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寝ながら学べる構造主義21

时间: 2019-12-08    进入日语论坛
核心提示:4 音韻論とはどういうものか[#「4 音韻論とはどういうものか」はゴシック体] だいぶ長い迂回《うかい》でしたが、実存主
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4 音韻論とはどういうものか[#「4 音韻論とはどういうものか」はゴシック体]
 だいぶ長い迂回《うかい》でしたが、実存主義との「王座交代劇」の消息をお伝えしたことで、レヴィ=ストロースの思考の根幹をなす倫理的な姿勢はお分かりいただけたと思います。(それは西欧的知性の「思い上がり」に対する厳しい自制というかたちをとります。)
その上で、あらためてレヴィ=ストロースの学問的方法をつぶさに検分してゆきたいと思います。
私たちはまず「音韻論とはどういう学知か」という問いから始めなければなりません。これが分からないと、レヴィ=ストロースの構造人類学の驚嘆すべきアイディアに触れることができません。ですから、しばらくのあいだ、いささか専門的な議論にお付き合い願います。
音韻論(phonology)は、「音素論」(phonemics)とも呼ばれます。それは言語として発された音声は、あるラングの中で、どのようにして他の言語音と識別されるのか、その言語音の差別化のメカニズムを研究する学問です。
例えば、日本語では、[r]と[l]の音は区別しないで使われます。どちらの子音を使って発音しても「ラーメン」を頼めば同じものが出てきます。しかし、逆に英語ではこの二つは示差的に使われますから、「ライス」を頼むと「シラミ」を食べさせられる可能性は払拭《ふつしよく》しきれません。
日本人だって、[r]と[l]が物理音としては別の音であることは、何度も聴かされれば分かります。しかし、日本語ではこれを「区別しない」という「約束」があるせいで、その違いを聴き取り、記憶し、再生することに日本語話者は少なからぬ困難を覚えるのです。
このように、言語音の持つ物理学的・生理学的な性質のうち、どの示差的特徴が有意であり、どの特徴が無視されるかは、それぞれの言語集団内での「取り決め」に基づいています。
フランス語には口腔母音が十二、鼻母音が四あります。ところが、この母音のうちいくつかは最近の若いフランス人はもう聴き分けも再生もできなくなり、すでにいくつかの母音は「消滅」してしまいました。母音の聴き分けが「めんどくさい」と言い出す人たちがふえれば、「取り決め」はあっさり改訂されてしまうのです。
日本語の「鼻濁音」もそうですね。『夜霧よ今夜もありがとう』で石原裕次郎はきれいな鼻濁音で「ぎ」の音を発声していますが、カラオケで歌っている若い人たちのほとんどはこの音を出すことができません。同じ言語集団でも時代によって、聴き取り、発声できる音には変化があるわけです。
このように音の連続体から恣意的に切り取られて、集合的な同意に基づいて「同音」とみなされている言語音の単位を「音素」(phoneme)と呼びます。言語音は発声器官によって発振する空気振動という「アナログ」なマテリアルですから、このかたまりに「分節線」を入れるやり方は理論上無限にあります。事実、生後間もない子どもは成人には発し得ないような非分節的な音声をいくらでも発声できます。しかし、世界中の言語の比較と、子どもの言語習得プロセスの研究から言語学者は意外な事実を学び知りました。それは、人間が言語音として使用している音素のカタログは想像しているよりはるかにこぢんまりしたものだ、ということです。ある言語音について、それが「母音か子音か」、「鼻音か非鼻音か」、「集約か拡散か」、「急激か連続か」……など十二種類の音響的、発声的な問いを重ねると、世界中のすべての言語に含まれる音素はカタログ化できるのです。
「二項対立」の組み合わせをいくつか重ねてゆくと膨大な量の情報を表現できるというのは(コンピュータ世代にとってはなじみ深い)二進法の考え方です。情報量の最小単位である一ビットは「0/1」という一組の二項対立によって、二つの状態を示されます。
「ビット」という概念を理解するには、オン/オフのスイッチのついた豆電球を思い浮かべるのが簡単です。豆電球が一つあると、「点灯している/消えている」という二つの異なった状態、つまり一ビットの情報、「0/1」を表すことができます。
豆電球がAB二つとあると、「ABとも点灯している/Aだけ点灯している/Bだけ点灯している/どちらも消えている」の四つの状態を表すことができます。二組の二項対立によって「00/01/10/11」の四つの状態を示すことができます。これが二ビットの情報。同じようにして、三ビットは八とおり、四ビットは十六とおり、そしてコンピュータ容量の最小単位である一バイトは八ビット、すなわち二百五十六とおりの異なった状態を表すことができます。
言い換えると、世界中のどんな音素体系でも十二の二項対立で表現できるということは、十二ビット、つまり十二回の0/1選択で、この世に存在するすべての音素が特定できるということを意味しています。
さて、レヴィ=ストロースの大胆なところは、二項対立の組み合わせを重ねてゆくことによって無数の「異なった状態」を表現することができるというこの音韻論(とコンピュータの両方に通じる)発想法を人間社会のすべての制度に当てはめてみることはできないのか、と考えたところにあります。レヴィ=ストロースが集中的な検討を加え、みごとな成功を収めたのは、親族制度の分析です。それを見てみましょう。
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