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蛇神5-2-6

时间: 2019-03-27    进入日语论坛
核心提示:     6 同日同夜。 神家の母屋から少し離れたところに建てられた茶室では、いつぞやのように、神聖二と郁馬が向かい合っ
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      6
 
 同日同夜。
 神家の母屋から少し離れたところに建てられた茶室では、いつぞやのように、神聖二と郁馬が向かい合って密談していた。
「……やっぱり、あの喜屋武という女は危険ですよ、兄さん」
 郁馬は、険悪な表情で次兄に詰め寄るようにして言った。
「一夜様《ひとよさま》のことを竹林で見たと近藤夫妻に話したのは、あの女に間違いありません。二週間ほど前といえば、ちょうどあの女がここに滞在していた頃ですから。もはや、のんびり監視なんかしてる場合じゃありません。あの女は今すぐにでも始末すべきです」
「そう慌てるな。一夜様の件については、ああしておけば、喜屋武という女も自分の勘違いだったと思い込むだろう。焦って、すぐにどうこうする必要はない」
 聖二は冷静に言った。
「それでは手ぬるいです。一夜様の件は上手くおさめたとしても、この先、どんな騒ぎを引き起こす元になるか分かりませんよ、あの女は。それに、女の身辺を探らせていた者からの報告では、案の定、伊達浩一とは五年前まで恋人関係にあったそうです。思った通りでした。ただの友人じゃなかったんです。やはり、探偵を送りこんできた張本人はあの女だったんです。元恋人の探偵を使って、この村のことを探ろうとしていたんです」
「何を探ろうとしていたんだ? あの女が日登美やこの村に興味をもって探ろうとしている動機はなんだ。それは分かったのか」
「いえ、その点については、まだ……。おそらく、僕の思うところでは、達川と何らかの交友関係があって、達川からこの村のことを聞いていたのかもしれません。達川は大手出版社の元週刊誌記者で、あの女も神田の出版社に勤めているということですから、出版関係者つながりで、前から知り合いだったとも考えられます」
「おまえの推測なんか聞いてない。あの女がこの村に興味をもった動機を探れと言ってるんだ。それとも、達川の部屋から、喜屋武という女との交友関係を示すようなものでも見つかったのか」
「いや、それは何も……。アドレス帳の類《たぐ》いからも、喜屋武という名前は見つかりませんでした。でも、そんなことはどうでもいいじゃないですか。動機は何であれ、あの女がこの村に何らかの疑惑をもって探っているというのは確かです。それだけで十分じゃないですか。要は、我々にとっては、危険な存在だということです。今のうちに始末しておいた方が——」
「虫でも捻《ひね》りつぶすように言うな」
 聖二は不快そうに吐き捨てた。
「しかし」
 郁馬は白面に不満と苛立《いらだ》ちを露《あらわ》にして、さらに言い募った。
「危険な芽は芽のうちに摘め。そう教えてくれたのは兄さんですよ」
「……」
「あの女は、我々にとって、まさに危険な芽です。摘み取るとしたら今しかないです」
「勘違いするな、郁馬」
 聖二は厳しい声で一喝《いつかつ》した。
「危険な芽を摘めというのは、手当たり次第に芽を引っこ抜けという意味じゃない。危険性を察知したら、何らかの手段を講じてその危険性を最小限に抑えろという意味だ。たとえ最悪の手段を使うにしても、それは、他に手立てがないと判断した場合の最終手段としてだ。おまえのやり方は性急すぎる。他の手立てを一切考えようとしない。一夜様の件にしろ、もし、あそこで私が通りかからなかったら、おまえはあれをどう処理していた?」
「あんな夫婦なんか問答無用で追い返していましたよ」
 郁馬は当然のように言い放った。
「それだから、おまえは……」
 聖二は嘆くように呟《つぶや》いた。
「僕のやり方のどこがいけないんです? ここでは、潔斎《けつさい》中の日女様には親ですら会えないという掟《おきて》があるのは事実なんだから。そう言い張って追っ払えばいいんですよ。何も、あんな手の込んだ真似をしなくても」
 郁馬はふて腐れたように答えた。
「この村の人間にとっては鉄の掟も、よそ者には通用しないぞ。それに、そんな対処の仕方で、あの夫婦が納得すると思うのか」
「納得しようがしまいが……」
