ひとりカヤックで朝の海をめぐる。ワシやクジラ、クマの親子と出合う。苔(こけ)むした倒木に触れて森の神秘を知る――。写真家星野道夫さんの「森へ」は詩情あふれる旅行記である。彼の文章と写真は近年、小中高校の教科書に数多く載っている。
一个人划着皮艇巡弋在清晨的大海中。遇见了鹫、鲸鱼还有黑熊母子。抚摸着倒伏在地面长满苔藓的树木才明白森林的神秘---。这就是摄影家星野道夫充满诗情画意的旅行游记《去森林》。他的多篇文章与照片近年来被摘录进小中高学校的教科书中。
ヒグマに襲われて亡くなってから20年。巡回展「星野道夫の旅」がきょう横浜で始まる。先日、京都の会場を訪れると20、30代らしき姿が多かった。「教科書で夫の作品と出会ったと言う方が多くて励まされます」と妻の星野直子さん(46)。
遭遇棕熊袭击身亡已过去20年时间。巡回展《星野道夫的旅行》从今天起在横滨开展。前几天我到访京都会场时,看到很多二三十岁的人。他的妻子星野直子(46岁)表示:“有很多人说曾在教科书中与我丈夫相遇,很受鼓舞”。
たとえば高校の教科書にある随想「水の惑星」。氷河の話す声を聴き、森の呼吸に耳を澄ます。壮大な写真とあいまって読む者を氷河の奥へいざなう。
比方说,高中的教科书中有随笔《水之行星》。倾听冰川的对话声,聆听森林的呼吸声。和气势磅礴的照片交相呼应邀请读者一同走进冰川深处。
星野さんをアラスカに導いたのは、東京の古書店で買った写真集だ。先住民の村を空からとらえた米写真家の1枚に魅せられる。名も知らぬ村長に慣れない英文で手紙をしたためた。「写真集で村を見た。訪ねたい」。初めて旅したのは19歳だった。43歳で急逝するまでアラスカを撮り続けた。
让星野走进阿拉斯加的契机是在东京的二手书店买到的照片集。美国摄影家从空中拍摄的一张原住民村落的照片深深打动了他。他用生疏的英语给名字都不知道的村长写信:“在照片上看到了村庄。想前去拜访”。第一次旅行是19岁的时候。直到43岁突然离世前一直在拍摄阿拉斯加。
彼の作品に人生を突き動かされた若者は何人もいる。直子さんは昨秋、アラスカで日本人留学生から「星野さんの写真を見て、こちらの大学で野生動物の管理を学んでいる」と言われたという。
有很多年轻人因他的作品而重唤人生。据说去年秋天一位在阿拉斯加的日本留学生曾对直子女士说:“看到星野先生的照片后就在这里的大学学习野生动物管理”。
崩れ落ちる氷河、命うごめく原生林。生と死の循環を描く写真を見ていると、人間の存在がはかなく感じられる。自然の一部にとけこもうとした写真家の作品は、次世代の胸の奥にたしかな響きを残し続けるだろう。
崩塌的冰川,生命蠕动的原始森林。看着这些描写生死轮回的照片,深感人类存在的脆弱无常。这位一直想融入自然并成为其中一部分的摄影家的作品将永远给下一代带来触动心灵深处的影响吧。