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蛇神5-4-6

时间: 2019-03-27    进入日语论坛
核心提示:     6 台所を出た日美香の足は、いったんは自分の部屋に戻りかけたものの、途中で思い直して、耀子の部屋に向かっていた
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 台所を出た日美香の足は、いったんは自分の部屋に戻りかけたものの、途中で思い直して、耀子の部屋に向かっていた。
 武の部屋から見つけてきたあの写真のことで、耀子に聞けば何かもっと分かることがあるかもしれないと思ったからである。
 それに、年齢的に考えて、祖母の緋佐子の傍らに写っている女児は耀子ではないかと思いついた。それならば、この写真を撮られたときのことを何か覚えているかも……。
 その話を聞きたい。
 そんな期待もあった。
 回廊のようになった長い廊下をぐるりと巡って、耀子の部屋まで行くと、外から声をかけた。すぐに返事があった。
 襖を開けて中に入ってみると、耀子は、子供のものらしき浴衣《ゆかた》の繕いをしていた。台所仕事同様、こうした家事労働は、日女は一切しなくてもいいのだが、和裁が趣味だというこの女性は、自らの楽しみとして、よく子供たちの肌着や浴衣などを縫ったり繕ったりしていた。
 こうして縫い物などしながら、時折、部屋を訪ねてくる子供たちの話し相手をして一日の大半をのんびりと過ごしている。
「耀子さん。これを見て戴《いただ》きたいんですが」
 日美香は、耀子のそばに寄ると、スカートのポケットから例の写真を取り出して、それを差し出して見せた。
 武の部屋の押し入れの奥にあった古いアルバムから見つけたと言い、「そこに写っている女性は、わたしの祖母でしょうか」と聞くと、耀子はその写真を手に取って、「まあ、こんな古いものを……」と懐かしそうに見ていたが、
「そうですよ。この人があなたの御祖母様《おばあさま》です」と答えた。
 やはりそうか。
「祖母の傍らにいる女の子は耀子さんでしょうか」
 さらに聞くと、耀子はかぶりを振り、
「いいえ。これはわたしではありません。この子は、たぶん、聖二さんですよ」と言った。
「え。これ、お養父《とう》さんなんですか。でも、髪を伸ばして女の子みたいに見えますけど」
 日美香は少しびっくりしてそう聞いた。
 これがあの養父?
 髪をオカッパにして肩に散らし、顔立ちも繊細で愛らしいので、てっきり女児だと思い込んでいた。
「お印のある日子《ひこ》様は、幼児のうちは、男の子でも日女のように髪を伸ばす風習があるのですよ、ここでは。長い黒髪には神意が宿ると昔から言われていて。それで、聖二さんも子供の頃はこうして髪を伸ばしていたんです」耀子はそう説明したあとで、何かに気づいたような顔になり、
「こうして見ると、あなたは本当に緋佐子様に似ておられますね……」
 感嘆するようにそう言って、手にした古い写真と目の前の日美香の顔をつくづくと見比べた。
「はじめてお会いしたときは、お母様によく似ておいでだと思ったのですが、むしろ、あなたは御祖母様に似ておられるんですね」
「お寺のご住職にも同じようなことを言われました。わたしは、母よりも、祖母の若い頃にそっくりだと。たとえば、顔だけでなく、体格なども。母は小柄な人だったようですけれど、祖母は当時の女性としては若干上背があって、そんなところもわたしに似ているそうです」
 いつか宴会の席で、酔っ払った日の本寺の老住職が、日美香の全身を眺め回すようにして、そう漏らしたことを思い出した。
「今となっては、緋佐子様のことを覚えておられるのは、神家ではご住職と信江さんくらいのものでしょう。なにせ五十年近くも昔のことですから。わたしも、当時は小さくて、あの方のことはおぼろげにしか覚えていないのです」
 耀子はしみじみとした声音でそう言った。
「あの……この写真を撮ったのは、先代の宮司さんではなかったでしょうか」
 思い切って、そう聞いてみた。
 なんとなく、写真を見たときに、ふっと頭にひらめいたことだった。理屈も何もない。まさに脳裏にひらめいたとしか言いようがない。
 白衣に浅葱《あさぎ》の袴《はかま》をつけた男性がカメラを構えているイメージがふっと頭に浮かんだのだ。宮司ではないかもしれないが、撮ったのは神官の衣装をつけた男性だと……。
「おそらくそうでしょう。父は若い頃、カメラに凝った時期があって、うちの者を誰かれなく撮っていたことがありましたから。きっと、これもその一枚でしょう」
 耀子はそう言ったあとで、
「でも、どうして、これが父が撮ったのではないかと……?」
 と不思議そうに聞いた。
「なんとなく。なんとなくそんな気がしたんです。変なんです。この写真を見たとき、無性に懐かしく感じられて。まるで、遠い昔、こんな風景の中にいたことがあるような。小さな子を遊ばせていたら、誰かにこんな写真を撮られた記憶が微《かす》かにあるような。それが白衣に浅葱の袴をつけた男性だったような……」
 日美香は半分熱に浮かされるように話した。自分でも何をしゃべっているのか分からない。
「まるで、まるで、ここに写っている女性がわたし自身みたいな……とても変な気分になったんです」
 そんなことを口走る日美香の顔をじっと見つめていた耀子は、
「もしかしたら……」
 とふいに真顔で言った。
「あなたは緋佐子様なのかもしれませんね」
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