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歌月十夜187

时间: 2019-11-29    进入日语论坛
核心提示:*s229□廊下さて、待ち合わせの時間まであと少しだ。アキラちゃんが文化祭に遊びに来るこの日、なんとか時間が空けられて助かっ
(单词翻译:双击或拖选)
*s229
 
□廊下
さて、待ち合わせの時間まであと少しだ。
アキラちゃんが文化祭に遊びに来るこの日、なんとか時間が空けられて助かった。
お昼までのわずかな時間だけど、校内を案内するぐらいはできるだろう。

□校門前
 校門は外来のお客さんで溢れかえっていた。
パンフレットを配っている実行委員たちの声も勇ましく、まさにお祭りの始まりといった感じだ。
絶え間なくやってくるお客さんはそのほとんどが私服姿で、まるでデパートのエントランスのように思える。
そんな中、見慣れないセーラー服の女の子がぽつんと一人で立っていた。
「おはようアキラちゃん。もしかして待たせちゃった?」
【アキラ】
「あ、おはようございます志貴さん! いいえ、わたしも来たばかりです!」
弾けるような笑みをうかべるアキラちゃん。文化祭の雰囲気にあてられたのか、元気さもいつもの二倍といった感じだ。
「良かった。あ、でもここまで苦労しなかった? うちの学校はバスが出てないから、地元の人じゃないアキラちゃんには判りづらかったんじゃないか?」
【アキラ】
「そうですけど、場所は解ってましたから迷いませんでしたよー。ほら、だってわたし」
ちらりと上目遣いで見つめてくる。
「……ああ、そういえばそうだったね。うちの学校は二度目だから道に迷うなんて事もなかったわけだ」
【アキラ】
「はい! あの時は驚いてばかりでしたけど、今日はゆっくり志貴さんの学校を見れるんだなって楽しみにしてきました!」
にぱっ、としたまっすぐな笑顔。
そんな顔をされると、こっちもますますホスト役に熱が入るってものだ。
「よし、それじゃさっそく行こうか。と、その前にアキラちゃんは朝ごはん食べた?」
【アキラ】
「えっと、食べたんですけど、こういい匂いがしてると浮気しちゃいそうです」
「だね。んじゃ、ちょっと中に入る前に食べていこうか。校庭で出してる出店はたいていが三年生だから味も保証付きだし、せっかく無料券があるんだから使わないともったいない」
ヒラヒラと飲食店共通の無料券を取り出す。
「たいていの屋台に使えるから、今日は全部おごりだよ。とりあえず一番人気のクレープ屋さんに行ってみようか」
【アキラ】
「あ、はい! ごちそうになりますね、志貴さん!」
 わーい、とばかりに喜ぶアキラちゃん。
まだ午前中という事で店も込み合ってないし、比較的スムーズに食べ歩きができるだろう。
……まあ。唯一つ不安があるとすれば、アキラちゃんを相手に十枚程度の無料券で足りるかという事だけだった。
 
□廊下
【アキラ】
「ふはぁ、もう満腹ですー!」
満足そうに伸びをするアキラちゃん。露店を全て制覇してしあわせいっぱいむねいっぱい。
「うん、いい食べっぷりだった。先輩たちも気に入ってくれてサービスしてくれたしね。おかげで券を使わなかった」
……まあ、自分と中学生のアキラちゃんという組み合わせも良かったんだろう。
アキラちゃんはみんなに好かれるタイプなのか、男女とわずに先輩方に気に入られてたし。
「また帰り際においでってさ。ほら、アキラちゃんが絶賛してた噴水前のやきそば屋さん」
【アキラ】
【アキラ】
「え、ホントですか!? ……あ、けどあそこのお兄さんちょっと苦手でした。だって、しきりにわたしのこと志貴さんの妹かって訊いてたじゃないですか」
「うん? ああ、それは仕方ないと思うよ。遠野志貴に妹がいるっていう話は有名だから、先輩方もそう勘違いしたんだろう」
「……? えっと、それは遠野先輩のことですか?けど遠野先輩は高校生なんですから間違えようがないと思うんですけど」
 ……ああ、そうか。そういえばアキラちゃんは遠野志貴がつい最近まで有間さんの家に住んでいた、という事を知らないんだっけ。
「いや、秋葉のコトじゃない。ちょっとね、遠野志貴にはもう一人形式上だけの妹がいるんだ。まあ、そのあたりは色々と込み入ってるんで機会があったら話をしよう」
「…………はい。それじゃあ、今は訊きません」

