ある日の事、キツネは狩りに出かけました。
一日中、野原や山をかけ回って、袋にいっぱいの獲物を捕まえました。
♪おてんとさまは、ピッカピカ
♪野原の風は、そーよそよ
♪おいらの袋は、いっぱいのぱい
キツネは、とてもごきげんです。
それを見たウサギは、ニヤリと笑いました。
「しめしめ、あの袋の獲物を横取りしてやろう」
ウサギはピョンピョンと飛び出して、道の真ん中にゴロリと寝ころがると、死んだふりをしていました。
「うん? ・・・ありゃ、こんな所にウサギが死んでる」
ウサギを見つけたキツネは、舌をペロリと出しました。
「まるまる太っていて、うまそうなウサギだな。でも、今日は袋にいっぱい獲物があったし、死んだウサギなんかいらないや」
キツネはウサギを転がしたまま、スタスタと行ってしまいました。
ウサギはヒョッコリ起きあがると、大急ぎで森の中を先回りしてキツネの先へ出ました。
「よいしょ」
ウサギは、また死んだふりをして、道の真ん中へ寝ころがりました。
しばらくして、キツネがやって来ました。
「おや? またまたウサギを見つけたぞ」
キツネは舌をペロリと出すと、しばらく考えました。
「今日は、いっぱい獲物があるけど、このウサギを置いて帰るのももったいないな。これは明日の晩ご飯にしようかな。・・・そうだ! さっきのウサギは、あさっての晩ご飯にしよう」
そう思いつくと、キツネは獲物の入った袋を地面に置きました。
「引き返して、さっきのウサギも拾って来るとしよう」
袋を置いたままキツネが走って行ったのを見て、ウサギはヒョッコリと起きあがりました。
「うまくいったな。ではキツネくん。これはありがたくちょうだいするよ」
ウサギは獲物の入った袋をかついで、家へ帰りました。
さて、キツネはというと、
「おかしいな。死んだウサギが二匹ともいなくなったぞ。それに、獲物の入った袋も消えちまった」
キツネは首を傾げると、トボトボと家に帰って行きました。