やぎ》、四日が猪《いのしし》や豚《ぶた》、五日が牛、六日が馬、七日が人」
「——人? 人も決まってるんだ?」
「ううん。人は七日か九日以降なら、いつでもいいの。でも、七日にお願いした子は、いい子になるんだって。桂桂《けいけい》がそうだって、かあさんが言ってたわ」
「へえ。なるほど」
「家畜はひと月で孵《かえ》るの。一度にいくつも帯を結べるけど、全部に卵果がつくとは限らないわ。人は必ずひとつだけ」
「じゃあ、双子《ふたご》はないんだな」
「——双子?」
「ふたり一緒に生まれてくる子。蓬莱《ほうらい》には五つ子なんてこともあるよ」
「へええ。おもしろい」
 言って蘭玉は里祠《りし》を振り返る。
「八日は穀物の日。——これは王だけがお願いできる」
「穀物の日もあるんだ」
「五穀はね、勝手に増えるの。種を播《ま》けば、実って増えるでしょ?」
「やっぱりそうなんだな」
「草や木は、生き物じゃないもの。でも、新しい穀物は誰かがお願いしないといけないじゃない? それをできるのは王さまだけで、王宮の中にある木だけなの。天がお願いを聞き届けてくださって、王宮に実がなると、次の年には国じゅうの里木に種の入った卵果ができるんですって」
 へえ、と陽子は目を見開く。そんな務めがあるとは知らなかった。詳《くわ》しいことを遠甫《えんほ》に訊いてみよう、と思う。
「野木《やぼく》にはね、家畜以外の獣《けもの》や鳥がなるの。水の中にも木があるのを知ってる?」
「知らない。——ひょっとして魚がなる?」
 蘭玉は笑った。
「あたり。あとは草や木の種」
「穀物以外の植物は勝手に増えない?」
「増えるわ。そうじゃなくて、新しい草や木。これは勝手にできるらしいの。いつどこでどんな草が生まれるか、誰も知らない。だから野木《やぼく》にときどき行って、根元に見慣れない草がないか、調べてみるの。調べて、見つけたら持って帰って育てて増やす。そういうのを仕事にしている浮民《ふみん》がいるわ。猟木師《りょうぼくし》っていうんだけど。新しい卵果《らんか》を探してあちこちを旅する人たち。木にもくせがあってね、新しい卵果ができやすい木と、できにくい木があるんだって。できやすい木は秘密なの。絶対に教えてくれない。だから猟木師のあとについていくと、殺されちゃうんですって」
「へえ……」
「珍しい薬や、薬草や作物の苗を持ってきて売ってくれるけど、ちょっと怖《こわ》い」
 陽子は黙ってうなずく。この世界にもやはり被差別者がいる。職業による差別はあまりない。家系によって職業が受け継がれることがないからだ。子供はどんな家の子供でも必ず数えで二十歳になれば公田をもらって独立する。大きな店も商売も、そのまま子供に継がせることはできない。身体に障害のある者も手厚く養われる。だが、半獣《はんじゅう》や浮民はやはり隔てられるのだ。
「……どうかした?」
 蘭玉《らんぎょく》が訊《き》いてきて、陽子は首を振った。
 友人の半獣。彼に感謝して半獣を隔てる法を撤廃《てっぱい》したかった。——だが、官吏《かんり》の賛同が得られなかったのだ。
 それを初勅《しょちょく》にしようか、とも思った。だか、それもなにか違う気がする。初勅は陽子にとって、ひとつの区切りだった。自分が王としての自覚と自負をもって行う最初の仕事にしたいと、いつの間《ま》にか頑《かたく》なに思っている。
「あたし、なにか悪いことを言った?」
「そうじゃない。ちょっといろんなことを思い出してただけだ。——じゃあ」
 陽子と蘭玉はちょうど里閭《もん》の前まで来ていた。蘭玉はこれを出て閑地へ行く。陽子は北韋《ほくい》の街に用がある。
「……うん。元気出してね?」
 陽子は微笑《ほほえ》む。蘭玉は陽子が考えこむと、必ず蓬莱《ほうらい》のことを思い出しているのだと、そう哀れんでくれるようだった。その心根に感謝して、陽子は軽く手を挙げる。蘭玉と別れて環途《かんと》を西へ向かった。
