はじめにねえ、恥ずかしいことではあるが、私は決して他には話さなかった自分自身の女性体験を赤裸々に告白したいと思う。いわば個人の秘密、プライベート・シークレットをこのように打ちあけるのは、自分としてもなかなか気が進まなかったのであるが、ついに筆を執った次第である。
しかし、何といっても一人の男の赤裸々な女性体験であるから、その露骨さにあるいは驚かれる方がいるかもしれぬ。あるいはこの一文によって興奮される読者がおられるかもしれぬ。驚かれてもいい、興奮されてもいい。それは諸君の自由だからだ。しかし決して他言だけはされないようにお願いする。それは私にとって口にするだけでも恥ずかしい秘密なのだから。
結論から先に申しあげれば、私はこの年になって女性に消すことのできない不信感を心のすみで抱くようになっている。私は今から語るように次から次へと女性に裏切られていったからである。ああ少年のバラ色の夢よ。そのなかで女性は私のような男にとっても、どんなに美しいベールに包まれていたであろう。それはやさしさと優雅さと可憐さ、そして清純さの象徴であった。しかし今、私の舌の上には、にがい悔恨と幻滅としかない。