「納得しなければ、夫婦のこの村への疑惑はさらに深まり、子供可愛さのあまり、次はもっと強硬な手を使ってくるかもしれない。そうなってからでは厄介だ。そうなる前に、ここで見たという子供は人違いだったと納得させた方がいい。そうすれば、二度と妙な疑惑は抱かなくなる。喜屋武という女にして同じだ。あの夫婦から報告を受けて人違いだったと分かれば、この村に抱いている他の疑惑も、勘違いだったと思うようになるかもしれない。この手の心理というのは連鎖するんだ。一度あることに疑惑をもつと、あれも怪しいこれも怪しいと、いわゆる疑心暗鬼の状態に陥ってしまうが、同時に、あることが自分の妄想や勘違いに過ぎなかったと分かれば、他のこともそうだったのかもしれないと思いがちになる。そうすれば、自然に、あの女がこの村に抱いている疑惑も薄れていく。これが危険の芽を摘むということだ。おまえのやり方では、危険の芽を摘むどころか、新たに危険の種をばらまいているようなものだ」
「……」
「それに、万が一、最終手段を取るにしても、今度は、達川のときのように簡単にはいかないぞ。達川は、たまたま妻子と別れて一人暮らしだったから、あんな杜撰《ずさん》で荒っぽい手口でもなんとかなっただろうが、喜屋武という女はまだ独身らしいが、高校生の甥《おい》と同居しているという話じゃないか。となれば、同じ手は使えないだろうし……」
「方法はいくらでもありますよ」
 郁馬は即座に言った。
「あの女の身辺を洗わせて、生活パターンのようなものは大かた把握しています。通勤には電車を利用しているようですが、自宅から最寄りの駅まで、いつも十五分ほどの距離を歩いて通っているようです。もし、この帰り道、視界の悪い曇りか雨の日に、運悪く暴走してきた車に轢《ひ》き逃げされたとしても、よくある交通事故くらいにしか思われないでしょうね……」
「とにかく」
 聖二は幾分腹に据えかねたような声で言った。
「まだ早まったことはするな。おまえは私の指示に従ってさえいればいい。最終的な決断は私が下す。それまでは、女を監視するだけにしろ。達川のときのような勝手な真似は二度と許さないぞ」
「……はい」
 郁馬は何かいいたげに口を開きかけたが、思い直したように、渋々|頷《うなず》いた。
「それと、もう一つ気になることがある。あの女は沖縄の玉城村《たまぐすくむら》の出身だということだったな……?」
 聖二はふいにそう言った。
「はい。今のところ、分かっているのは、両親とは早くに死別して、年の離れた姉が一人いたようですが、これとも数年前に死別したようです。同居している甥というのは、どうやら、この姉の子供のようです。後、もう一人、姪《めい》もいるようですが、こちらとは住まいは別にしているようで……」
「玉城村というと、武《たける》を刺した女も、確かこの村の出身だったとか」
 聖二は呟くように言った。
「偶然かもしれないが、どうも気になる……。もしかしたら、喜屋武という女と、あの事件の犯人との間には何かつながりがあるかもしれない。そのへんをもう少し探ってみろ」
「はい、分かりました」
 郁馬はそう言うと、一礼して立ち上がりかけたが、
「あの、兄さん」とやや思い詰めたような表情で言った。
「なんだ」
「武……様に、宮司職を継げと言ったというのは本当ですか」
 聖二は、何のことだという顔で、突っ立ったままの弟を見上げた。
「その、武……様がちらとそんなことをおっしゃっていたものですから。ここに来た日に、兄さんに社を継げと言われたと」
「ああ、そのことか」
 聖二はようやく思い出したような顔になった。
「あれは冗談だよ。大日女《おおひるめ》様のところにご挨拶《あいさつ》に行くときに、神官の装束を着せてみたら意外に似合っていたから、いっそ、その格好で一生過ごすかって冗談で言っただけだ」
「冗談なんですか」
 郁馬はじっと兄の顔を見下ろして、探るような目で聞いた。
「まあ、本人がその気になってくれたら、それでもいいとは思ったんだが。あいにく速攻で断られたよ。こんな山奥の古ぼけた社の神主なんて御免だとさ」
 聖二はそう言って、そのときのことを思い出したように苦笑した。
「その山奥の古ぼけた社の神主になるために……」
 郁馬が口元を意味ありげな微笑で歪《ゆが》め、押し殺したような声音で言った。
「大学院へ行くのもあきらめ、あなたに言われるままにここに帰ってきた僕は、武様から見ればどう見えるでしょうかね」
「郁馬……」
「武様がこんなものいらないと投げ捨てた残飯に喜んで食らいついてる犬みたいに見えるでしょうか」
「おまえ、どうしたんだ。最近、少しおかしいぞ」
 聖二は眉《まゆ》を顰《ひそ》めて、弟の顔を見返した。
「いえ、別に。なんでもないんです……」
 郁馬はそれだけ言うと、手荒な仕草で障子を開けて茶室を出て行った。
 その怒りを押さえ込んでいるようにも見える後ろ姿を、聖二はじっと見送っていた。
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