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ぼくのコドモ時間32

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:ミツエさんのお化粧ボクの家は、お父さんのアキラさんと、その弟のトキヲさんが共同で建てた、いっぷう変わった家でした。玄関を
(单词翻译:双击或拖选)
ミツエさんのお化粧

ボクの家は、お父さんのアキラさんと、その弟のトキヲさんが共同で建てた、いっぷう変わった家でした。玄関を共有にして左右にまったく対称的な間取りを配した、二戸で一戸になったような家だったのです。
アキラさんとトキヲさんは仲のよい兄弟だったのでしょう。そのようにして、長女が両家で同じころに生まれたところまでは、まるで家族構成まで同じの家族が左右対称に住んでいたというわけです。
ミツエさんはトキヲさんの奥さんで、つまりボクにとっては叔母さんになるんですが、思い出にあるミツエさんは、ボクにはどこか、いわば抽象的に�女の人�のような存在でした。ボクが物心つくようになったころ、ミツエさんはトキヲさんと別れてよそへ行ってしまったので、そんなふうに思ったのかもしれません。つまり、ミツエさんとボクは、叔母と甥のような関係で会話したことがなかったのでした。
ところが、ボクには、おそらくもっとも古い記憶に属するころのシーンが、そこだけ割合に鮮明にあって、それがミツエさんにおぶわれて雪の道を歩いているところなんです。ボクは暖かいネンネコにくるまって、ミツエさんの背中にいる。見える景色は夕方の桔梗《ききよう》色に暮れかかった雪景色です。
何があったというワケでもないのに、妙にそのことを覚えているのが、ボクは少しおもしろい気がします。ミツエさんは瓜実《うりざね》顔の少しキツメな美人でした。
母タカコも若いころは、丸顔のかわいいタイプの美人でしたが、これはのちになってアルバムの写真を見て思ったことで、そのころにはもう、さすがにのんきな性格のタカコさんも、生活のリアリズムがかもし出されたオバサン顔になっていて、小学生のボクは少し残念だったと思います。
ボクが小学校の三年生になったころ、姉のチカコと同い年だった純子ちゃんが、そのミツエさんの家のほうで暮らすことになって、引きとられていきました。つまり本当のお母さんのほうへ行った。トキヲさんは新しい奥さんをもらって、そのお母さんと妹がいっしょに暮らしていました。家族構成はずいぶんと変わって、兄弟の対称形の家は、それぞれに違った色あいになりました。実際、建て増しがされたり、庭の趣味などもずいぶんと対照的になっていったりしたものです。
それで、ともかく駒込のほうへ越した純子ちゃんの新しい家、といっても、それはアパートの二階の六畳間でしたが、そこへタカコさんにつれられてボクは行ったわけです。あるいは、ボクは純子ちゃんの新しい家というよりは、ミツエさんの家へ行ったと思っていたかもしれないな、と、突然四十二歳のおじさんとしてボクは思ったりします。
というのも、その日、そこには純子ちゃんがいなかったということもあろうが、ボクが覚えているのは、ミツエさんが鏡台に向かって、一心不乱にお化粧をしている姿だけだからです。
ミツエさんは、水色の色水みたいなものを脱脂綿で顔に塗ったり、白いクリームを指先にとって、顔にプチプチとつけたり、それをグリグリとさせたり、手際よくそうしながらタカコさんと世間話のようなことをおしゃべりしてました。
時々、ノブちゃんは何年生になったか、というようなことをきかれて、ボクは短く「三年」と言って、「三年生です」と言いかえたりしたと思う。そうしてる間もミツエさんは、いま思えばパフというもので、実に思いっきりよく自分の顔をパタパタパタッ、パタパタパタッとはたいているのだった。
ミツエさんは、これから「お店」というところに行くので、そのようにしているので、タカコさんに、ゴメンナサイネエ、こんなふうで、みたようなことを言っているのだ。タカコさんは、イエイエ、でもタイヘンでしょう、夜のお仕事って、ねえ、のようなことを言っている。
まァ、オバさん同士の話なんていうのは、昔もいまも変わりはしないのだ。ミツエさんはこんどは眉毛を描いたりしている。動作が手早くて、キビキビしている。ピカピカ光る口紅のフタをとってクルッと回すと、まっ赤なキレイな色が出てきて、真剣なまなざしで、少し鏡台に顔を寄せる。その時だった。
「あら?」
と意外に大きな声をミツエさんは出して、鏡の中からボクを見たのだ。いやねえ、ノブちゃん、そんな妙な顔をしてじっと見てて、めずらしい? ときくのである。
ボクが黙っていると、タカコさんは笑って、ホラ、あたしがお化粧なんて全然しないでしょ、めずらしいのよ、アハハハと大笑いしている。たしかにタカコさんはお化粧をまるでしなかった。鏡台の置いてあるところが、だいたいからして便所の入口の暗いところである。
鏡台の引き出しには、しかし口紅や化粧水の瓶なども入っていて、姉たちがそれでイタズラをしたりしても、別段叱られたこともなかった。わきの引き出しに人間の毛が、いっぱいいっぱいに入っているのが、不思議な気がしたが、それはカモジだったのだろう。ともかくタカコさんが鏡台の前にいるのは、着物の帯の結び具合を見るくらいな時に限られていたのだった。
タカコさんが笑うのにあわせて、ミツエさんも笑っていた。ボクの記憶は、それがもう三年生の時のことであるっていうのに、その後はタカコさんと二人で、駒込の駅のほうへ、枕木でつくられた柵にそって、ずっと線路際を歩いているシーンばかりだ。
それ以来、ボクはミツエさんには会っていない。その時のことを、ボクは別段深く考えたこともなかったけれども、昔のことを思い出そうとすると、どうしても、自分ではいちばん古い思い出だと思っている、雪の日のミツエさんにおぶさっていた、その青い夕方のことを思い出し、ことのついでにその駒込の、新しい畳の敷かれた一間きりの、ヤケに明るい陽射しが映えていた障子の部屋を、一心不乱に化粧をするミツエさんを、思い出してしまうというわけなのだ。
ボクはいまでも、というか、まァそう意識したもんではないんですが、奥さんがお化粧をしているところを、なんの気なしに見ていることがあって、
「ダメ」とか言われるのです。何がダメなんだか? と思ったりもするワケですけれども、また、
〈たぶん、ダメなんだろうなァ〉とも思ったりするワケでした。
ミツエさんは、やーねえノブちゃん妙なカオして、と言ったけれども、ボクはいったいどんな妙なカオをしていたんだろう? と思ったりして、フフンと笑ってしまうのであります。
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