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さすらいの女王02

时间: 2020-10-22    进入日语论坛
核心提示:神は味方か敵なのか 女王様は、ナルシシズムの下僕である。「何かしらの才能を認められた女になりたい作家という職業の選択」、
(单词翻译:双击或拖选)
神は味方か敵なのか
 
 女王様は、ナルシシズムの下僕である。
「何かしらの才能を認められた女になりたい→作家という職業の選択」、「お洒落でハイソな女になりたい→ブランド物買い漁り」、「若くてハンサムな男にチヤホヤされたい→ホストクラブでの遊興」、「いつまでも若々しくグラマーな女になりたい→整形手術」……と、このように、自分に何らかの付加価値をつけたがるナルシシズムの欲求にいちいち愚直に応えた挙句、「借金」だの「依存症」だのを抱えて周囲から「イタい女」と認定される、というオチをつけ、結果的には「自分に価値をつける」ための行為がすべて「自分から価値を剥奪する」行為に成り下がる、まるでイソップ童話みたいに寓意に満ちた人生を歩み続けているのだ。
 私の「主人」であるナルシシズムは、いつになったら満足してくれるのだろうか? 「もう、これでいいよ」と、いつになったら言ってくれるのだろうか?
 秋里和国《あきさとわくに》という女流漫画家の作品の中に、クリスチャンであるアメリカ人青年が自殺願望を仄《ほの》めかす主人公(日本人の医者)を叱咤して「人は神がもう死んでもいいというまで生きなけりゃだめなんだ!!」と叫ぶシーンがある。その青年は後に、たったひとりの妹を遺したまま、爆死してしまう(舞台は中近東なのである)。そして主人公は、青年の遺体に向かって「神がもう死んでもいいといったのか?」と問いかけるのだ。この作品は、若かりし女王様の胸にズシンと重い物を落とした。女王様に、「神」はいない。その代わり、ナルシシズムという名の「偽神」が、女王様に向かって飽くことのない奉仕を要求するのである。
 地位も年収も将来性もある男と結婚し、子どもを私立の学校に入れ、高級マンションや瀟洒《しようしや》な一戸建て住宅で何不自由なくハイソな暮らしをしているように見える主婦が、出会い系サイトで知り合った正体不明の男とこっそり会ってセックスする。もしも夫や知人にばれれば、今まで自分が獲得してきたすべての物が泡沫のごとく消え去るというのに。いや、夫や子どもを失うだけならともかく、得体の知れない男に殺される可能性すらあるというのに。彼女たちは、そんな危険を冒してまで、いったい何を確認したいのか。自分はまだ「女」である、という証明か。「ハイソな奥様」という地位は、彼女たちの女の価値を裏付けてくれる物ではないのか。少なくとも女王様よりは遥かに「女としての勝ち組」だと思うのだけれど……。
 あるいは、総合職のキャリアウーマンとして華々しい成功を収めながら、売春婦として夜な夜な街に立ち、僅か五千円で身を売った挙句に殺害された女もいる。彼女は、そのような行為によって、いったい何を確認したかったのか。いかなる神が彼女たちに「出会い系サイトで彼氏を獲得せよ」とか「渋谷の街角で売春せよ」などという指令を与えるのか。満たされぬ性欲ではない、満たされぬナルシシズム、満たされぬ自己確認欲望が、彼女たちを危険きわまる「さすらい」に追い立てるのではないか。
 民よ、さすらう女たちはすべて「女王様」の化身である。我々の「神」は、我々の敵なのか、味方なのか?
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