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日本むかしばなし集107

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:源五郎《げんごろう》の天のぼりむかし、源五郎という男がありました。あるとき、川で、ふしぎな太鼓《たいこ》を拾いました。こ
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源五郎《げんごろう》の天のぼり

むかし、源五郎という男がありました。あるとき、川で、ふしぎな太鼓《たいこ》を拾いました。この太鼓は、
「鼻高《たこ》うなれ。」
そういって、ポン、ポン、ポンと、たたくと、鼻が高くなりますし、
「鼻低うなれ。」
そういって、ポン、ポン、ポンと、たたくと、鼻が低くなります。まったくふしぎな太鼓です。
——これはべんりなものを拾った。
と、思って、源五郎は、その太鼓を持って、仲間をひとりつれて旅に出かけました。
ある村につきました。美しい娘《むすめ》さんが、道を通っているところを見かけて、源五郎は、娘さんに聞こえないように、
「鼻高《たこ》うなれ。」
と、ささやいて、ポン、ポン、ポンと、やりました。
すると、それまできれいだった、そのおじょうさんが、きゅうに鼻が高くなってしまいました。大へんなことになったものです。
娘さんは、この村の長者《ちようじや》の娘でした。長者のおとうさん、おかあさんは、大へん心配し、なんとかして、娘の鼻をなおしたいものと思い、お医者《いしや》さんをたのんでみたり、お坊さんをよんできたり、神主《かんぬし》さんをおむかえしたり、いろいろやってみましたが、その鼻ばかりは、どうすることもできません。
長者の一家は、なげきかなしみました。そこへ、源五郎の仲間が、神主に化《ば》けて、お祈《いの》りをしにやってきました。
お祈りをすませると、もっともらしい顔をして、
「これは、なんともむずかしい病気《びようき》で、神主でも、坊主でも、医者でも、なおすことのできない病気です。だから、ひとつ、むすめさんの鼻をなおした人には、のぞみほうだいのお金をやると、はり札をなすってみたらどうですか。」
と、すすめました。長者の主人は、
——今となっては、そうでもするほかはあるまい。
と、考えて、村のつじつじに、はり札を出しました。
ころあいを見て、源五郎は、
「鼻の療法《りようほう》、鼻の療法。」
と、長者の家の前を、ふれて歩きました。
これを聞いた長者の家では、
——どんなものかわからないが、とにかく、よんで見てもらおう。
ということになって、
「鼻なおしさん、鼻なおしさん。」
と、家によびいれました。
源五郎が、娘さんの鼻を見ますと、まるで天井《てんじよう》へとどくほどに、高くなっております。
「こう高くなってしまった鼻では、なかなか、きゅうにはなおりませんが、気ながにやれば、なおらないことはありますまい。」
そういって、もったいぶった声で、
「鼻低うなれ、鼻ひくうなれ。」
と、となえて、ゆっくりと、太鼓を、ポン、ポン、ポンと、たたきました。すると、鼻も、すこし低くなっていきました。
こうして、毎日、すこしずつ鼻を低くして、十日ばかりかかって、やっと、もとのとおりにいたしました。親たちも、ひじょうに喜んで、お礼に、たくさんのお金をくれました。
源五郎と仲間のふたりは、ほくほくもので、旅もやめて、家に帰り、のんきに遊んでおりました。
そのうち、ある日のこと、源五郎が、野原に寝《ね》ころんで、そばで、れいの仲間に太鼓をたたかせて、
「鼻高うなれ、鼻高うなれ。どんどん、どんどん、高うなれ。」
そういいながら、遊んでおりました。ところが、あんまり太鼓をたたいたので、鼻は、山よりも高くなり、さらに、雲よりも高くなり、とうとう、天の上の天軸《てんじく》というところにとどいてしまいました。
ちょうどそのとき、天軸では、大工《だいく》さんが、天《あま》の川《がわ》に橋をかけておりました。そこへ、下から、へんなものが、ニョキ、ニョキと、のびてきたので、大工さんたちは、めずらしいものがのびてきたと、さっそく、大工道具で、しっかりと、天の川の橋のぎぼし(らんかんの柱の頭につけるかざり)に打ちつけてしまいました。
そのうち、源五郎と仲間は、
「鼻を高くするのは、もう、このくらいでやめて、もとどおり、低くしよう。」
ということになって、
「鼻低うなれ。」
といって、太鼓を、ポン、ポン、ポンと、たたきだしました。ところが、鼻の先は、天軸の橋に打ちつけて、しっかりとめてありますので、鼻は低くなりますが、さがってはこず、からだのほうが、ぎゃくに、天《てん》にのぼっていきました。
ずんずん、ずんずん、からだが、天にのぼっていくばかりです。
「あれ、あれっ!」
と、わめいているまに、もう、天の川の橋のらんかんまで、ひきよせられてしまいました。
ちょうどそのとき、そこを、雷《かみなり》さまが通りかかっておりました。
源五郎を見ると、
「うん、これは、いいところへ人間がきた。おれのてつだいになってくれ。」
そういって、源五郎の鼻を、橋のぎぼしからはずしてやって、つれていきました。
源五郎は、とうとう、雷さまのてつだい人にされてしまいました。毎日、雨をふらせたり、黒雲を空に広げたり、水をまいたり、お天気にしたり、雲よせをしたり、ゴロゴロ、ピカピカやったりなど、するわけでした。
ところが、ある日、どうしたはずみか、源五郎は、足を雲からふみはずして、下界《げかい》へ、スポーンと落ちました。落ちたところが、ちょうど、近江《おうみ》の琵琶湖《びわこ》という湖だったので、その水の中へ落ちて、あっというまに、こんどは、フナになってしまいました。
いまでも、琵琶湖に、源五郎ブナという大きなフナがいるそうですが、それが、この源五郎のなったフナだということです。
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