患者は二〇歳のOL。彼は二三歳の会社員。
「友だちに紹介されて知り合った彼です。つき合い始めて六か月。二か月目にセックスしていますが、最近『結婚、どう思っている?』と彼が口にするようになってきました。私はまだその気はありませんし、彼の気持ちが先走りするような感じで不安です。二四、五歳が結婚の適齢期かなと私は思っていますが、彼の熱意に気持ちが動かないではありません。
どうしたらいいでしょうか」
愛情というのは、こういう時代にあっては「はじめに金ありき」という一大原則を忘れてはいけません。
二三歳と二〇歳で結婚してしまうと、まず、経済的に無理が出てきます。第一、結婚する前のデートのときでも、いつも割り勘で、しかも、五円とかそのくらいの単位までを計算して割り勘にしなければならないカップルというのは、いずれツブれてしまうわけです。
客観的に考えて、現代においては、愛情があって結婚があって、そしてセックスがあるというパターンは、ほぼ、ありませんね。まず先に、セックスがある。そこから愛情が生まれ、結婚につながっていく、というケースが多いわけです。だから、努力とか忍耐という美徳は、現代には馴染《なじ》まないわけです。
お金がない、ということは忍耐を強いられることになりますから、現代の恋愛には馴染みません。ですからまず、はっきりいえることは、あなたの年齢で結婚してはいけない、ということですね。
「よおし!」ということで、彼が脱サラして、たとえば「餃子《ぎようざ》の王将チェーン」かなんかの店員になって、よっぽど精を出して、月給四〇万円とかの収入をあげるようになれば、それは短期的には幸せな人生を送ることもできるでしょう。
しかし、いつまでも「王将チェーン」に勤めてるわけにもいかないし、彼が二八歳になっても、まだ月収は四〇万円のまま、ということもありえるわけですしね。
「二八歳で月収四〇万円ならいい」という向きもあるでしょうが、考えてもみてください。普通のサラリーマンよりは、その年齢だと収入は多いかもしれませんが、将来、子供ができたときのことを考えれば、問題は収入以外にもあるでしょう?
あなたが子供の学校へPTAかなにかで出かけて行ったときに、家庭の職業を書き込むところへ、「王将チェーン店長」と書けるのか、どうか。
あなたはあなたなりに、短大をちゃんと卒業して一流会社へ就職したわけでしょう。あなたのプライドが「王将チェーン店長」を許さないと思うんですよ。
ですから、いまのところは、彼とつき合っていればいいと思いますが、これから先、彼が、あまりにも「結婚、結婚」というようであれば、すぐにも他の新しい男のコをこさえてしまう、というのがベストだという風に思いますね。