患者は一九歳の短大二年生。相手の彼は逃亡中。
「三か月前、失恋——古いかな、失恋をしちゃいました。高校二年のときから三年近くつき合ってた彼だったんですが、私のほかに好きな人ができてしまったのが原因でした。以来、私は根暗《ねくら》の女になってしまいました。初めは彼の裏切りが憎くて憎くてたまりませんでした。それ以上に彼の新しい恋人を強く憎みました。でも最近はくやしさの感情よりも、人間に対する——男に対するかな、不信感でいっぱいです。彼も私も初体験同士でした。もう私なんか恋ができないのかななんて思って、よけいに落ち込んでいるこのごろです」
何もかもうまくいく解決法が、ひとつ、あります。
あなたは、つまりは男に対する復讐《ふくしゆう》を遂げることによって、いまの状態から脱却できるわけです。現代のような「金こそすべて」という資本主義の大衆消費社会において、男に対して効果的に復讐するには、意外にも簡単な方法があります。
ホテトルに勤めることです。
これは、ソープランドと違って、男に奉仕する必要もありません。泡踊りをしてやることもないわけで、強いていえばフェラチオくらいです。男が勝手に、あなたの若い肉体を相手に、
「おお、かわいい。おお、きれいなオッパイだ。おお、おお!」
などといいながら感激しているのを一時間だけガマンすると、男どもはあなたに金を払ってくれます。インサートされるとはいっても、オジサンたちの場合は、ものの三分間くらいですから、十分にガマンできると思います。
男から金を巻きあげて、男に復讐する——この方法のいい点は、他にもいい特典が得られるということです。
このように「だれとでもセックスができる」という体質へと、あなたの体が変革されるでしょうから、ホテトルを一か月でやめたあと、ディスコへ行っても、ちょっとカッコいい男のコが目につくと、あなたのほうから積極的に近づいていけるようになるわけです。
一か月間のホテトル勤めで、当然、あなたはお金持ちになっています。ディスコを出たあとで、ちょっとカッコいい男のコを誘ってカフェバーに行ったら、あなたは札ビラを切って、その男をびっくりさせ、
「ヘヘーッ!!」
と、服従させることもできます。そして、そこを出てからラブホテルまでの道のりも、歩かずに、タクシーで行くことさえできるのです。
ちょっとカッコいい男のコなんか、他にもたくさんいるのですから、ポイッと捨てることも勝手ですしね。悪いことは、何もない。やっぱりホテトルで働くしかないようですね。