ある時、ホジャおじさんのところへ、知らない人がウサギを一羽、持ってきてくれました。
「やあやあ、これはありがたい」
ホジャおじさんはお礼にウサギのスープを作って、その人にもてなしました。
次の日、やはり知らない男がやってきて言いました。
「昨日、あんたにウサギを持ってきてやった者の身内だ」
「???? では、ウサギのスープをどうぞ」
ホジャおじさんは、おかしいなと思いましたが、ニコニコしながらウサギのスープをごちそうしました。
そして次の日、また知らない男が、三人もやってきました。
「どなたじゃな?」
「わしらはウサギを持ってきた者の、となり近所の者で」
「??????」
ホジャおじさんは無言のまま、この男たちにもウサギのスープをごちそうしました。
そのまた次の日、またまた知らない五人の男たちがやってきました。
「お前さんらは、どなたじゃな?」
「わしらはウサギを持ってきた者の、となり近所の、そのまたとなり近所の者で」
「??????」
まったく、これではきりがありません。
ホジャおじさんは男たちを追い返そうと思いましたが、少し考えると、笑顔で言いました。
「そうですか。それはよう、おいでなさった。ささ、どうぞこちらへ」
そしてホジャおじさんは、お客の前に水を入れたどんぶりを一つおきました。
「どうぞ、めしあがれ」
「こりゃ、何じゃい?」
五人の男たちがあっけにとられて聞くと、ホジャおじさんが言いました。
「これは、もらったウサギのスープの、そのスープで作ったスープの、そのまたスープで作ったスープじゃ!」