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ぼくのコドモ時間31

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:五円玉の思い出その五円玉は、ツツツと動いたんです。五円玉は生き物じゃあないんですから、動くわけはありません。動くわけはな
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五円玉の思い出

その五円玉は、ツツツと動いたんです。五円玉は生き物じゃあないんですから、動くわけはありません。動くわけはない五円玉が動いたので、ボクはそれを追いかけた。
すると、その五円玉は、こんどはツツツツツ——と、大幅に動いたんですね。そこでボクはさらにおっとっとという感じで追いかけていったわけです。
当然、五円玉にはエナメル線がつないであって、それを道端にある縁台に座っていた中学生のお兄さんがたぐっていたわけです。それにしても、そのお兄さんだって、ひもつきの五円玉を、こんなにまで�深追い�をするやつはいまい、と思っていたでしょうね。
道に五円玉が落ちている。オヤ? 五円玉が落ちてるぞ、と思って身をかがめようとする、とたんに五円玉が、ツと動きますから、ここでふつうは気がつきます。
ちくしょうかつがれた、というんで、そのかつがれたやつは恥ずかしそうに足早で去る、そこでみんなで、ウヒャヒャヒャヒャひっかかったひっかかった大成功! と言って笑う。というのがお兄さんたちの予定だったと思うんです。
ところがこいつは、三度まで、動く五円玉を追ったんですよ。五円玉はもう思いっきりたぐられて空中でユラユラしてます。ボクと目のあったお兄さんは、バツの悪いような顔をしてるんですね。
これが五円玉の思い出の第一です。ボクはそのころ、小学校の二年生くらいでしたかね、五円玉がほしかったんでしょうね。そのころ五円でどのくらい買い物ができたのか、よく覚えてません。
そのころ、そういえばボクはよくお金を拾うコドモでしたね、といっても落ちているのは、一円玉か五円玉十円玉。そのころ百円はお札でしたし、五十円玉というのもなかったと思う。そんなわけで拾うといっても、少額のものです。それをボクはいちいち交番に持っていくんでした。
十円落としたが届いているか? と交番に申し出る人というのも、さすがに昭和三十年代にだっていないですから、正直言ってお巡りさんもメンドウだったに違いないです。
で、お巡りさんは、とりあえず、あ、いい子だねとか言って、その十円玉を引き出しに入れて、自分のサイフから十円玉をとり出すと、それをくれました。
どうせ最終的には、もらうんだから、いちいち届けることはなかろう、お巡りさんだって忙しいんだから、というふうには考えませんでした。
拾うのは、お金だけじゃなく、ガラスのカケラだのネジだの石ころだの、どういうものかいろいろ拾っちゃあ、半ズボンのポケットに入れて家へ戻る。
「なんだお前は、拾い屋か?」とアキラさんがあきれたような顔をしてバカにしますが、このクセはなかなかなおりませんでした。
もう一つの五円玉の思い出は、もっとコドモの時で、小学校へあがる前だったと思います。台所の引き出しをひっかき回してましたら、重曹《じゆうそう》とかサッカリンとか、輪ゴムとかにまじって、五円玉があるじゃないですか。
〈こりゃあいい〉とボクは思った。で、さっそくそれを握って駄菓子屋の「うさぎ屋」さんに行って、五円分のものを物色して、ハイと代金をわたすと、おばさんがいきなり、
「これは違うよ」と申します。当時、五円玉というのは二種類ありまして、黄銅貨で穴のあるものとないものがあったんですね。で、ボクが引き出しで発見した五円玉は、穴のあいてないほうなんです。おばさんは、穴のあいた五円玉しか知らないのだ、大人のくせに困ったものだ、と小学校にあがる前の坊主頭は考えたんですね。
「これはね、五円玉じゃないの、これじゃ買えないのよ」とおばさんは、少しやさしくさとすように言ったんですね。まったく、知らないというのは困ったものだ。五円玉には穴のあいたのと、あいてないのの二種類あってね、たしかにいまは穴のあいてるもののほうが多いが、これだって、レッキとした五円玉なのですよ。とは、口の回らないボクは言えませんでしたけどね、
〈ああ、この人に教えてあげてもラチがあかない〉と思ったんでしょうね、とにかく自分のほしいものをとると、
「これも五円玉なんですよ! おばさんは知らないかもしれないけどね」と頭の中で言いながら、のしイカの入ったガラスケースの上にパチンとその�五円玉�を置いて、ボクは走って帰ってきてしまったんですね。
夕方、タカコさんが勤めから帰ってきて、
「ノブヒロ、うさぎ屋さんで五十銭で十倍の買い物してきたんだって?」と笑いながら言うんでした。いったい、どこから五十銭玉なんか見つけてきたの? と言って、その五十銭玉をテーブルの上に出したんです。
なんと、一円玉より安いコインというのがあったんですね。それは色も形も穴なしの五円玉にソックリなコインで、これが二枚で、一円になるというんですよ。
アルミのペラペラの一円玉より、ずっとエラそうな格調ある黄銅貨なんですがね、ともかくそれは五十銭玉であって、まちがっていたのはおばさんではなくて、ノブヒロのほうなのだ、とタカコさんは言って、また笑いながらこう言った。
「うさぎ屋さんが、お宅のお子さんはもうとっても強情で、いくら違うと言っても、おこったような顔してて、しまいにはもう、五十銭玉置いて品物持っていっちゃうんでしょう、もうほんとにガンコですよって。もうおかしくて、おかしくて」
その五十銭玉は、あそこの引き出しから見つけたのだ、とボクが言うと、タカコさんは何を思ったのか、同じその引き出しに、それを戻して、夕食のしたくを始めるんでした。おそらくタカコさんは、どうもすいませんねと言って、五円わたして、その五十銭玉を引きとってきたんでしょうね。
ボクは時々、この五円玉のことを思い出して、結局、オレはあんまり変わってないかもしれないな、昔から、と思います。
強情でガンコだから、まちがってるのは自分じゃないか? とは考えないんですね。
昔から、ガンコ者のことを「這っても黒豆」と言いますが、なるほどうまいことを言うなあ、とボクは冷静に思うんですよ。そうか、それで「這っても五円玉」だったのだと。五円玉がツと動き、追うとツツツと動くのは、それが「這う五円玉」なんだということなんでしょう。「這っても五円玉だ!」と眉を上げて、キッとなってる小学二年生の顔をボクは想像して笑います。
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