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正しい乙女になるために02

时间: 2020-10-28    进入日语论坛
核心提示:春の日には、菜の花畑 小学一年生の理科の時間に「アブラナの観察」を習いました。かなり大きくなるまで、僕は「アブラナ」と「
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 春の日には、菜の花畑
 
 小学一年生の理科の時間に「アブラナの観察」を習いました。かなり大きくなるまで、僕は「アブラナ」と「菜の花」が同一のものだとは知りませんでした。春風にはにかむようになびく菜の花と、虫が這い回る油の原料とが同じだと、思いもよらなかったのです。教科書に「菜の花の観察」と載っていれば、僕は理科好きの男のコになっていたかもしれません。
 春の日に京阪電車に乗り大阪から京都へ向かえば、淀駅を過ぎる頃から線路沿いは菜の花で飾られます。硝子越しだともう暑い窓際から外を眺めていると、中書島《ちゆうしよじま》駅にさしかかる手前の鉄橋の下に、宇治川が流れているのが解ります。広い河川の岸辺には、一面に拡がる菜の花畑。川の流れを祝福するかのように、延々と黄色い絨毯《じゆうたん》は続いています。この河川敷に降りてみたくて、僕は途中下車をします。河川へ向かおうとすると、道は途中で自動車道に突き当たり、ガードレールを越えて道路を横断しなければ岸まで辿《たど》り着けません。人の姿はまるでなく河辺へと降りれば、腰の高さ程の菜の花がびっしり咲き並んでいるのでした。まさにそこはお花畑。キラキラと輝く川面に沿って、何処まで続くのか解らない菜の花畑を歩いて行くと、自然に造られた人一人分程の道が現れます。その道を更に進みゆけば、両脇の菜の花は次第に高さを増してゆく。ふと気がつけば、菜の花は遥か頭の高さを越えています。振り返るとそこは菜の花で続くアーチの通路。春の日差しが黄色くハレーションをおこした花の迷宮で、しばし僕は立ち尽くします。
 また歩きだすと、菜の花は徐々に腰の位置まで戻ってまいりました。こうして風景は、ゆっくりと静かに現実と重なってゆきます。春のひとときにしか味わえない、一等素敵な乙女のお出掛けです。
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