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松山着18時15分の死者9-2

时间: 2019-04-27    进入日语论坛
核心提示: 翌九月六日、水曜日。 浦上伸介は『高松アストリアホテル』のシングルルームでゆっくりと朝寝をし、快適に目覚めた。 二重ア
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 翌九月六日、水曜日。
 浦上伸介は『高松アストリアホテル』のシングルルームでゆっくりと朝寝をし、快適に目覚めた。
 二重アリバイの壁は残っているけれど、堀井隆生が間違いなく真犯人《ほんぼし》であることは特定されたのである。
「吉野川上流を走って、高知へ向かう普通列車が、どんなキーを隠しているか、ということだな」
 と、谷田実憲が漏らしたルートを追跡することで、最後の戦いは始まる。
 二階のレストランで、時間をかけて和朝食を食べ、一階のロビーに下りたのが、午前十時半だった。
 約束は十一時少し前ということであったが、例によって、菊池澄子は、もう姿を見せていた。
「叔父の家からこのホテルまで、徒歩で十五分とかかりませんの」
 と、澄子は言った。
 澄子は昨日と同じ、細かい柄物のブラウス・スーツだった。
 浦上と澄子は、広い舗道を歩いて、高松駅へ向かった。
 瀬戸内海は、今日も快晴だった。蒼い空に、いわし雲が浮かんでいる。
 浦上と澄子が乗車したのは、高松始発十一時二十四分の�しまんと3号�である。これは、ちょうど一週間前の犯行日、池田で製材工場を経営する直良とともに松山を発った堀井が、多度津から乗り込んできた、土讃本線高知行きのL特急だ。
 四両連結の気動車は、八分通りの込み方だった。浦上と澄子は、海側のシートに並んで腰を下ろした。
 列車はすぐに高松の市街地を抜け、稲田の中を走った。
 浦上は例のコピー用紙を取り出して、改めて澄子に見せた。
�しおかぜ9号�を利用して松山へ引き返すルートと、�ひかり162号�で東京へ帰るルートの二枚だった。
「美津枝が愛した男性は、こんなに細かい計画を立てる人ですか」
「すべてに、冷たい計算ずくの男です」
 二人はコピーを手にして、そうした会話を交わしたが、後は無言だった。
 多度津で、自由席はほぼ満席となった。
 浦上は、高橋美津枝の生家へ向かった五日前を思い返した。あのとき、堀井隆生の名前はまだ霧の中だったし、もちろん、堀井が�しまんと3号�に乗っていた事実など、知りようもなかったわけである。
 浦上は五日前とは違う目で、山間の風景を見た。
 いくつかトンネルを抜け、渓流にかかる鉄橋を渡ると、右下の林の中に、小さい駅舎が現われた。
「坪尻ですわ」
 と、澄子が説明した。
 五日前に通過したときは、左側に座っていたせいもあって気付かなかったが、それが、普通車がスイッチバックする駅だった。まったく人影がない古い駅舎は、すぐに視野から消えた。
 阿波池田には、予定どおり十二時三十八分に着いた。
 堀井は池田町で、直良の製材工場を見学して、三十三分を過ごしている。
「こっちは、その時間を利用して、昼食《ひる》を済ませますか」
 浦上が列車を降り、跨線橋を渡るときにつぶやくと、
「池田は祖谷《いや》そばが名物です。ええ、駅の構内にも立ち食いのお店があります」
 と、澄子は言った。
 実際に降り立った駅前は、先日車窓越しに見たのより、ずっとにぎやかだった。正面にアーケードの商店街があり、大きいパチンコ店が営業を始めている。
(ここなら、楽にタクシーに乗れるか)
 澄子と並んで駅前を見回していた浦上の視線が、観光案内所の前でとまった。案内所の前がタクシー乗り場になっており、客待ちの空車が、何台もずらりと並んでいる。
 浦上は、川之江ルートのコピーを取り出した。
 松山南署のチェックでは、ここで、四国交通バスを、JRバスに乗り換えることになっている。
 バス乗り継ぎより、タクシー利用のほうが時間を短縮できるのは、自明の理だ。バスの場合は乗り換えに二十一分の待ち時間があるけれど、まず、それが省略できる。
(これかな)
 浦上の目が輝いてきた。
 タクシーを飛ばせば、川之江で、�しおかぜ9号�より早いL特急に乗れるのではないか。
 一本早いL特急を利用できれば、文句なく、犯行時刻に間に合う。
(とりあえず、壁の一つは消えるか)
 浦上はそんなつぶやきをかみ殺して、タクシー乗り場へ行った。
 運転手が三人、タクシーを降りて、たばこをくゆらしながら雑談をしていた。
 三人は、口々にこうこたえた。
「川之江の町ではなくて、駅までかい?」
「所要時間は、バスもタクシーも、そう変わらないよ」
「馬路川沿いの国道192号を行くんだけどね、山道なので、そうそうぶっ飛ばすわけにはいきませんや」
 いくら急いでも、五十分は見なければならない。それが運転手の、話し合いの結論だった。
 阿波池田、川之江、二つの駅での乗り換えに、三、四分は必要だろう。すると、うまくいって五十四分。
 川之江発が、十五時二十九分以降の列車でなければ乗ることができない。しかも、これは、飽くまでも順調に運んでの場合だ。
 山間の国道で、ちょっとしたトラブルでもあれば、計画は大幅に乱れてしまう。完全犯罪を狙う慎重派が採用するルートではない。
 だが、この際だ。他に手段がないのなら、堀井は山越えのタクシーに賭けるしかないか。
 浦上はそう考えながら待合室へ戻ると、澄子の目の前で時刻表を開いた。
 駄目だった。
 わずかだが及ばない。結局は、バスの乗り継ぎと同じことで、利用できるL特急は、�しおかぜ9号�ということになってしまう。
�しおかぜ9号�の前に一本、十六時九分発という松山行きがあるけれども、これは普通なので、松山着が十九時四十四分。問題外もいいところだ。
 重大新発見かと思ったのに、期待は、それこそ一瞬のうちに遠のいてしまったわけである。
(そういうことですか。タクシーが可能なら、地元の刑事《でか》さんたちが、見落とすわけもありませんか)
 内面のつぶやきが、自棄《やけ》気味なものに変わっていた。
 浦上はそうした自分を押し隠すようにして、
「焦点は大歩危です」
 と、澄子に向かって言った。
 祖谷そばの屋台店は、駅構内の右手奥にあった。
 いかにも素朴な味わいのかけそばを食べ終わると、いくらも待たずに、高知行きの発車時間となった。阿波池田始発の普通車は、二両連結だった。
 車内は、がらがらに空いている。
『大王製紙』の岩川が下車した三つ目の駅、阿波川口まで十七分。
 それから後は、目撃証人なしの、空白の時間帯となる。
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