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ショッピングの女王42

时间: 2020-10-22    进入日语论坛
核心提示:質屋の利子が90万円 最近、私の新刊本を読んだ主婦の方から、続々と怒りの手紙が出版社に寄せられているそうである。主な怒りの
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 質屋の利子が90万円
 
 最近、私の新刊本を読んだ主婦の方から、続々と怒りの手紙が出版社に寄せられているそうである。主な怒りの内容は「何がビンボー日記よ! 贅沢しまくってんじゃないのよ! 不愉快だわっ!」というモノらしい。
 どうやら、「愛の貧乏脱出大作戦」みたいな、「貧乏+努力=涙の成功」といった、いわゆる泣かせる貧乏話を期待されてたようなのだ。
 ハハハ、残念でしたねぇ。誰がそんな大衆の優越感にご奉仕するよーな美談を書くかっつーの。あたしゃねぇ、破滅の道をまっしぐらに突っ走る浪費の女王様なんだよ。シャネルとエルメスに埋もれて餓死するバカ女、いわば美談の対極に位置する人間なんだよ。正しい貧乏なんかクソくらえってんだ!
 そんなワケで、世間のバッシングを一身に浴びつつ、浪費バカ道を一直線に邁進する女王様は、三カ月に一度、おのれのバカの上塗りをするため、質屋通いをする身の上である。
 なぜ三カ月に一度なのかとゆーと、それは、借りてるお金の利子を払うため……じつは私は、命より大切な腕時計を質屋に預けたまま、二年間も延々と利子を払い続けている状態なのだ。
 今から三年前、女王様は「世にも珍しい限定版のカルティエの腕時計」なるモノに遭遇し、その燦然と輝くダイヤにアッとゆー間に目が眩んで、後先考えずに購入してしまったのであった。値段は二百万円ほどだったかと思われる。もしかしたら三百万円だったかもしれないが、あまり思い出したくないので忘れてしまった。こーゆーコトは、私、よくあります。あまりにも法外な買い物をした時、自己嫌悪に陥るのがイヤで、無理やり値段を忘れてしまうんですね。
 ま、それはいいんだが、問題はその後だ。時計を購入した、わずか一年後、たちまち金に困って、そいつを質に入れてしまったのである。
 バッカでぇ〜。金に困って質に入れるくらいなら、最初からそんな身の程知らずなモノ買うなよ、と、世間の人々は言うであろう。私もそう思うのだが、しかし、本物の衝動買いとは、そーゆーもんなのである。「つい買っちゃって、ちょっぴり後悔。テヘヘ」なんて肩をすくめてる程度で、衝動買いを標榜するたぁ、おこがましい!「なんで買っちゃったんだ、私のバカバカ! 死んでしまえ〜!」と、ベッドに潜り込んで呻吟し、挙げ句の果てには泣く泣く質屋に持っていくという大ボケ野郎でなくちゃ、浪費バカにはなれんのじゃあ! わかったか、凡人どもめ! ハァハァ(興奮)。
 しかし、私の場合、バカさ加減はその程度で留まらない。質屋に入れた後、それを請け出す金もなく(じつは、腕時計ふたつで、百六十万円借りてるんだが)、さりとてキッパリと流してしまう諦めもつかず、ズルズルと利子だけ払い続けて二年間。先日、質屋のオジサンと計算してみたら、すでに九十万円も利子を払っているコトが判明したのである。
 きゅ、きゅーじゅーまん……質屋のカウンターの前で、あたしゃ絶句しましたとも。そんだけありゃ、ロレックスでも何でも買えるじゃないか! 分不相応なカルティエなんかきれいに諦めて、一から出直せ、中村うさぎ! ね、そう思うでしょ、皆さん? 私もそう思いますよ。
 だが、そこで諦めきれないのが、女王様の業の深さなのである。なぜ諦めきれないのかとゆーと、こーゆーコトだ。
 たとえば、その時計が質流れ品となって、格安の値段で売り出されるとする。すると、誰か他の女……たぶん、私のようなブランド・バカ女が、「あら、安いわぁ。ウフフ」なんて大喜びで買うワケだよ。その姿を想像すると、想像すると……。
 ぐわぁ——っ、許せ——ん! ちょっと、それは私の時計なのよ! 触らないで、このブス!
 なーんて、勝手に妄想して勝手に逆上しちゃう女王様なのである。男を盗られたってどうってコトないが、自分のお気に入りの服や時計を横取りされるのだけは我慢できない……この狂った物欲のおかげで、これまで何度、無謀な買い物をしてきたコトであろーか。
 バカは死ぬまで治らない。女王様はきっと、死ぬまで時計の利子を払い続けるであろう。世間よ、どうぞ笑ってくれたまえ。
 
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