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旅路16

时间: 2019-12-29    进入日语论坛
核心提示:    16母と姉と共に、津軽《つがる》海峡を渡って本州へ帰って行った有里のあとを追うようにして、雄一郎は彼女へあてて手紙
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    16

母と姉と共に、津軽《つがる》海峡を渡って本州へ帰って行った有里のあとを追うようにして、雄一郎は彼女へあてて手紙を書いた。
恋文というには、あまりにそっけない、ごく普通の手紙だった。
折りかえして有里から返事が来た。これも愛とか恋とかいう表現の何一つない、さりげない文章であった。
その中に、雄一郎は押さえた有里の愛を見るような気がした。なによりも、すぐ返事をくれたことが、彼女の愛の証のような気がした。
雄一郎と有里の手紙の交換は、ひんぱんに海峡を往復した。
正月になって間もなく、有里からの手紙に、今後、私宛の手紙を左記宛にお願いします、この場所は、いつか、あなたを竹の林へ御案内したおじいさんの家です。私を本当の娘のように可愛がってくれている人ですから、けっして御心配なさらないでください、と書いてあった。
雄一郎は自分と有里との文通を、中里家が喜んでいないことをさとった。
だが、障碍《しようがい》にぶつかって、二人の心は一層強く結びついた。
雄一郎は前より以上に竹林の老人へあてて、有里への手紙を書き送った。有里からも間をおかず、返事があった。
大正十五年春。
雄一郎は手宮駅から再び塩谷駅へ移り、出札掛を拝命した。
勤務の比較的楽な駅へまわして、少しでも勉強の余裕をあたえようという南部駅長の思いやりからであった。雄一郎は来年の春、信号構内掛の資格試験を受ける予定だった。
勤務が終り、家へ帰って来ても、雄一郎は夜おそくまで勉強を続けていた。
そんな或る日、疲れた頭を休めるため、囲炉裏端《いろりばた》でぼんやり爪《つめ》を翦《き》っていると、それを待ちかねていたように、はる子が傍へ来て坐った。
「ちょっと話をしてもいいかしら……」
「なんだい……?」
「これ、見てごらん」
はる子は、ちゃんと表装された写真を雄一郎の前に置いた。
「なんだい、これ……」
「駅長さんの奥さんがわざわざ持って来てくださったのよ」
「…………」
南部駅長の妻の節子が、近ごろ、雄一郎の嫁さがしに奔走しているという噂《うわさ》を彼もそれとなく耳にした。
中里弘子との縁談がこわれたことを知って、俄《にわか》に思い立ったことらしかった。が、有里を想う雄一郎には、迷惑な気がした。
「ねえ、見るだけでもみてごらん」
「いいよ、そんなもの……」
「でも、せっかく持って来て下さったんじゃないの、このあいだもそんなこと言ってお断りしてしまったし、奥さんに申しわけないでしょ」
「いやだ……」
雄一郎はきっぱり言った。
はる子はちょっとたじろいだ様子で、雄一郎を見ていた。人一倍礼儀正しいはずの雄一郎が、折角節子が持って来た写真に一瞥《いちべつ》もくれないということは珍《めずら》しい。
(これには何か理由《わけ》がある……)
はる子はすぐ、或ることに思い当った。
「雄一郎……あんた、好きな人がいるんでしょう」
「そんなもん……居らん……」
雄一郎の眼に狼狽《ろうばい》が走った。
「嘘《うそ》、知っとるよ、姉ちゃん」
「かまかけても駄目《だめ》だよ」
「じゃ、言ってあげようか、その人の名前……」
「姉さん……」
「ずいぶん手紙たまっとるんでしょう……」
はる子の眼がやさしく笑っていた。
「いいのよ、別にお節介やいてるわけじゃないの……あの人はいいひとだし……、姉ちゃん、はじめて逢ったときからそう思った……。紀州でのお見合が、妹さんのほうだったら良かったのになあって……」
