そのお礼言上に参上したとき、正則の重臣である福島丹波・尾関石見・長尾隼人の三名も同席を許されました。ところが、福島丹波は片足が不自由で、尾関石見は唇の上部が裂け、長尾隼人は片目が潰れていました。そんな三人が勢揃いしたのを見て、家康の近習の何人かが忍び笑いをしました。謁見が終わって正則らが退出すると、家康は烈火の如く怒り出しました。
「お前たちは何を笑うか。あの三人は戦場で命を懸けて戦ったからこそ、あのような姿になったのだ。三人ともそれを恥とも思わず、勲功の証を示すように堂々としていたではないか。お前たちも見習え!」