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歌月十夜186

时间: 2019-11-29    进入日语论坛
核心提示:*s228□廊下四階にやってきた。廊下はお祭りの雰囲気に浮き足だった一年生たちや子供連れのお父さん、友人さんご一行できている
(单词翻译:双击或拖选)
*s228
 
□廊下
四階にやってきた。
廊下はお祭りの雰囲気に浮き足だった一年生たちや子供連れのお父さん、友人さんご一行できている他校の生徒やらの来客でごったがえしている。
「うわあ、一年生も頑張ってるなあ……」
各教室の前には凝に凝った看板やら人形やらが散乱していて、いかにも隣りのクラスには負けないっ!という気合がムンムンだ。
それがまた隣のクラスにも伝染しているわけだから、もう尾っぽを呑む蛇のような無限循環を作っている。
「———んー、哀しいかな、やっぱり慣れてないんだろうな」
うむ、熱気はきっと全学年中一番なんだろうけど、いかんせんスキルが足りない。のびのびと自分たちのやりたいコトを追求する二年、卒業間近という事でどこか突き抜けた発想の三年と比べると出し物はどれも無難だ。
はじっこである1−G、一年七組から二組までは喫茶店やゲームコーナーといった定番が並び、最前列である一年一組はというと———
「あ、お兄さん! どうです、寄っていきません!?」
なんて、どこかで見覚えがある男子生徒に呼びかけられた。
「………………」
一年一組の出し物はお化け屋敷。呼びこみの男子生徒はせむし男っぽい格好をしていた。片手にカンテラを持っているあたり、まあそれなりに本格的。
「……それはいいんだけと。あのさ、お兄さんって言い方、止めない?」
「え? お兄さんはお兄さんじゃないっスか。遠野さまのお兄さんっしょ?」
 遠野さまって……秋葉のヤツ、クラスでどんな振る舞いをしてるんだろう? あ、いや、それともこの子が特殊なだけなのかもしれないな。
「で、どうッスか! うちのお化け屋敷、その手の筋に大人気なんすけど!?」
その手の筋、とはどの手の筋だろう。もしかしたら手首の動脈のコトかもしれない。
「いいよ、入ろう。学生一枚」
「いえーい! お兄さんごあんなーい!」
ガランガランと持っていたカンテラを鳴らす男子生徒。……なるほど、カンテラに見せかけた鐘だったらしい。
「あ、ところでさ、君」
「ういっす。なんすか、お兄さん」
「忠告しておくけど、その格好は場違いだ。せむし男ってね、お化けじゃないんだ」
「ええーーーーー!?
そんな話聞いてナイッスーーーーー!」
ガランガランと鳴り響くカンテラ。
……恐ろしいな。こんな調子だと中は常軌を逸しているどころの話じゃないだろう。
だってあの子を呼びこみに起用するあたり、一年一組の生徒はネジがとんでいるってコトだからだ。
 
□お化け屋敷
「———————ぶっ!」
入った途端、あまりのリアルさに腰が引けた。
「な、なに考えてんだこのクラス……?」
さあ、何を考えているんだろう?
床のタイルをわざわざ置き換えて、墓石やら落ち武者やらを配置している時点で大きく狙いが脱線している。
……シャレではじめた事が後に引けなくなり、あれよあれよと混沌の極みまで転がり落ちたいい例か。
 
□お化け屋敷
「出口まであと四部屋……」
妖怪ポストにさげられた表札を頼りに歩く。
このお化け屋敷、隣の開き教室とベランダを通じて連結している為、お化け屋敷というよりはちょっとした迷路に近い。
廊下の端、隣に開き教室と大教室があるという立地条件を生かした離れ技だ。
……こういった大掛かりな出し物には許可は下りない。そもそも一クラスにそれだけの予算が下りない。……下りないのだが、このクラスには無茶を権謀術中で通す転校生がいたのでなんとかなってしまったんだろうなあ……。