「姉さん……」
雄一郎は俯《うつむ》いた。
「雄一郎、あんた有里さんをお嫁さんに欲しいんでしょ、有里さんなら嫁にもらいたいって考えているのね」
「…………」
「はっきりしなさい、男じゃないの、好きなんでしょう、有里さんが……」
「好きだ……」
雄一郎はぼそりと言った。
「そう……やっぱりそうだったのね」
「姉さん」
「有里さんはいい人でも、お母さんがああいう方だもんね。弘子さんとの縁談だってあんな拗《こじ》れかたをしてしまったし……、それを、又、あらためて妹さんのほうを戴きたいといっても、おいそれとねえ……」
「俺もそう思ってる……まず、望み薄だな」
「あんた、ひとごとみたいにいうけれど、諦めきれるの?」
「あきらめられないんで困ってるのさ……」
「あきれた人ね」
あまり正直な雄一郎の返事に、はる子は思わず苦笑した。
「ま、姉ちゃんに任せなさい。駄目かもしれないけど、いっぺん尾鷲の伯父さんに頼んでみるわ」
「まず、駄目だな」
「何もしないうちから弱音を吐くな、この大飯ぐい!」
はる子が南部駅長の口癖《くちぐせ》を真似たので、雄一郎の表情がゆるんだ。
その夜、はる子は須賀利《すがり》にいる伯父にあてて、長い手紙を書いた。
はる子は正直に、伯父に雄一郎の気持を打明け、彼と有里が手紙を交換し、愛情を育てていること、他の縁談に見向きもしないことなどを述べて、はなはだ勝手ではあるが、弘子との見合は無かったことにして、あらためて有里との縁談を中里家に申し入れてもらえないかと相談した。
この手紙は、数日を経て須賀利の伯父の許《もと》に届いた。
はる子や雄一郎が心配したように、伯父も手紙にひととおり眼を通すやいなや、首をひねった。
「これは面倒なことになったのう……」
久夫は妻のかねに手紙を見せた。しかし、これも一読するなりむずかしい顔をした。
「どんなもんじゃろうなあ、中里はんへ行ったもんかのう……」
「ほんになあ……」
かねは深い吐息をついた。
「ま、ほんまのことをいえば、この前の中里はんのやりかたはあんまりや、わざわざ、函館まで迎えに来さしておいて、雄一郎はんが気にいらんから断るいうのは、なんぼ金持か知らんが人を馬鹿にしとるわ」
かねはこの前きたはる子の報告で中里家のことをまだ憤っていた。
「しかし、中里はんでは、雄一郎が気に入らんのやのうて、小樽へ住むのんがいやや言うとるんや」
久夫が取りなし顔で言った。
「そんなもん、どっちかておんなしですわ、仲に立った浦辺はんもいうとりましたわ……、なんや、中里はんの奥さんは、最初っから弘子はんを雄一郎はんにやる気イが無かったんやと……」
「ありゃ、弘子はんがはっきりせなんだがいけなかったんや」
「けど、あんた、弘子はんはもう齢《とし》やで……今まで、どの縁談もあかなんだのやさかい、うちのような身分違いと見合しはったんや。けど、お有里はんは誰にでも好かれる働きもんや、どこというて難はなし、あの人やったら嫁はんにしたいちゅう人が、よおけにおるやろう……」
「そうじゃのう……」
久夫が溜息《ためいき》をついた。
「そんな人を、うちらがもらいに行っても、ようおくれんわな」
「そいでも、はる子はんの手紙では、お有里はんは雄一郎を好いとるようじゃいうて来とるが……」
「うん、そう書いてはあるが、ほんまかいな……」
「ま、折角こうして頼んで来てるんやさかい、無駄とは思うが、一度浦辺はんに話してみようかいの」
「そうやなあ、まあ、あかんやろとは思うけどなあ……」
かねも、雄一郎と有里の縁談に関してはあまり気乗りがしない様子だった。
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