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歌月十夜74

时间: 2019-11-28    进入日语论坛
核心提示:*s85□志貴の部屋夜の街を散歩したらどうだろう、という事だ。「その通り! 最近なにかと鬱入っちまってるので、ここいらで気晴
(单词翻译:双击或拖选)
*s85

□志貴の部屋
———夜の街を散歩したらどうだろう、という事だ。
「その通り! 最近なにかと鬱入っちまってるので、ここいらで気晴らしをしないとタイヘンだ!」
ベッドから跳ね起きる。
散歩は昼間と決めているけれど、今夜ぐらいは出歩いてもいいだろう。
たまの気晴らし。
ときおりこういう風に反対のことをしないと行き詰まってしょうがない。

「そうと決まれば、今夜はオマエはいらないな」
ナイフを机に置いて軽く上着を羽織る。
武器というのは持ち主の心構えをも武装させるのだろう。
久しぶりに———本当に久しぶりにナイフを手放すと、体はそれだけで身軽になってくれた。
「———さて。ガラじゃないけど夜歩くとしましょうか」
呟いた言葉も軽く、足取りも浮くように、羽のようなステップで夜の街へと飛び出した。
 
□坂
夜は深く、アスファルトを叩く足音は闇に呑まれるように消えていく。
周囲には人影はなく、建物という建物の明かりは途絶えて久しい。
「—————」
闇が濃いせいだろうか。
吐く息はかすかに白く、気温は冬のそれに近かった。

「——————さむ」
肌寒い夜の温度。
けれどそれは不快なものではなく、むしろ綺麗な気がして心を弾ませた。

頭上には真円の月。
擬冬の大気は青い月を硝子のように磨き上げる。

「————————」
もう一度白い息を吐く。
この夜、この完璧な眠りにおいて、余分なモノなど何もない。
つまらない忘却も、噂にすぎない殺人鬼も、メガネを外させようとする死のカタチも、一切合切月の裏側。
□坂
「————————は」
愉快になって鼻歌を口ずさんだ。
シンプルなのはいいコトだ。
なにしろとても解りやすい。
この夜、あらゆる矛盾を無視して素直に素敵に散歩をしよう。
□街路
「—————っと、到着」
鼻歌をやめて足を止めた。
大通りの端には路地裏へ通じる道がある。
これは、いうなれば舞台裏へ続く穴だ。気分がいいので少しだけ顔を出すことにした。

□裏通り
□行き止まり
この路地裏は時折崩れる。
死のイメージが強すぎるせいなのか、直しても直しても壊れてしまうのだろう。
死亡事故が相次ぐ自殺の名所と同じかもしれない。
その、死を引き寄せる磁力というものがあると仮定した場合の話だが。

「———————?」
と、路地裏には先客がいた。
真っ黒い影は、壁にむかってテコテコとちっちゃな体で頑張っている。
「や、また会ったね」
【レン】
「———————————!」
ものすごく驚いたのか、女の子は跳びあがって振り向いた。

「…………………………!?」
「こんばんは。こんな所で会えるなんて奇遇だね。で、さっきからなにやってるの?」
「——————————」
女の子はあたふたと慌てている。
……う。これ以上追及するのは可哀相になるというか、こっちが一方的に大悪人のような気にさせられるというか、それぐらいの慌てよう。

「あ、無理に話さなくていいよ。どうせ明日になれば忘れるんだから、話してくれても意味がない。ごめんね、君は一生懸命やってるのにつまらない質問をしてしまった」
【レン】
 女の子はすまなそうに顔を曇らせる。
……うん。この子は無口だけど、そのかわりに感情がとても分かりやすい。きっと性格が素直なんだろう。自分なんかとは大違いだ。

「そうだ、そんなコトより一緒に歩こうか。いくら静かだっていっても夜なんだから、女の子が一人でいるのは危ないだろ?」
【レン】
「………………………………」
「うーんと、つまり……そうそう、公園に行かないか? あそこなら、きっと月がキレイに見える」

公園という言葉が気に入ったのか、しばし考え込んだあと、
【レン】
【レン】
【レン】
 こくん、と女の子は頷いた。

□公園前の街路
——————そうして、二人して夜歩いた。
 
 女の子は相変わらず無口なので何を話したわけでもない。
ただ気ままに街を歩いて、女の子はこっちの背中に付いてくるだけ。

「そういえば公園のアイスクリーム屋だけどさ、あそこのミントってきつくないか? 抹茶と合わせると丁度いいんだけどね、単体だとどうもいただけない」
なんて、たまに思いついたコトを口にしてみる。
【レン】
「………………………………」
女の子は分かっているのかいないのか、呆れもせずにトコトコと付いてくる。

□公園の噴水前
 噴水に月が映っていた。
ゆらゆらと霞む水面に、自分とあの子の影法師が融けている。
てこてこ。てこてこ。
空を見たり街を見たり。女の子は移り気なくせに行儀良くこっちの足跡を辿ってくる。
「—————ぷ」
その姿がとても微笑ましくて、なんだか子供の頃に戻ったような気がした。

幼いころ、遊びといえば秋葉と連れ立って歩いて、何をするでもなく屋敷に戻るだけだった。けれどそれはなんて退屈で、この上なく幸せな日々だったのか。
……この子と歩いているとそんな何でもない事を思い出して、つい口元が緩んでしまう。

「今夜も迷子なんだね、君」
【レン】
「………………………………」
「だからってこんな時間まで出歩いているのは感心しないな。その、まだ帰る場所は見つかってないの?」
【レン】
【レン】
 ……? えっと、つまり帰る場所は知っている、という事だろうか。
「なんだ、なら話は簡単だ。君が知ってるなら送っていこう。どうせあてのない散歩なんだ、何処へだって付いて行くよ」
【レン】
【レン】
「……ん? 自分の家を知られたくないってコト?」
【レン】
「………………………………」
……よく分からない顔をする。
そうしてこっちを見つめた後、女の子は唐突に膝をついた。

「————!」
地面に倒れようとする女の子へ駆け寄る。
「………………………………!」
が、触れられるのがイヤなのか、女の子は苦しげな呼吸のまま離れてしまった。
【レン】
 かすかに上下している肩。
今にも消えそうな弱々しい呼吸をして、女の子はふるふると首をふった。

「ごめん、何を言いたいのか、よく————」
わからない、と口にした時。
「………………………………」
 
 微かに唇を動かして、本当に、女の子は消えてしまった。

「———————」
急速に眠気が襲ってくる。
見れば、自分の体もあの子のように消えていこうとしている。

「—————なんで」
 薄れていく意識。
いつものように、さっきまで見ていたコトがどうでもいいコトのように忘れさられていくその間。
「—————なんでごめんなさい、なんて」
 言うのか、と。
水面に揺れる月を見ながら、呟いていた。
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