「まあね、僕は、あいつがちょっと間ま抜ぬけだってずっとそう思ってたんだ」そう言うと、ロンは、ハリーの震ふるえているルークに向かってクイーンを進めた。「よかったな。この次は、誰かもっと――いいのを――選べよ」
そう言いながら、ロンはハリーのほうを、妙みょうにこっそりと見た。
「そうね、ディーン・トーマスを選んだけど、ましかしら」ジニーは上うわの空で聞いた。
「なんだって」ロンが大声を出し、チェス盤をひっくり返した。クルックシャンクスは駒を追って飛び込み、ヘドウィグとピッグウィジョンは、頭上で怒ったようにホーッ、ピーッと鳴いた。
キングズ・クロスが近づき列車れっしゃが速度を落とすと、ハリーは、こんなにも強く降おりたくないという気持になったことはないと思った。降りないと言い張ったら――列車が自分をホグワーツに連れ戻る九月一日まで、てこでもここを動かないと言ったらどうなるだろうと、そんな思いがちらりと過よぎるほどだった。しかし、ついに列車れっしゃがシューッと停車ていしゃすると、ハリーはヘドウィグの籠かごを下ろし、いつもどおり、トランクを列車から引きずり降おろす準備に取りかかった。
車しゃ掌しょうが、ハリー、ロン、ハーマイオニーに、九番線と十番線の間にある魔法の障しょう壁へきを通り抜けても安全だと合図した。通り抜けた障壁の向こう側では、びっくりするようなことがハリーを待ち受けていた。まったく期待していなかった集団がハリーを出迎でむかえていたのだ。
まずは、マッド‐アイ・ムーディが魔法の目を隠すのに山やま高たか帽ぼうを目深まぶかに被かぶり、帽子があってもないときと変わりなく不気味な雰ふん囲い気きで、節ふしくれだった両手に長い歩ほ行こう杖づえを握にぎり、たっぷりした旅行マントを巻きつけて立っていた。そのすぐ後ろでトンクスが、明るい風船ガムピンクの髪かみを、駅の天井の汚れたガラスを通して射さし込こむ陽ひの光に輝かがやかせていた。継つぎはぎだらけのジーンズに、「妖女ようじょシスターズ」のロゴ入りの派は手でな紫むらさきのシャツという服装ふくそうだ。その隣となりがルーピンだった。青白い顔に白髪しらがが増え、みすぼらしいセーターとズボンを覆おおうように、すり切れた長いコートを羽は織おっている。集団の先頭には、手持ちのマグルの服から一いっ張ちょう羅らを着込んだウィーズリー夫妻ふさいと、けばけばしい緑色の鱗うろこ状じょうの生き地じでできた、新品のジャケットを着たフレッドとジョージがいた。
“是呀,我已经选择了迪安·托马斯,你是不是认为他要更好一些?”金妮含糊地问。