持ち前の元気さはどこにいったのか、沈みがちな声でアキラちゃんは頷いた。

□廊下
 三年生の教室を経て、三階にある二年の一角を一通り案内した。
はぐれないようになのかアキラちゃんはぴったりと付いてきて、こっちが話しかけている時以外はピリピリと緊張しているように見えた。
「アキラちゃん、もしかして人込みは苦手?」
【アキラ】
「え、そんなコトはないんですけど……ごめんなさい、やっぱり苦手です。うちは女子高だから、こんなに男の人がいっぱいいるとちょっと恐くて」
「へえ。俺はずっと共学だからそういう風には感じないけど、やっぱりこういうのは新鮮?」
【アキラ】
「そうですね、新鮮と言われればそんな気もします。けどやっぱり不安かな。今は志貴さんがいてくれますから恐くはないんですけどね」
「そっか、保護者としてそれなりに役にたてていて良かった」
【アキラ】
「う……ん、そういうのとはちょっと違うんだけどなあ……」

アキラちゃんは煮え切らない素振りで言葉を切る。
……いつのまにか、教室は二年七組。
あとは階段を上って一年の区画に行くだけになった。

「お、正午前の予鈴だ」
きんこんかんこーん、とおなじみの音が流れる。
じきお昼ですよ、という報せは飲食店に多くのお客さんを呼びこむ事になるだろう。
「まいったな、もうお昼か」
午後になったら教室に戻って手伝いをしないといけない。
その前に、せめてアキラちゃんには一年の教室まで案内してあげたかったのだが。
「どうしようか。まだお腹が減ってないならお昼ごはんは止めて、一年の教室に案内するけど」
【アキラ】
「い、一年生の教室ですか………!?」
? アキラちゃんの声は悲鳴に近い。
「アキラちゃん? 一年の教室になにかあるの?」
「え———いえ、特別な理由なんてないですよ? ただほら、一年の教室というと一年生がいるわけで、そんな中を志貴さんと二人で歩いていたら見つかってしまう可能性があっちゃって、そんなコトになったら遠野先輩がどんなお話をしてくるか判らないワケで……」
取り乱しているのか、アキラちゃんのセリフはおかしい。
「遠野先輩って秋葉のコト? なに、アキラちゃん秋葉に今日の事言ってないのか?」
【アキラ】
「あ……はい。遠野先輩には内緒で来てるんです、わたし。だからその、志貴さんにもわたしが来た事を黙っていてもらわないと困ります」
……? アキラちゃんは秋葉に見つかりたくないらしい。二人は仲の良い先輩後輩だという話だけど、このあたりの事情は依然として謎だった。
「それはいいけど、アキラちゃんは秋葉に招待されて文化祭に来たんだろ? なのにどうて秋葉に知られたくないんだ?」
【アキラ】
「いえ、遠野先輩は何も言っていませんよ」
「そうなのか? それじゃ一体誰が文化祭の事を教えたんだろう」
【アキラ】
「えへへ、実は自分で調べたんです。そろそろ文化祭の季節だから、志貴さんの学校はいつなのかなあって」

……なるほど。フタを開けてみればどうという事はない、当たり前の結論だ。
「それで秋葉は知らないわけか。……しかしそうなると困ったな。午後からは自分の持ち場に戻らないといけないから、この後は秋葉にアキラちゃんを任せようと思ってたのに」
【アキラ】
「わ、わわ、よりにもよって遠野先輩にですかぁ!?」
ありゃ。またも悲鳴のような反応が。
「アキラちゃん? どうしたんだ、秋葉とは仲がいいんだろ? あいつもアキラちゃんに会いたがってたし、一緒に文化祭を楽しめばいいじゃないか」
「そ、そんな恐いこと言わないでくださいっ! わ、わたしなんかが志貴さんの学校に来ているってバレちゃったら遠野先輩容赦してくれませんっ……!」
「よ、容赦しないってアキラちゃん」

