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蛇神2-1-3

时间: 2019-03-24    进入日语论坛
核心提示:    3 テーブルの上の電話機をちらと見てから、棚の上の置き時計を見る。そして、再び電話機を見て、日美香は深いため息を
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 テーブルの上の電話機をちらと見てから、棚の上の置き時計を見る。そして、再び電話機を見て、日美香は深いため息をついた。これで何度めのため息だろう。
 あのあと、行きつけの小さなフランス料理店で佑介と夕食を済ませ、ワンルームのマンションに帰ってきてから、日美香は、こんな一連の動作を繰り返し、そのたびにため息ばかりついていた。
 母に電話をかけなければ。そして、今日、新田佑介からプロポーズされたことを話さなければ。
 そう思い、電話に手がのびかかるのだが、どうしても、それ以上の行為に出ることができない。のびかけた手は宙で止まり、一瞬のためらいの後、また膝《ひざ》の上に戻ってしまうのだ。
 母にこの話をすれば大喜びするのは目にみえている。以前、佑介と付き合っているということを打ち明けたときでさえ、まるで自分が恋人を見つけたように大はしゃぎした母だから……。
 しかし、母の喜ぶ声を聞けば聞くほど、自分の気持ちが沈みこむだろうということも日美香は嫌というほど分かっていた。
 だから、どうしてもためらってしまう。
 明日にしようかな……。
 そんな弱気な気分になりかけたとき、目の前の電話が鳴った。
 日美香はすぐに受話器を取った。佑介だった。
「どうだった? お母さんの都合は? 来られるって?」
 佑介は矢継ぎ早に聞いた。
「あ……これから電話するところ」
 日美香がそう言うと、佑介は、「なんだ」と呟き、あとでまた電話すると言って切った。
 どうやら、これで、明日というわけにはいかなくなったようだ……。
 日美香は、肺腑《はいふ》から絞り出すように、また一つため息をつくと、ようやく決心したように、短縮に登録してある母の店の番号を押した。
 時刻は午後十一時を少しすぎたところだった。この時間帯なら、母はまだ店の方にいるはずだった。
 受話器を耳にあて、しばらく呼び出し音を聞いていると、むこうの受話器の外れる音がして、やや金属的な母の声がした。
「わたしだけど」
 そう言うと、
「日美ちゃーん?」
 母の声がいっそうかん高くなった。母の大好きな、そして、日美香の大嫌いな湿っぽい演歌が漏れ聞こえてくる。客がいるような、ざわついた気配も伝わってくる。母はすでに酔っ払っているようだった。
「どうしたの。珍しいじゃない。あんたが店に電話してくるなんて」
 母の声が嬉しそうに弾んだ。客らしき男の声で、「誰?」と言っている。「娘、娘」と母の声。
「ちょっと話があるんだけれど……」
 日美香は仕方なくそう言った。
「今?」
「そう、今」
 できれば、店ではなく自宅の方でしたい話だったのだが、母が店を閉めて自宅に戻るのは明け方であることが多かった。
「静かにして。娘が話があるんだってさ」
 客にそう命令している母の声が聞こえてきて、日美香は鼻白んだ。
 演歌は相変わらず聞こえていたが、にわかに客たちの声が消えた。
「あのね……」
 渋々、そう切り出すと、日美香が話し終わらないうちに、
「うそーっ。うそでしょ? エイプリルフールならもうすぎたよっ」
 という、母の興奮した声が日美香の耳をつんざいた。日美香は顔をしかめて、受話器を耳から少し離した。
「うそじゃないわよ。それでね……」
 むこうの両親が一度会いたいと言っているので、ゴールデンウイークあたり都合がつかないかと聞くと、日美香の声に覆いかぶさるように、
「行くわよ。行きますよ。ゴールデンウイークね? いつだっていいよ。いつだって空けておくから」
 と母の声。そして、日美香の話をいちいち客たちに伝えているらしく、「結婚?」「学者一家?」「玉の輿《こし》かあ?」などという酔客のはやし声が聞こえてくる。
 田舎町の小さなスナックバーは興奮のるつぼと化してしまったようだ。全く予想通りの反応だった。
 母の声は、アルコールが入っているせいもあって、完全に舞い上がっている。もうとてもまともに話などできる状態ではないようだ。
 日美香はまた明日にでも電話すると言って、慌てて切ってしまった。
 やっぱり上京するつもりなのか……。
 ひょっとしたら、既にゴールデンウイークの予定は埋まっていて、急に上京なんかできないとでも言ってくれたらという淡い期待もあったのだが……。
 日美香はまたため息をついた。
 そして、一度切った電話機を取り上げると、今度は佑介の携帯にかけた。母ならいつでも都合がつくということを告げると、佑介は、それじゃ、日取りはこちらで決めていいんだねと、彼にしては珍しく、はしゃいだような声を出した。
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