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蛇神5-4-7

时间: 2019-03-27    进入日语论坛
核心提示:     7「わたしが祖母とはどういうことでしょうか?」 日美香は耀子の言葉にめんくらって聞き返した。「五月にこの村を訪
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「わたしが祖母……とはどういうことでしょうか?」
 日美香は耀子の言葉にめんくらって聞き返した。
「五月にこの村を訪れたとき、はじめて訪れた場所なのに、どこか懐かしいという、そんな印象はありませんでしたか」
 しかし、耀子は日美香の質問にはすぐに答えず、謎めいた深い目をして、何かを確かめるようにそう聞いてきた。
「ありました。バス停を降りて、一の鳥居の前まで来たとき、とても奇妙な気分になりました。はじめて来た所なのに、とても懐かしい。前にもこんな風景の中にいたことがある。そんな既視感のようなものに襲われたんです」日美香は勢いこんで言った。
 それは村の入り口だけではない。この神家の敷地に一歩入ったときも、今は養父となっている男にはじめて会ったときも。同じような奇妙な感覚に襲われた。
 懐かしい。自分は帰るべきところに帰ってきた。長い長い旅の末にようやく古巣にたどりついた。会いたい会いたいとずっと思っていた人にやっと巡り会えたとでもいうような……。
 しかも、この既視感のようなものは、今もなお、毎日のように感じている。
 あ。わたしはこれを知っている。これを前にも見たことがある……。
 武の家庭教師としてここで暮らすようになってから、この家に昔から存在している古いものを見るたびに、そんな不思議な感情に捕らわれている……。
 そのことを耀子に言うと、耀子の目がきらきらと興奮したように輝き出した。
「もはや疑いようがありません。あなたは緋佐子様です。話には聞いていましたが、日女《ひるめ》にも、転生《てんしよう》の能力があったのですね。あなたはそれを見事に果たされて、ついに戻って来られたのですね……」
 耀子はそんな謎めいたことを口走ると、何のことやら理解できず、ただ茫然《ぼうぜん》としている日美香の両手を取って強く握り締めた。
「あ、あの、その転生の能力というのは……」
 うろたえながら聞くと、
「我々|物部《もののべ》の者は、古くから、霊や魂魄《こんぱく》を操ることができる部族であると言われています。物部の物とは、本来は、霊《もの》を意味する言葉なんですよ」
 耀子は、日美香の手を握り締めたまま、そう語り出した。
「古より、物部は呪術《じゆじゆつ》に長《た》けていました。大和に居た頃、強大な権力を誇っていたのも、この力ゆえでした。こうした魂魄を操る秘法の中でも、我々が一番得意とした術、物部神道の極意ともいうべきものは、死人反生《しびとはんじよう》と呼ばれる秘法なんです」
「しびとはんじょう?」
「ええ。死人反生とは、簡単にいえば、呪術によって死者を蘇《よみがえ》らせることです。それは、死反《まかるがえし》ともタマフリとも呼ばれ、病気や怪我などで死にかけている人や既に死んでしまった人の離れかけた魂魄をもう一度その人の肉体の中に戻してやることです。この能力があったために、物部は太古はこの国を支配し、時代が下って、他の部族に支配されるようになっても、支配者、つまり天皇のお側近くにつかえることができました。天皇家の身分の高い人が死にかけたときに、その離れかけた魂魄を肉体に戻して生き返らせたりすることができたからです。今風にいうならばお医者のような仕事ですね。こうして天皇家の絶大な信頼を得てきたのです。しかも、このタマフリは、人間に限らず、『神』に対しても通用する能力だと思われてきました……」
 古来、晩秋から冬にかけて、太陽の光が弱まるのは、太陽神が死にかけている、つまり、その肉体から魂が離脱しかけているからだと考えられ、その離脱しかけた魂を太陽神の体内に戻すために、物部の神官や巫女《みこ》が中心になって、冬至などの太陽の力が一番弱まる季節に、タマフリの儀式が大々的に行われてきた。これが宮廷の鎮魂祭の元となった。
 この村で毎年行われる大神祭も、まさにこの鎮魂祭である。祭りの初日に行われる「御霊降りの神事」とは、蛇神であると同時に太陽神でもあるこの村の「大神」の魂を呼び戻し、力を与えることである……。
 耀子はそんな話をしてから、
「そして、物部にはもう一つ別の能力があると言われています。それが『転生』と呼ばれるものです。これは、物部の家系の者が、自分の肉体が病や怪我などの損傷などでもはや使い物にならないと悟ったときに、自らの意志で、肉体を脱ぎ捨て、その魂魄を空《くう》に飛ばす力のことです。
 肉体を脱ぎ捨てる脱皮の力とでも申しましょうか。これをやると、はたから見れば、その人は死んだように見えます。ですから、その肉体は火葬され骨となります。でも、本当は死んではいないのです。滅びたのは肉体だけであって、その人の魂魄は生きていて、まだ空をさまよっているのですから。
