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愛してると言わせて04

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:憧れの人この「ベティちゃん」というコラムを続けていると、私のミーハーぶりが際限なく暴露されるようでホントに困るのだが、実
(单词翻译:双击或拖选)
憧れの人

この「ベティちゃん——」というコラムを続けていると、私のミーハーぶりが際限なく暴露されるようでホントに困るのだが、実は私、作家の五木寛之さんにずっと憧《あこが》れていた。
何しろ根が「追っかけ」なもので、OL時代のある日、突然会社の硬式テニス部に入ってしまった。テニス部員がそっと私に囁《ささや》いた一言のせいである。
「牧チャン、会社のテニスコートの隣りのマンション、あそこに五木寛之が住んでるんだって」
この一言で、私はその日のうちに入部した。もともとはヨット部員だったのだが、土日のうち一日はサボってテニスコートに通いづめ。ハッキリ言ってテニスなどどうでもいいのである。毎週通いつめれば、一回くらいは外出する五木さんをお近くで拝見できるかもしれないという、ただそれだけのことである。
まじめにボールなんぞ追っていては五木さんのお姿を見逃すかもしれないと思い、私は足が痛いの手が痛いのと言ってはテニスをせず、いつも審判をやっていた。テニスの審判というのはコートに面した高い高い椅子《いす》に座るので、五木さんのマンションが見えやすい。私は適当にいい加減な審判をしながら、マンションばかり見ていた。
ところが一年間通いつめたのに、五木さんは全然外に出ていらっしゃらない。朝から晩までテニスコートにいるのだから、十回くらいはお見かけしてもいいと思うのだが、一回もない。そんなある日、先の友達が手を合わせた。
「牧チャン、ごめんッ。あのマンション、五木寛之と関係ないんだって。違ったの。ごめんね」
私はその一言で、その日のうちにテニス部をやめてしまった。
あれから十五年ほどたったつい先日、角川書店の編集長から電話があった。
「内館さん、TBSラジオで『五木寛之の夜』っていう番組があるんだけど、知ってる?」
当然知っている。私は日曜の夜中、よくこの番組を聞いていた。
「あの番組にゲストで出てくれないかな。五木さんがテレビドラマでヒットを飛ばしているアナタに来て欲しいっておっしゃってるんだ」
ヒットを飛ばしたのは全くもって私のせいばかりではなく、制作スタッフや出演者によるところの方がずっと大きいのだが、ここでそれを言って相手の気が変わっては困る。私は内心TBSの遠藤プロデューサーやNTVの小山プロデューサー、それに出演者に謝りながら、さも一人でヒットを飛ばしたような顔をして、ある夜、収録スタジオに出かけたのである。
控え室に入るや、五木さんが私を見て立ち上がった。
「初めまして。内館さん、お忙しいところよくいらして下さいました」
私は挨拶《あいさつ》も忘れて、思わず「ワ! 本物の五木寛之だ……」とつぶやき、角川の編集長に上着のすそを引っぱられてしまった。だって、あれだけ通いつめても会えなかった五木さんが、立ち上がるのよ。その上、「内館さん」なんて言うのよ。すごいよねえ。挨拶どころじゃないよねえ。世の中ってホント、希望を持って生きればいつか必ず叶《かな》うものなんだなァって、元追っかけギャルはしみじみと思ってしまった。
そして、収録が始まった。内容はどうやってドラマを発想するかというもので、私も気取って答えたりしていた。ところが、この番組ではゲストが一番好きなレコードを一枚かけるというコーナーがある。五木さんが問われた。
「レコードは何を持ってきて下さいましたか」
「はい。鳥羽一郎の『兄弟船』を」
五木さん、しばし絶句し、そしてやっと口を開かれた。
「それ……演歌ですよ」
「はい。私、鳥羽さんの大ファンで、とにかく演歌が好きなんです」
「ちょっと待って下さい。トレンディと呼ばれるドラマを書いているアナタが……演歌ですか」
「はい。演歌です」
「信じられないなァ。ウソかホントかテストしてみよう。どうして鳥羽一郎っていう芸名か知ってますか」
「はい。鳥羽のご出身だからで、本名は木村っておっしゃるんです」
「じゃ、彼の弟を知ってる?」
「はい。山川豊さん。所属は東芝EMIで、先頃『夜桜』という新曲をお出しになりました」
「おそれ入りました」
で、番組の後半は「ドラマ」だの「人間」だのという話はどこかへ吹っ飛び、ひたすら演歌の話になってしまったのである。五木さんは「艶歌の竜」という人物も書いており、ご自分で作詞もなさるので私ごときとは演歌に対するレベルが違う。それだけに五木さんの演歌論はとびっきり面白く、私は番組ということも忘れて、つい夢中になってしまった。
帰りに五木さんは優しくおっしゃって下さった。
「とても楽しかった。またいつかお声をかけさせて下さいね」
私のミーハーをこんな優しい社交辞令でカバーして下さるなんて……と感激していたら、一か月後、五木さんは本当にまたご自分の番組に呼んで下さったのである。それが九月十二日にNHKのBSで七時間にわたって放送された「五木寛之の世界」の一コーナーである。
私は社交辞令だと決めこんでいた自分を恥じながら、やっぱり世の中って悪くないなァと思っていた。
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