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旅路03

时间: 2019-12-29    进入日语论坛
核心提示:    3中里家は、尾鷲《おわせ》の町の中心にあった。如何にも、代々続いた由緒ある名家らしく、門構えも立派で、趣きがあっ
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中里家は、尾鷲《おわせ》の町の中心にあった。
如何にも、代々続いた由緒ある名家らしく、門構えも立派で、趣きがあった。
この辺の人々は中里の家のことを、�中里のお城�と呼ぶ、まことに城とよぶにふさわしい家構えであった。
肩をすぼめるようにして潜戸を入る伯父のあとから、雄一郎は、のんきな顔でついて行った。
中庭に面した長い廊下を抜け、二人は客間へ通された。部屋は昔ながらの書院風だが、畳に分厚いペルシャ絨毯《じゆうたん》を敷きつめ、その上に黒檀《こくたん》の椅子《いす》とテーブルをでんと置いてあった。
部屋に香を焚《た》き染ませてあるのか、どこからともなく、ふくよかな芳香がただよってくる。
「立派なお屋敷や……」
伯父が眼をまるくして、嘆声をもらした。
「ほれ、その違い棚の上の時計みてみい……ありゃア、舶来やで……戸棚の戸オは螺鈿《らでん》や……ほう、結構なお道具使うてる……腐っても鯛《たい》や……」
そのとき、廊下に足音がしたので、伯父はあわてて居ずまいを正した。
障子が開き、女中がうやうやしく茶菓を捧げ、二人にすすめると、ていねいにお辞儀《じぎ》をして出て行った。
「こりゃア、羊羹《ようかん》やな……上等のもんや、色がなんとも言えんのう……」
雄一郎には当り前の羊羹にしか見えないのだが、伯父はためつすがめつして、ただ唸《うな》るばかりだった。
ふたたび廊下に足音がして、これも紋付に羽織袴《はかま》の、鼻下に髯《ひげ》をたくわえた、かなり恰幅《かつぷく》のいい男が入って来た。
「やあ、ようお出でなした……」
この家の主人かと思い、雄一郎がいそいで立ちあがると、
「こりゃあ、浦辺はん……どうもこの度はえらいお骨折なことで……雄一郎、村会議員の浦辺友之助はんじゃ……」
伯父が二人を紹介した。
「甥《おい》の室伏雄一郎ですねん、何分よろしうお頼申《たのもう》しますがな」
「どうぞよろしく」
「浦辺だす……」
男は鷹揚《おうよう》に会釈を返した。
顔の造作が大きく、おまけに陽焼《ひや》けしているので、あまり品のいい顔立ちとはいえなかったが、いかにも世話好きな人の好さそうなところがある。
「鉄道につとめてなさるいうこってすな」
人なつっこい笑顔をみせた。
「はあ、北海道の手宮駅に居ります」
「手宮……?」
「小樽《おたる》のすぐ近くです」
「はあはあ……」
分ったのか分らないのか、浦辺は曖昧《あいまい》に頷《うなず》いた。
廊下で足音がした。
今度こそ主人かと緊張すると、先刻の女中があらわれ、
「申しわけございません、浦辺様……ちょっと」
浦辺を呼んだ。
「わしか……?」
浦辺が廊下へ出ると、女中が何かひそひそ囁《ささや》いているようである。どうやら、奥で面倒なことが起っているらしい。はっきりとそうは聞こえないが、女中と浦辺の声の調子から、雄一郎はたぶんそうだろうと察した。主人がなかなか現われないのも変である。
ちらと伯父を見ると、彼もはっきり不安そうな表情を浮かべていた。
「どうもどうも……」
浦辺が戻って来た。
さり気無い顔はしているが、明らかに動揺している。
「えらいお待たせして……なんせ、女の人のお化粧ちゅうのは、えらい暇のかかるもんでのう……もうちっと猶予してくれいうこってすわ」
おもむろに煙管《きせる》を取出して煙草を吸いはじめた。
