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笑う茶碗14

时间: 2019-12-05    进入日语论坛
核心提示:じっと手を見る新建材はコマル。たとえば奥さんに、ちょっとここに棚吊りたいんだけどと言われたら、よしきた! まかせとけって
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新建材はコマル。たとえば奥さんに、ちょっとここに棚吊りたいんだけど……と言われたら、よしきた! まかせとけってんだい、というので旦那はトンカチでトントントーンと釘を打って、あっという間に棚を吊って、どんなもんだい、あらタノモシイよォ、うちのシトは、というふうに昔はうまいこといったものだ。
新建材は、そこがそういかない。トントントンと釘を打つと、いつの間にかプス〜ンといきなり釘が利かなくなる。
これは壁紙の下が石膏ボードというもので出来ているためであって、この石膏ボードに釘を利かすためにはアンカーとかいうもので、予め釘の利くようにしないといけない。
それはまァ、わかった、しかたないからそのアンカーとかを使うけれども、このアンカーとかが、むやみにグルグルねじこまなければいけないのである。
力まかせにねじこむ必要があるので汗が出てくるほどである。プロは電動やコンプレッサーの自動ねじ回しを使うから、あっという間に、こんなものねじ込んでしまうが、単なる旦那はそんな機械はないから、手でやるしかない。
やっとの思いでやりとげて、息を切らして、ふと手を見ると、ナンと手の平にマメができて、できたばかりかそのマメが既につぶれている。
そうっとマメの皮をかぶせて、バンソーコーを貼ってくっつけてしまおうと思った。
「そのマメはね、つかないよ」
と、ツマがおごそかに予言した。いったんはがれた皮は、くっつかない。だがその下の皮膚が、すぐに再生するから、しばらくそのままにしておいたほうがいい。
下の皮膚が、ちゃんと「手の平用」に使用可能になった暁に、そのとれた皮を切りとるのがよろしい。
「ついては……」
とツマが居ずまいを正した。その皮を切りとる権利を、私にくれたまい、という。
しんちゃんは、そういう場合に大概早まって、まだ時期尚早のうちにとってしまいたがる。
イラストを描いてる時だって、ちょっと待てばいいのに、まだインキの乾かないうちに消しゴムで下書きの線を消そうとするから、インキを引っぱっちゃって、それを修正するとかって余計な仕事をふやすのだ。
そう、それはたしかにそうである。早く完成の状態を見たいために、いつも失敗する。何年やっても、いまだにそうだ。なるほど、マメの皮も、一刻も早くとってしまいたいタイプだ。
「しかし、そんなことをすれば、いままで痛くないところまで痛くしてしまうので、早まっていいことはひとつもない」
おっしゃる通り! なのである。
それでは、ウチの奥さんは、そういうことがないのか? といえば違う。やはり一刻も早くなんとかしてしまいたいほうだ。
ニキビができた、と見つけるが早いか、つぶしてしまう。つぶすのはイケナイと重々わかっているが、そうできない。
要するに、つぶすのが好きなのだ。マメの皮も同じ、早いとこ、ピッとはがしてしまいたいのである。が、自分のならともかく、旦那のマメの皮なので、痛いうちにはがすのはさすがに憚られる。
それでまァ、万全となったところでなら大イバリではがせるわけで、その権利を「よこせ」ということなのだった。
「勝手にハガしちゃダメ、ハガすのは私ですから、私の許可なしにハガしたりしないように!」
ところが、バンソーコーは、顔を洗ったり手を洗ったりすると、ハガれそうになる。バンソーコーの際のあたりが、黒く汚らしくなる。
イヤだから、ハガして、ついでにマメの皮はどうなったかな? と思って見たりするわけだ。
「オヤ? くっついてるみたいだな、くっついたかな?」
と思って、皮のはしを、ツメで引っかいてみたりしていると、何か視線を感じる。権利保有者が鋭い視線を送っていたのだ。
「イヤイヤ、ハガそうってんじゃない、もうくっついたかなァと思って」
「くっつきません」
そのままにしておれということだった。
私は、私のマメの皮をむく権利を既に譲渡してしまっているのであるから、みだりにマメの皮に触れるのは禁止なのだ。
二日後くらいだったろうか、ツマが、私に椅子をすすめた。まァ座れ、と目顔でいっている。
まァ座った。
と、ツマは一礼して、ツメ切りを、どこからか取り出した。マメの皮を、ピッとハガしたいのは山々だが、夫婦とはいえ一応他人のマメの皮であるから、正式な道具でこれをチョン切ろう、ということであろう。
まるでお相撲の断髪式のようである。私もおごそかな気持で、自分のマメの皮の切られるのを見ていたのだった。
今、手を見ていてこの数日来のことが、脳裏に去来している。
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