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「みにくいあひるの子」だった私20

时间: 2019-09-22    进入日语论坛
核心提示:悪口が書かれた手紙彼女が犯人だったら、絶対に名乗り出るはずがない。お気に入りの彼女が犯人だなんて、先生なんかにわかるはず
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悪口が書かれた手紙

彼女が犯人だったら、絶対に名乗り出るはずがない。お気に入りの彼女が犯人だなんて、先生なんかにわかるはずがないじゃん……。
私は日ごろのうっぷんを晴らすかのように先生を見やりながら、そう思っていた。
それは、ある日の六時間目の授業が終わり、掃除(そうじ)の時間に起きた出来事だった。
掃除当番の生徒が小さな紙切れを拾(ひろ)った。だれかに宛(あ)てた手紙のような文面で、そこにはM先生に対する悪口が書きつらねられていたという。内容が内容だけに、拾った生徒はそれをM先生のところに届(とど)けた。
私がそのことを知ったのは、翌日のホームルームの時間だった。先生は届けられた紙切れをヒラヒラさせながら言った。
「昨日(きのう)、掃除当番が教室でこの紙切れを拾って届けてきた。ここにはおれの悪口が書いてある。これを書いたものは正直に名乗り出なさい」
私はそれを聞いて、このクラスには私以外にも先生のことをよく思っていない生徒がいたことを知り、思わず心の中でバンザイをした。うれしくてしかたがなかった。
クラス全員の顔を見まわして、それを書いたのがだれか、ほぼ特定することができた。先生にはわからなくても、生徒同士ならわかりあえることもある。
それは、成績もよく、お利口(りこう)で、先生からとくに気に入られていた生徒だった。
「この手紙を書いた者は出てきなさい」
先生は何度も繰(く)り返したが、教室内はシーンとしたままだった。そして、最後にこう宣言した。
「犯人が名乗り出るまで、おれは授業をやらないからな」
そう言い残すや、さっさと教室を出ていってしまった。
「やったー!」
私は思わず大声をあげた。喜んでいるのは私だけだった。ことの重大さに恐(おそ)れをなしたか、みんなうつむいたまま黙(だま)りこくっていた。
先生が教室に来ないのはその日だけかと思っていたが、翌日も、その次の日も教室に姿を見せなかった。小学校は担任の先生がほとんどの教科を教える。その間、臨時で音楽の先生が私たちの授業を見てくれていた。
この先生は私の言うこともよく聞いてくれて、学校でこんな安らぎを覚えたのはひさしぶりのことだった。
M先生が来なくなって四日が過ぎ、このまま音楽の先生が担任になってくれたらいいのにと思うようになっていたころになって、M先生から私に呼び出しがかかった。そのころには、もう、なんで自分が呼ばれたのか、察(さつ)しもつかなくなっていた。
「梅宮(うめみや)、おまえなんだろ、この手紙を書いたのは」
これには愕然(がくぜん)。いきなり落とし穴に突き落とされたような気分だった。
「私じゃありません」
何度も否定(ひてい)したが、信じてはもらえなかった。
私はその手紙の中身を見てはいない。先生から、先生の悪口が書いてあったと聞いただけで、具体的な内容も知らない。その手紙の筆跡(ひつせき)が私のものと似ていたのかどうかもわからないが、この先生はそうしたことをよく調べたうえで私を疑ったのだろうか。
先生が最初に言ったとき、みんなが神妙(しんみよう)な面持(おもも)ちだった中で、私だけがほくそえんでいたから、それが顔色に出ていて、先生はそれを見逃(みのが)さず、私に目星をつけたのかもしれない。
四日も授業に出てこなかったくらいだから、そこにはそうとうなことが書かれていて、先生にとってはすごくショックだったのかもしれない。六年生の二学期で、クラスの中にはほかの中学を受験する生徒もいた。そんな大事なときに先生が授業放棄(ほうき)だなんて、いまなら大問題になっていたはず。
手紙事件はそのままうやむやになってしまったが、先生はいまでもあれを書いたのは私だと思っているに違いない。まったくやりきれない。
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