 通常、里《まち》には門は里閭ひとつしかない。ここ固継《こけい》にはふたつあった。それは固継が本来、北韋の街の一部だからだ。
 街は必ず里を核にできる。里にその他の府第《やくしょ》が付随し、肥大しているのである。県城以上になると、それが転倒し、街の中心に府城《やくしょ》ができ、肝心の里《まち》は里府《りふ》などとともに街の隅においやられる。必ず東北の隅だった。北韋《ほくい》ではさらに固継《けいこ》の里は街の外に追いやられてしまっている。かろうじて門ひとつで北韋の街とつながっている状態だった。
 陽子はその北韋の街に入り、まっすぐに府城へ向かった。街の中央で高い城壁に囲まれた一郭、その周囲を巡《めぐ》る内環途を曲がり、北韋の南東に向かった。
「……どこだ?」
 陽子は小さくつぶやく。雑踏の中、足元からさらに小さな声があった。
「次の角を右です」
 陽子は声の指示に従い、市街の奥へと入りこみ、小さな家にたどり着いた。
 本来ならば、街に家を持つのはその里の住人だけ、必ず国から与えられる家だけであるはずだ。だが、実際には人々は土地を売り、家を売って移動する。ある者は廬家《ろけ》と農地を売って街に官府《やくしょ》から土地や店を買い、ある者は農地を買って人の数倍の土地を小作人を雇って耕作させる。どうにかすると一廬《いちろ》がまるまる一人の人物の所有であることもあった。与えられた農地を見ることもなく売りさばき、街に家を求める者も少なくない。
 この家の主は、どういった経緯でこの家に住むようになったのだろう。いずれにしても、持ち主は労《ろう》、という。——遠甫《えんほ》のもとを訪れた奇妙な客、その使いをした男の家だった。
 班渠《はんきょ》はあの男をつけ、一度目と同じく、男が宿ではなく労の家に入ったのを確認した。男は翌日、北韋を出て北へ向かったという。
 ——さて、どうするか。
 陽子は家を見上げる。男を呼び出して、あの客がどういった人物だか、訊《き》いたところで答えはすまい。
 通りの反対側から眺めているうちに、突然家の大門《いりぐち》が開いた。陽子はとっさに視線をそらし、通りを見渡して道を探しているふりをする。
 それじゃあ、と男の声が聞こえた。
「荷は——」
 男は陽子に気づいたように、声をとぎらせる。茶斑《ちゃまだら》の髪をした、中年の小男だった。その側《そば》にいるのは、反対に大男。巌《いわお》のような体格に、ごくふつうの黒い髪。その男も陽子を見やって、ふいに視線をそむけた。
「ま、あんたに任せるさ」
「承知した」
 それだけを言い交わし、ふたりは離れる。小男は逃げるように家の中に入り、大男は足早に小途《こみち》を歩き始めた。
 ——単なる客かもしれない。
 だが、小男が急に言葉をとぎらせたのが気になる。
 陽子は大男とは反対へ向けて歩きながら、小さく班渠《はんきょ》を呼んだ。
「……気になさるほどのことで?」
 姿ない声に、陽子はうなずく。
「すまないが、たのむ。——単なる客だとは思うけど、どうしても遠甫《えんほ》の様子が気になるんだ……」
 蘭玉が言ったとおり、あの客が来た翌日、遠甫はひどくふさぎこんだ様子だった。今回も同様で、授業もできないという。それですることもなく、労の家を見に来てみたわけだが。
「かしこまりました」
 小さく声が離れて、消えた。
 
 その夜、班渠は深夜になってから戻って、男が川向こうの和州止《わしゅうし》水郷都《すいごうと》拓峰《たくほう》の住人であることを伝えた。
「拓峰……」
 拓峰ならば北韋《ほくい》を出て東、遠甫を訪ねてきた男は北へ向かった。あの大男と関係があるのか、ないのか。
 陽子はしばらく黙考する。
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