「そらまあ、えらい念の入ったお化粧をしてはるのやなア……」
伯父は雄一郎の気持を引き立てるため、わざと冗談《じようだん》めいた言いかたをした。
「そらそうや、一世一代の見せ場やもんな」
浦辺が笑った。
雄一郎は笑う気になれなかった。
むっつりと、鴨居《かもい》に懸《か》けられた『巧偽不如拙誠』の扁額を見つめていた。
そのうち、伯父も黙り、浦辺は時間を持てあまして、煙草を吸い、灰叩《はいたた》きを鳴らしてはわざとらしく咳《せき》ばらいばかりしていた。
(だから来なければ良かったんだ……貴重な一日を無駄に費《つか》ってしまった……)
しかし、一旦、来てしまったからには、勝手に帰ってしまうわけにもゆかない。雄一郎は次第に苛立《いらだ》ちを感じはじめた。
と、そんな彼の耳に、どこからともなく、優しい琴の音が聞えてきた。
意識的かどうかは分らぬが、重苦しい部屋の空気が、その琴の調べで動きだした。
「ほう、お琴じゃのう……」
伯父の唇《くちびる》に微笑が浮かんだ。
「なにせ、趣味のええ家じゃで……」
浦辺がほっとしたように言った。
雄一郎はじっと琴の音に聴き入った。
 その頃、中里家の奥の居間では、苦い顔をした当主の中里勇介と、これも不機嫌な顔の勇介の母のみちが向い合っていた。
今日の雄一郎の見合の相手、弘子がすっかり化粧もすませ盛装して、すこし離れた部屋の隅で、二人の会話をまるで他人事のように聞いていた。
「それじゃ、お母さんはこの縁談に反対だとおっしゃるんですか」
「反対ですよ……なんですか、尾鷲の中里家ともあろうものが、どこの馬の骨とも知れんような者《もん》と縁組みするなんて……」
「どこの馬の骨やありませんよ、須賀利の網元の、室伏久夫さんとこの甥ごさんです」
「身分違いですよ、あんな漁師あがりの甥っ子なんぞと……第一、弘子がかわいそうです」
「縁組は身分じゃありません、人物さえしっかりしとったら、それが一番です。浦辺さんの話では、北海道で鉄道員しとるということだし、なかなかしっかりした見所のある男だということです」
「仲人口なんぞ、あてになりませんよ」
「ですから、今日、逢《お》うてみるんじゃありませんか」
勇介は噛《か》んでふくめるように言った。
「それも、見合というような固苦しいのと違って、気易く、顔見て話してみたらどうやということにしてあるんです。お母さんは二言目には身分違いとおっしゃいますけど、弘子が今日まで縁談がまとまらなんだのは、お母さん、あんたが高のぞみなさるからです……昔の中里家なら、それでもよろしいかもしれんが……お母さんも知っての通り、今の家はお父さんの時の全盛と違って、いろいろと苦しいのです、それを、お母さんも考えて下さらないと……」
「なに言うてるんや……」
みちは、きっとした。
「この家の内情が苦しうなったのは、みんなあんたの落度です、あんたに甲斐性《かいしよう》がないよってに、性悪《しようわる》の番頭にあんじょうまるめられてしもうて……」
「わたしはわたしなりに努力はしています……そんなことより弘子の縁談……」
「弘子は不同意ですよ」
みちは横を向いてしまった。
「お母さん……」
勇介は弘子を見た。
弘子は先刻と同じように、まるで他人事のような顔で着物の袂《たもと》をなぶっていた。
それまで緩やかだった琴の調子が、急に高くなった。
「うるさいのう……」
眉根に皺《しわ》を寄せて、みちは足音荒く障子を開けた。
「こんなときに悠長らしく琴なんぞ弾きくさって……」
みちは廊下へ甲高い声を張りあげた。
「有里《ゆり》……有里、やめんか……有里……」
ふっと、琴の音が跡絶えた。
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