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ぐうたら愛情学47

时间: 2020-10-10    进入日语论坛
核心提示:夏の事件 最近、軽井沢で一人の青年が二人の娘と知り合い、一緒にドライブやゴルフの練習や食事をしたあげく、夕暮になって暴行
(单词翻译:双击或拖选)
 夏の事件
 
 最近、軽井沢で一人の青年が二人の娘と知り合い、一緒にドライブやゴルフの練習や食事をしたあげく、夕暮になって暴行を試みようとして失敗、一人を殺し、もう一人に傷を負わせたという事件がありました。
 私は別にその現場に立ち合ったわけでもなく、加害者や被害者と話し合ったわけではありません。新聞や週刊誌で「夏の軽井沢——若人のスキャンダル」というような記事として読んだだけです。そして、おおむねそれらの新聞雑誌は、加害者の青年だけにすべて非があるような書き方をしていました。
 だが、待てよ。
 男として[#「男として」に傍点]私は考えました。果してこの事件ではこの青年だけが悪いのかしらん。
 今年の軽井沢は、異常な人数の若い青年男女が遊びに来たといいます。あの小さな町に三百万人から四百万人の人が来たというから、これは異常だ。あんな町のどこがおもしろいのかしらん。遊ぶものは東京とそう変わらず、今年は東京並みに暑く、それならむしろ、ほかの海べりや山に出かけた方がいいと思ったぐらいです。恐らく若い男女の半分は、無意識のうちに「何かおもしろいハプニングがあるかもしれん」と思って来たのかもしれません。
 ま、その青年もその一人だったのでしょう。車を動かして女の子を探して歩いていたのでしょう。
 これは余談になるが、今年、軽井沢での夏の終わり、寒いので私が赤いカーディガンを羽織って道に立っていたら、車がスーッと停《とま》って、中から青年が顔を出した。明らかに、赤いカーディガンのため、私を女性と間違ったのである。私はそれに気付いたから、足を広げ立ち小便の真似をしてやった、すると、
「チェッ、男じゃないか」
 といって、彼は車を走らせていきました。
 事件の青年も、この車の彼と同じだったのでしょう。幸運にも彼は、私のように底意地の悪い男にぶつからず、東京から来た二人の娘に声を掛けることができ、彼女たちも車に乗り込んできた。
 いいですか。彼女たちは女だから、「誘われたから乗ってあげたのよ」と考えるかもしれぬ。しかし男の立場からいうと、見も知らぬ女性が車にノコノコ乗ってくれたのは、ある協定が成立したと思うのです。考えてもごらんなさい。無償、無料で車に乗せるタクシーが東京のどこにありますか。
 ましてこの男は二人の娘にドライブを楽しませ、食事を奢《おご》り、ゴルフの練習場で遊ばせている。娘たちもそれを受け入れている。まさか彼女たちは、これらの男の出費が無償の好意とは考えていなかったでしょう。何かを求めてくると思ったに違いない。しかし自分たちは二人だ。道には人もたくさんいる。うまく逃げられると無意識のうちに計算して、男の誘いに乗ったとしか思えない。そこに女の狡《ずる》さがあったような気がします。
 男はその一日、彼女たちのためにかなりの出費をしました。ガソリン代、食事代、ゴルフ練習場の料金。見も知らぬ他人に、それだけの金を使って、
「さよなら。元気でね」
 と別れる男がいたら、それはよほどの聖人か、ばかである。
 彼は聖人でもばかでもなかったから、当然、その代償を求めようとした。そしてピシャッと断わられた。
 私は何もその青年が正しいなどといっているのではない。弁護しているのでもない。彼は当然、裁かれるでしょうが、それはそれで仕方ない。
 しかしだ。今、私が書いたことを読まれて、男の立場からいうと彼もかわいそう、と皆さん、思われませんか。そして娘の方だけが被害者だとは必ずしもいい切れぬ気がしませんか。女の狡《ずる》さというものをお感じにならないでしょうか。
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