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日本むかしばなし集84

时间: 2020-01-19    进入日语论坛
核心提示:ものいうカメむかし、むかし、あるところによいおじいさんがありました。お正月が来るので、もちをつきたいと思いましたが、貧乏
(单词翻译:双击或拖选)
ものいうカメ

むかし、むかし、あるところによいおじいさんがありました。
お正月が来るので、もちをつきたいと思いましたが、貧乏《びんぼう》だったので、もちをつく米がありません。
(でもまあ、きねだけでも作っておこうか。)
そう思って、ある日のこと、裏山《うらやま》へ出かけました。ちょうど手ごろの木を切って、それできねを作りました。
日暮れまえ、やっと、一本のきねができましたが、考えてみれば米もないのに、なんで年をとったらよいでしょう。それで思わず、
「もちつくきねは切ったれど、
なんで年をとろうや。」
と、うたいました。すると、向こうの方で、
「アワ(粟)んでグツグツ、
米んでグツグツ。」
と、いうものがあります。へんなことをいうやつがあると思うと、もう一度、
「もちつくきねは切ったれど、
なんで年をとろうや。」
と、うたってみました。と、また向こうで、
「アワんでグツグツ、
米んでグツグツ。」
というのが、聞こえます。
「へんなことをいってるなあ。いったい、どんなやつだろうか。」
と、そのへんを一生けんめいになって、さがして行きますと、清水《しみず》のわいている向こうがわに、一ぴきのカメがちょこんとすわって、それが、
「アワんでグツグツ、
米んでグツグツ。」
と、いっております。
「はは、こんなやつがいっているのか。」
と、それをつかまえて、村の庄屋《しようや》のだんなのところへ持って行きました。
「庄屋さま、庄屋さま、おもしろいものをお目にかけましょう。このカメは、ものいうカメでございます。」
すると、庄屋のだんなが、
「そうか、それでは、ひとついわせてみい。」
と、いいました。
それでおじいさんが、さっそく、
「もちつくきねは切ったれど、
なんで年をとろうや。」
と、やりますと、カメがあとをつけて、
「アワんでグツグツ、
米んでグツグツ。」
と、やりました。
「なるほど、これはめずらしいカメじゃ。」
庄屋のだんなはそういって、おじいさんにおもちをつくお米を、たくさんくれました。
それで、このよいおじいさんはもちをついて、正月を待つことができました。
ところが、となりによくないおじいさんがありました。この話を聞くと、自分もひとつお米をもらって来ようと思い、すぐ裏山《うらやま》へ行ってうたいました。
「もちつくきねは切ったれど、
なんで年をとろうや。」
と、向こうで、
「アワんでグツグツ、
米んでグツグツ。」
と、いうものがあります。
「うまいうまい。」
と、喜んで、うたってはさがし、うたってはさがしますと、やはり清水のわいてる向こうがわにカメがいて、アワんでグツグツをやっていました。
さっそく、それをつかまえて、庄屋のだんなのところへかけつけました。
「だんな、だんな、わたしも、ものいうカメを持ってきました。」
「そうか。それでは、ひとついわせてみい。」
「はい、はい。もちつくきねは切ったれど——」
よくないおじいさんは、すぐ、このようにやってみました。しかし、カメは、うんともすんともいいません。
それで、何度も「もちつくきねは——」と、くりかえしてみましたが、やはり、何度やってもいいません。しまいには、庄屋が、
「これ、じいさん、早くいわせんか。」
と、おこりました。
「はいはい、もちつくきねは——」
じいさん、汗《あせ》を流してやりましたが、カメは、やっぱりいいませんでした。
それで、とうとう庄屋のだんなにひどくしかられて、泣《な》き泣きうちへ帰りました。
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