お化け屋敷の探索は続く。
暗がりのなか、トラップは絶妙のタイミングで繰り出される。
糸でぶら下げられたコンニャク、
本気で殺すつもりとしか思えない銀紙製のギロチン、
道の両脇、ミイラの首吊り死体(無論生徒が実演)がズラリと二十体ほど並んだ通路、
ドアを開けた途端ベランダに出ていてあやうく地上に落下しかける迷路、
なにかのジョークなのか一家団欒から凄惨な殺し合いに発展する食事風景のコント、
とどめ、道端に倒れている血まみれの死体にはホンキで虫がたかっていたりする。
「……う。これ、たしかに心臓には悪いんだけどさあ……」
恐いというより痛い、というのはコンセプトが間違っていると思う。
とくに左右に首吊り死体がブラブラしていた通路は秀逸と言わざるをえないだろう。
アレは、ヤバイ。
演技だとわかっていても生理的にダメなものはダメ、という事を製作者はよく解っている。
「……あ、やっと出口か」
ポストには次で出口、と案内が出ている。
ここに入ってからなんと三十分。ようやく解放されると気が緩んだまま扉を開けた。
□お化け屋敷
「————なんだ、入り口に戻ってきたのか」
そういえばお化け屋敷ってそういう作りだったっけ。
あとはあの暗幕の奥に行けば廊下に出られるのだが————
…………………………ズ。
 横手の闇から、わずかに物音がした。
……なるほど、安心させて最後に大一番を用意しているというワケか。ますます本格的といわざるをえない。
「—————————」
ごくり、と喉が動く。
なにしろここまで徹底した出し物だ。トリを飾る仕掛けは“解っていても厭”、という物に違いない。
…………………………ズ、ズ。
 物音はさらに踏みこんで止まった。そこから一気に飛び出してこっちを驚かせようというハラか。
「—————————」
……ここまできたら最後まで仕掛けに乗ってやる。
さあ、ここ一番の出し物を見せてみやがれ……!
 
□お化け屋敷
【秋葉】
「ふ、よくここまで辿りつけたわね兄さんっ……!」「————」
あ。一気に冷めた。
「けどそれもここまでにゃ! さあ、摂り殺されたくなかったら畏れおののいてこれからはキチンとした生活を送ると誓うがいいにゃ!」
にゃー、しゅっしゅっ、と両手をネコのようにしてパンチを繰り出す秋葉。
……どのパーツを部分的に拡大しても恐さらしきものは皆無なのだが、どうにも猫又のつもりらしい。
しかもノリノリ。本人はいたくこの姿がお気に入りと見える。
「…………………」
「うふふ、あまりのショックに声もでないというところかしらにゃ!」
ますます嬉しそうにはしゃぐ秋葉。……ショック所は沢山あるのだが、とりあえずそのおかしな口調を教え込んだヤツには後でおしおきをしなくてはなるまい。
「———ごめん、秋葉。一つだけ言っていいか?」
「うにゃ? いまさら命乞いなんて聞いてあげませんけど、とりあえず何ですかにゃ?」
「その、さ。もしかして、その格好気に入ってるのか?」
「——————————」
言われて目をパチクリさせる秋葉。
……そうして、ようやく俺が驚いているのではなく呆れているのだという事に気が付いたらしい。
【秋葉】
「し、失礼ですね……! 私だって好きでこんな格好をしているワケじゃありませんっ! こ、これはあくまでクラスの出し物の一環として協力しているだけなんだから……!」
「そう? そのわりには中々迫真の演技だったけどな、今の」
「そ、それは当然ですっ……! 私は最後の締めを任されたんですから、キチンと驚かせないと意味がないじゃないですかっ」
「———うん。まあ、驚くと言えば、驚いた」
けど、それって遠野志貴限定だろう。
他の人間が今の秋葉を見て驚くかというとはなはな疑問だ。
「な、なんですかその言い方はっ!あのですね、ちゃんと今までの人は恐怖に打ち震えて逃げ出すように外に出ていったんですっ! 兄さんだって、私と面識がなかったら悲鳴を上げて逃げだしていたに決まってますっ!」
「へえ。参考までに訊くけど、今までの人ってどんな反応してたんだよ」
「ええ、皆さん絶句した後で居辛そうに目を伏せて出て行かれたました。ああ、けれど何故かどの人も咳払いを一度していましたね。……不自然ね、アレは一体どうゆう意味だったのかしら」
ぶつぶつと考え込む秋葉。
 ……そうか。誰もが無言で立ち去ったからまだ突っ込みヤツがいなかったというコトか。
「と、とにかく私におかしい所なんてありませんっ! この完璧な猫又姿に茶々をいれるのは兄さんだけです!」
「だな。俺じゃなかったら確かに恐い。———はい、そういうワケでもう一回さっきのポーズ!」

【秋葉】
「しゃあー、食べちゃうにゃー!」
よっぽど練習したのか、即座に反応する猫又秋葉。
「—————————」
【秋葉】
「な、なんですか兄さん、その目は」
「—————————」
いや、この場に翡翠と琥珀さんを連れてこれなかったのが本当に残念だ。
「いや、いいもの見せてもらった。そういうわけで今日一日頑張れよ、秋葉」
「な———! 待ちなさい兄さん、言いたい事があるのならハッキリとですね———」
「はい、もう一度決めポーズ!」
【秋葉】
「男らしくハッキリ言うといいにゃー!」

しゃあー、と恐ろしいというより可愛らしい威圧をする謎の猫又。
その縄張りからあっさりと抜け出して、お化け屋敷を後にした。
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