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愛してると言わせて03

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:父親譲りの美学先日、私はデートをした。オシゴトなんか全然関係なく、ホントのデートである。場所は西麻布《にしあざぶ》のひっ
(单词翻译:双击或拖选)
父親譲りの美学

先日、私はデートをした。オシゴトなんか全然関係なく、ホントのデートである。場所は西麻布《にしあざぶ》のひっそりした住宅地にある小さなイタリア料理店。相手は私より少々年下の、これがなかなかカッコいい男なのである。
白い秋の花が一輪さしてある小さなテーブルで、私たちは向かいあった。
「久しぶりだね。元気だった?」
彼が静かな低音で聞く。
「ん、元気よ。ちょっと冷房病で疲れやすいけど」
私はちょっとはかな気に微笑《ほほえ》む。
しばらくたって料理が運ばれてきた。食べている私を、彼は涼し気な瞳《ひとみ》でじっと見つめ、そしてポツンと言った。
「アナタって魅力的だよね」
ウソではない。ホントにこう言ったのである。きっと作り話だと思う人が多いだろうから本当だという証拠に、無断で相手の名前を書いてしまおう。講談社の雑誌「ホットドッグ・プレス」の副編集長のヨシヒサさんである。どうだ、参ったか! と言いたいところだが、実は参ったのは私の方である。私は内心思っていた。
「ヤダわ。ヨッちゃんたらやっと私の魅力に気がついたのね。でも西麻布のこんなひっそりとした店で告白するなんて、さすが『ホットドッグ・プレス』の副編だけあるわ。マニュアル通りってのがいいわァ」
ところが、「魅力的だよね」の後に言葉が続いたのである。
「ホント、アナタって六年前に初めて会った時から全然食べっぷりが変わらないもんね。僕、食わない女って全然魅力感じないタチなんだ。今夜、アナタとメシだって思って、これは二人でバカスカ食うぞって思って、昼から何も食わないで備えていたんだよ。だけど夕方、死にそうに腹減っちゃって、それでもキャラメル一個で飢えをしのいだの。魅力的だなァ、その食べっぷり」
まったく、私の立場はどうなる。冷房病で疲れやすい体と、はかな気な微笑をどうしてくれる。
私は父が「食べ方」に非常に厳格であったため、「きれいに食べる」ということだけは厳しくしつけられた。
「食べ方で育ちがわかるんだよ。嫌いな物は箸《はし》をつける前にそう言って、一度手をつけた物は最後まできれいに食べなさい」
これを小さいときから三六五日言われてきたので、食べ残さない癖がついてしまった。特に魚などを食べ散らかすと「みっともない」と怒られる。幼い女の子にはイワシ、ニシン、サンマなどはやっかいな魚であるが、怒られるよりはマシと、私は細い骨などはみんな飲みこんで、皿の上をきれいにしていた記憶さえある。
この幼児体験のおかげで、ホントに私は今でも食べっぷりがいい。「きれいに食べる」というのは早い話が「全部食べる」のが一番簡単だからである。
かつてOLをやっていた頃、ランチは会社支給の幕の内弁当であった。昭和四十年代半ばであり、今に比べれば相当にひどい内容である。一番ひどいのはゴハンで、アルマイトの弁当箱に洗い米を入れ、弁当箱ごと何千個も一度に炊く。当然、ホカホカふっくらとはいかず、芯《しん》のあるまずいゴハンであった。あげく、現場作業マンもOLも同じ量の弁当が機械的に配られるのである。いわゆるドカベンで、半端な量ではない。OLたちはまずそうに少しずつ食べ散らし、事務の男子社員でさえ残す人の方が多かった。それを私はいつもペロリと一粒残さず食べていたのである。確かにおいしいとは思わなかったが、他のOLのように箸をつきさしていじり回して残すのは、父譲りの美学が許さなかった。でも、あの食べっぷりのおかげで、私は社内結婚ができなかったのだと固く信じている。「あんなに食う嫁サンじゃ食費が大変だ」と敬遠されたに違いない。
西麻布でヨッちゃんと食事してからしばらくたったある晩、今度は脚本家の井沢満さんと夕食を一緒にした。
井沢さんは本当に食が細い。連続テレビ小説を書いている時など心配になって電話をし、何を食べたか聞くことがよくあった。すると言う。
「えーと、今日は苺《いちご》を三粒とコンソメをカップ半分と……あ、それとポッキーを二本」
私はそれが一日の量と知り、仰天して怒鳴ったことがある。
「死んじゃうわよッ。何考えてんのよッ。そこらにある物、今からでも口の中につっこみなさいッ!」
すると彼は言う。
「食べたくないんだよ。大丈夫、点滴打ってるから」
こんな井沢さんと久々に会って食事をしたら、これが人が変わったようによく食べる。苺三粒の男が次から次へと皿をきれいにする。それも私より早く、あっという間にたいらげる。私はすっかり嬉しくなっていた。井沢さんはどの皿もピカピカにして言った。
「そうなんだよ。やっと体調が戻って何でもうまいんだ。もうアナタと対等に食べられるよ」
そして、最後にお茶漬《ちやづ》けが出た時、私は彼の皿に漬け物が手つかずで残っているのに目を止めた。
「これ、ちょうだいね」
私は彼のタクアンを箸でつまみ、サラサラとお茶漬けを食べた。タバコをすっていた井沢さん、ガクッとテーブルに伏した。
「僕、まだまだだよなァ。アナタと対等なんて自惚《うぬぼ》れてたよ。相手の皿に手を出す発想はなかった……」
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