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ショッピングの女王13

时间: 2020-10-22    进入日语论坛
核心提示:爆運炸裂ペンダント 以前、対税務署用オカルト兵器として瓶詰めの精霊を購入した話を書いた時、私はちょっとオカルト物をバカに
(单词翻译:双击或拖选)
 爆運炸裂ペンダント
 
 以前、対税務署用オカルト兵器として瓶詰めの精霊を購入した話を書いた時、私はちょっとオカルト物をバカにしたような口調であったと思う。
 だが、この際、白状いたしましょう。私はオカルトグッズや幽霊話に対して、きわめてどっちつかずな立場を取っている。脳ミソの八十%くらいの部分はそーゆーモノを否定しているのだが、残りの二十%くらいが信じているとゆーか、ちょっと本気で怖がったり期待したりしてるフシもあって、自分でもオカルト否定派なのか支持派なのか、よくわからないのである。
 まぁ、世の中の人って、ほとんどがこんな感じじゃないのかな……違う?
 で、半分バカにしながらも心の底では一縷《いちる》の望みを持って例の人工精霊を購入したワケなのだが、じつはあの時、私が注文したのは精霊だけではなかったのだ。ついでにね、あのぉ……幸運を呼ぶペンダントも買っちゃったの。しかも、値段は驚くなかれ、七万八千円! 私、バカよね。おバカさんよね。
 そもそも、私がこのオカルト・グッズの通販広告に目を止めたきっかけは、そのペンダントの写真に付されたキャッチコピーの強烈さであった。曰く、
「豪運が唸り爆運が炸裂する阿修羅級の功徳兵器。その御利益たるや、まさに底無し!」
 どうです、凄いでしょ? 世に幸運を呼ぶペンダントの広告は数あれど、ここまで大言壮語したコピーは珍しい。なにしろ豪運が唸って、爆運が炸裂しちゃうんだよ。どんな運なんだ、それは? 私の人生に、何が起こるとゆーの?
 四十年も生きてきて、唸ったり炸裂したりするほどの強運に見舞われたコトのない私は、このコピーにたちまち目が眩《くら》んでしまった。もともと欲の深い女である。ささやかな幸せなんかいらない、シンデレラのような華麗なる一発逆転の大幸運を引き当てたいと心から願うような大それた女なのだ。そうでなきゃ、買い物依存症なんかになるもんか。
 さすがにその値段にはちょっとひるんだが、えーい、ものは試しだ! 買っちまえ!
 てなワケで、買いました。その商品は、水晶のペンダントと置物のセット(ちなみに水晶玉の大きさは両者ともにビー玉くらい)で、値段の割には造りが安っぽい気もしないではないが、まぁそれは気のせいであろう。
 まずは説明書どおりに置物を部屋の東に設置し、ペンダントを厳かに首にかける。その瞬間から、もはや気分は億万長者だ。さぁ、唸れ、豪運! 唸ってくれ、早く!
 だが、一週間たっても二週間たっても、私の人生には何事も起こらなかった。超人的なインスピレーションと集中力で大傑作をものするかとも期待してたのだが、なんと一週間で五行しか書けないという今世紀最大の絶不調に見舞われてしまった。ちなみに私の普段のペースは、小説の場合、一週間で原稿用紙五十枚くらいだ。なのに五行ってのは、さすがにねぇ……私は本気で「小説家、やめようか」とクヨクヨしてしまったよ。
 いや、しかし。小説が書けない理由を、ペンダントのせいにしてはいけない。それはまぁ、九十九%、私の問題であろう。私の怠け心、私の才能の欠如、私の意志の弱さのせいである。
 でも、もうひとつ、気になる問題が水面下で起きていた。
 それは、便秘……。
「なんだ、そりゃ」と言われそうだが、これは大事なコトですよ。私のように、一日に一回か二回はきっちりと便通のある人間にとって、たった一日でも便秘するのは、もう気になって気になって仕方のない事態なのだ。それが、あなた、ペンダントをしてから一週間、ウンともスンとも……。
 おまけに金属アレルギーが出て首の周りが真っ赤に腫れたので、私は泣く泣くペンダントを外したのであった。便秘のほうは、薬の力を借りて、なんとか解決した。そりゃもう、トイレの中では、まさに一週間分の爆ウンが炸裂したのである。
 ドッカ———ン!!!
 なんだかオヤジの駄洒落みたいなオチになってしまったが、恐ろしいコトに、これはすべて実話なのだ。以来、私の中のオカルト支持率は、十%くらいに減少した……ような気がする。
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