「ホントなんですよぅ……! 遠野先輩はやるといったらやる人なんですっ。一度敵とみなしたら情けなんかかけてくれなくて、遠野先輩の中からその人がどうでもいい存在になるまで叩いて叩いて叩き潰す性格なんだって誰だって知ってます!」
「……ああ。まあ、それなら俺も知ってる」
うん、それもイヤっていうほど。
「けどそれとこれとは関係ないだろ。アキラちゃんは遊びにきただけなんだし、なんだってそんなコトで秋葉が怒るんだ? むしろアキラちゃんが来てれば喜ぶと思うんだけど」
そういうわけで、やっぱりアキラちゃんは秋葉に任せたほうがいいと思う。
この人込みのなか、アキラちゃんを一人にさせるワケにはいかないし。
「どのみち秋葉に任せるなら今のうちに行ったほうがいいかな。昼食は三人でとればいいし」
「ひいい、止めてくださいぃぃい! お願いですから遠野先輩のトコに行くのだけは止めてくださいっ!」
 よっぽど秋葉が恐いのか、アキラちゃんはふるふると震えている。
【秋葉】
 ……うわ。アキラちゃんがあんまりにも恐がるから、こっちまで秋葉の生霊が見えてきた。
「……アキラちゃん。そんなに秋葉の所に行くのはイヤなのか?」
【アキラ】
「あ……いえ、遠野先輩がイヤなワケじゃないんです。ホントなら挨拶をするべきだし、先輩自身に先輩の新しい学校を案内してほしいです。けど、それに志貴さんが関わってしまうと話が違ってしまうというか……」
「……よく分からないけど、アキラちゃんは秋葉が嫌いというわけじゃない。いや、むしろ先輩として慕っている。だけどとにかく、今日だけは秋葉に会うわけにはいかないんだね?」
【アキラ】
「は、はいっ! そうなんです、今日だけは遠野先輩に会えませんっ。ですから、もし志貴さんがわたしを遠野先輩のところに連れていっちゃったら、いくら志貴さんでも恨みますから!」

「………………そうか。そこまで言うんなら、仕方がない」
 うん。本当に、仕方がない。
「ごめんアキラちゃん。その、言いにくいんだけど」
【秋葉】
「あら。誰かと思えば意外な顔合わせねえ、瀬尾」
「さっきから、秋葉のヤツがそこにいるんだ」
【アキラ】
「—————え?」
 ぴたり、と。アキラちゃんの震えは、凍りついたように収まった。
【アキラ】
「と、とと、遠野、先輩?」
恐る恐る振り返るアキラちゃん。
【秋葉】
「ごきげんよう。まさか今日という日にあなたに会えるなんて夢にも思わなかった。ええ、ホントウに嬉しいわ」
セリフに相応しく、秋葉はさらりとした笑みを浮かべる。
……それはいいんだけど、なにかふつふつと湧いてくるこの冷や汗はなんだろう……?
「———秋葉」
「なに兄さん? 今はまず瀬尾と話をしなくちゃいけない所ですから、兄さんとの話は後にしたいのですけど」

【秋葉】
【秋葉】
「—————!」
ぞくん、と背筋に悪寒が走る。
……間違いない。秋葉のやつ、表情と感情が正反対だ。慣れている俺でさえ悪寒が走ってるんだから、アキラちゃんなんて蛇に睨まれた蛙みたいなものだろう。
……石になってなければいいんだけど。

「あの、さ。どうして二年の廊下にいるのかな、と。おまえ、自分の教室の出し物に参加してるんじゃなかったのか」
【秋葉】
「ああ、その事ですか? それはですね、いつまでたっても来てくれるべき筈の人が来てくださらなかったから、こうして二年生の廊下まで様子を見に来た、というわけです」
「————そ、それは、その————」
しまった。まず秋葉の教室に行って、その後にアキラちゃんと待ち合わせをするべきだったか———!
【秋葉】
「そういうわけですから瀬尾を借りていきますね。兄さんはお一人で食事でも自分のクラスの手伝いでも、どうぞご自由に」

がしり、とアキラちゃんの首根っこを掴まえて歩き出す秋葉。
【アキラ】
「あ、あわわわ……! ご、ごめんなさい遠野先輩、ほんの出来心なんですぅ……!」

「あら。あなたの出来心というのは随分と用意周到なのねぇ、瀬尾」
ずるずるとアキラちゃんを引きずっていく秋葉。
「な、内緒にしていたわけじゃないんです、ただちょっと、いろんな偶然が重なってたまたま遠野先輩のお耳に入らなかっただけで……!」
「ですから、そういった事も含めて話を聞いてさしあげます。正直あなたがここまでの策士ぶりを発揮できるなんて思わなかったから、なかなか面白そうな話になりそうでしょう? なら立ち話ではなく、誰にも邪魔が入らない場所で話し合いをするべきじゃない?」
ずるずるずる。
秋葉は笑顔のままアキラちゃんを連行していく。
【アキラ】
「ひーん、遠野先輩のおにー! あくまー! ひとでなしー!」
あまりの恐怖に錯乱したのか、アキラちゃんはバタバタと暴れている。
「そう? 重ねて意外ね、私の側に二年もいたあなたがいまさらそんな事に気が付くなんて」

ずるずるずるずる。
本心からの秋葉の呟きが応えたのか、アキラちゃんはぐったりとして抵抗しなくなった。
「………………あ」
二人はそのままいずこかに消えてしまった。
……秋葉の事だから、自由に使用できる空き教室の一つや二つは押さえているんだろう。
流石、次期生徒会会長と目される我が妹。
「———————南無」
両手を合わせてアキラちゃんの無事を祈り、教室に戻る事にした。
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