 そして、やがて、この魂魄は、受精したばかりの卵子を持つ母体を探し出し、その中に侵入します。この受精卵を自らの力で、母体の子宮内に着床させて胎芽《たいが》に、そして、胎児にと育て、これを新しい肉体の衣として生まれ変わるのです。
 この力を転生と呼ぶのです。
 つまり、死人反生が他者を蘇らせる能力なら、転生は自らを蘇らせる再生の能力ともいえます。
 ただ、反生にしてもそうですが、この転生にしても、物部の血を引く者なら誰でもできるかというとそうではないのです。その中でも、血筋的に大神に最も近い者、例えば、お印をもって生まれた日子にしかこの能力はないとされています。
 しかも、この能力をもっていても、この術を用いる際において、生への強い執着をもち、転生したいと強く念じる念の強さがなければ、やはり転生は難しいと言われています。
 魂魄を肉体から解き放つときと、空に解き放った魂魄を母体となる女性の体内に侵入させるときに、すさまじい念の力が必要とされるからです。生半可な念の入れ方では失敗に終わると言われています。
 また、たとえ、受精したばかりの母体を見つけても、魂魄が入り込めるのは、受精卵の間だけなのです。この受精卵が十日ほどして子宮内に着床すると、胎芽という状態になるのですが、この時期では既に遅いとされています。つまり、母体が受精してから十日以内に魂魄を侵入させなければならないのです。
 ただし、かなり高い能力を持つ者ならば、この胎芽となった状態のときでも、稀《まれ》に侵入可能であるとは言われていますが。それでも、胎芽になってから二週間程度以内が限界といわれています。つまり、どちらにせよ、受精してから一カ月以内がぎりぎりの限界なのです。それ以上たってしまえば、最高の能力を持つ者でも、母体への侵入は不可能といわれています。
 さらに、入り込めるのは、母体となる女性が前世の自分にとって血縁者にあたる場合が多いのだそうです。母や娘、姉妹などの、血縁の度合いが濃ければ濃いほど成功率は高いそうです……」
 こうした転生者を見分ける一つの方法としては、転生者が前世の自分と生き写しというほど姿が似ていることがあげられる。
 これは、受精卵の中に入りこんだ魂魄がその記憶を基にして、本来の受精卵がもっていた遺伝子情報を自らの情報に全て書き換えてしまい、その情報に基づいて、胎芽を形作り、胎児にまで育てるからだといわれている。
 ただし、前世の記憶が明確にあるのは母親の胎内にいる間だけで、出生と同時にその記憶は失われる。
 といっても、完全に失われるわけではなく、それは失われるというより封印されるといった方が正しく、生まれ変わった後も、転生者は前世の記憶をとぎれとぎれに覚えており、前世で見知ったものに出会ったときや、ひどく感情が高ぶったときには、既視感や、時には、はっきりとした前世の記憶|覚醒《かくせい》となって現れる……云々《うんぬん》。
「……この能力は日子《ひこ》にしか与えられていないと言いましたが、実は、日女の中にもこの能力をもつ者はいると言い伝えられてきました。ただ、それは文献などには明確に記されていないことなので、伝承の域を出なかったのですが……。
 でも、緋佐子様にはこの能力があったのですね。日登美さんから伺った話では、緋佐子様は若くして病死されたそうです。まだ幼い日登美さんや、この村に残してきたもう一人のお子である聖二さんのことを思えば、安らかに死ねるような心境ではなかったのでしょう。だから、死の間際、あの方は、生への強い執着、二人の子供への強い愛着、そしてこの村にもう一度帰りたいという強い願いが、強力な念となって、転生の術を成功させたのだと思います。
 そして、二十年も空をさ迷ったあげく、ようやく、実娘を母体として生まれ変わったのです。それがあなたなんですよ、日美香様。だから、あなたには、女児でありながら、生まれつきお印があったのですね。お印は日子《ひこ》の証《あか》しであると同時に、転生者の証しでもあると言われていますから……」
「お印が転生者の証し……ということは、まさか、お養父《とう》さんも?」
 日美香ははっとしてそう聞き返した。
「そうです。聖二さんも転生者なんですよ。あの方にとっては曾祖父《そうそふ》にあたる人がやはりお印のある宮司だったのです。この宮司様の写真と肖像画が今も保管されていますが、聖二さんに生き写しです。つまり、この宮司様が死の間際に転生の術を成功させて、自らの曾孫《ひまご》として生まれ変わったということなのです」
「……」
「もっと詳しいことがお知りになりたければ、御本人にお聞きなさい。わたしが、転生について知っているのはこの程度です。聖二さんなら、文献による知識だけでなく、自らが転生者として、多くのことを知っているはずです。それに、あなたが緋佐子様の転生者だと知れば、きっと、誰よりも喜ばれますよ。なぜなら」
 耀子はほほ笑みながら言った。
「あの方は口にこそ決して出しませんが、ずっと心の奥底で、お母様の帰りを待ち続けておられたようですから……」
 
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