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日本むかしばなし集112

时间: 2020-01-30    进入日语论坛
核心提示:浦島太郎むかし、北前《きたまえ》の大浦《おおうら》というところに、浦島太郎という人がいました。八十に近いおかあさんと、ふ
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浦島太郎

むかし、北前《きたまえ》の大浦《おおうら》というところに、浦島太郎という人がいました。八十に近いおかあさんと、ふたりで暮らしておりました。浦島太郎は、漁師《りようし》でした。まだ、おかみさんがなかったので、おかあさんが、いつも、いいいいしておりました。
「太郎よ。わたしがじょうぶなうちに、早く、およめさんをもらっておくれ。」
それを聞くたびに、浦島太郎は、
「わたくしは、まだ、かせぎがたりませんから、およめさんをもらっても、食べさせることができません。おかあさんのたっしゃなあいだは、このまま、ひとりでおるほうが、よろしいです。」
といって、およめさんをもらいませんでした。
やがて、おかあさんは八十をこし、浦島太郎は四十にもなりました。秋のはじめのころでした。北風が、毎日毎日ふいて、漁にも出られない日が、何日も何日もつづきました。漁がないと、お金がはいりません。お金がはいらないと、おかあさんを食べさせることができません。
——あすこそは、天気になるだろう。そうなれば、漁に行けるが……。
と思って、やすみました。夜あけ前、ふと目がさめましたので、空もようを見ますと、いつになく空が晴れていました。
「やれやれ。やっと、きょうは……」
と、浦島太郎は、すぐにしたくをして、小舟に乗って出かけました。
ところが、東のほうがあかるくなるまで、つってもつっても、魚一ぴきとれません。
——これは困ったな。きょうも、おかあさんに、お米のごはんがさしあげられぬのか。
と、心配していましたが、お日さまが、東の海から顔をぬっと出したころ、大きな魚が、えさにくいついた手ごたえがありました。そら来たと、力を入れて糸をあげてみますと、えさをくったのは、大きなカメでした。カメは、浦島太郎がつり針をはずしても、両手を舟べりにかけて、なかなか逃げようとしません。浦島太郎は、
「タイかと思ったら、おまえは、カメじゃないか。おまえがおると、ほかのさかなが、えさにつかぬ。とっとと、早く、どっかへ行ってくれ。」
そういって、カメをさしあげて、遠くのほうへ投げこみました。そして、また、糸をおろしてつりはじめました。ところが、また、つってもつってもつれません。じりじりしていますと、やっと、お昼まえになって、大きな魚がえさにくいついたようです。そら来たと、あげてみますと、こんどもまた、朝がたのカメでした。
——あれほど、よそへ行くようにいっておいたのに、また、かかった。よくよく、きょうは、運のわるい日だな。
と、浦島太郎は、腹《はら》をたてたり、なげいたりしましたが、たとえ一ぴきでもつりあげないでは、家《いえ》に帰るわけにいきません。じっとしんぼうして、それからまた、いっしんにつっておりました。すると、日ぐれがた、またしても、カメがつれました。こんどは、浦島太郎も、すっかりおこってしまって、カメを、できるかぎり遠くへ、力をこめて投げこみました。
しかし、もう日が暮れてしまったのです。どうすることもできません。しかたなく、舟《ふね》をこいで、村のほうへ帰っていきました。すると、向こうのほうから、一そうの大きな船がやってきました。
——見たこともない船だな。どっから来たのだろう。どこへ行くんだろう。きっと、遠い国から遠い国へ行く船なんだな。
浦島太郎が、そう思いながら、なおも、舟をこいでいきますと、その大きな船は、浦島太郎のところまで来て、ぴたりととまりました。そして、船頭《せんどう》が出てきて、
「浦島太郎さん、浦島太郎さん。」
と、よびかけます。
「なんのご用ですか。」
と、浦島太郎が聞きますと、
「わたくしは、竜宮《りゆうぐう》の乙姫《おとひめ》さまのお使いです。主人、乙姫さまが、あなたを、竜宮へご案内するようにと申しました。どうか、この船に乗って、竜宮へおいでください。」
と、船頭がいいます。けれども、浦島太郎は、
「わしが、その竜宮とやらへ行ったならば、あとに残ったおかあさんが、どうして暮らしていけましょう。母《はは》は、もう八十です。だから、おかあさんのたっしゃなあいだは、せっかくながら、どこへも行くことはできません。」
と、じたいしました。
「いやいや、おまえのおかあさんは、なに不自由なく暮らせるようにしてあげます。とにかく、この船にお乗りください。」
と、船頭が、しきりにすすめますので、浦島太郎も、つい、その船に乗りこんでしまいました。
船は、浦島太郎を乗せると、やがて、なにかこう、霧の深くたちこめたところに、はいっていくようでしたが、まもなく、りっぱな御殿《ごてん》の見える竜宮の門につきました。そこへ、乙姫や侍女《じじよ》たちが、きれいな着物を着て、たくさんの魚といっしょに、美しい音楽が聞こえる中を、むかえに出てきました。
「浦島太郎さん、よくおいでくださいました。」
と、大歓迎《だいかんげい》をうけました。
毎日毎日、大へんなごちそうが出ました。はじめは、ほんの三日ばかり、と思ったのですが、浦島太郎は、毎日、音楽を聞いたり、おどりを見たりしているうちに、つい、三年の月日がたってしまいました。
ある日、浦島太郎は、乙姫に、
「乙姫さま、乙姫さま。長いこと、おせわになりましたが、くにに帰りたくなりました。母のことが心配で心配で、ちょっと、帰らしていただけませんか。」
と、そう、おねがいしました。すると、乙姫は、おくりものとして、三かさねの玉手箱《たまてばこ》というのを、浦島太郎にあたえて、こういいました。
「浦島太郎さん、困ったときには、この箱をおあけなさい。」
やがて、浦島太郎は、大きな船に乗せられて、その故郷《こきよう》までおくりとどけてもらいました。
さて、浦島太郎は、故郷に帰ってみますと、山のかたちもちがっているし、丘《おか》の木もなくなって、なかには、枯《か》れているものもあります。
——三年しか、るすをしなかったのに、これは、どうしたことであろう。
そう思いながら、じぶんの家のほうへやっていきますと、あるわらぶきの家で、ひとりの老人が、わらしごとをしておりました。そこへはいっていって、浦島太郎は、
「わたくしは、もと、このへんにいた者ですが、浦島太郎という人が、やはり、このへんにいたのですが、ごぞんじありませんか。」
すると、おじいさんは、
「そうじゃな。おれのおじいさんのおじいさんのころに、その浦島太郎とかいう人がいて、なんでも、竜宮とやらに行ったという話を聞いたことがあるがの。そのころ、みんな、きょう帰るか、あす帰るかと、何年《なんねん》も待ったそうじゃが、ついに、帰ってこなかったということじゃ。」
「それで、その浦島太郎のおかあさんは?」
「そのおかあさんなどは、もう、とっくのむかしに、死んでしもうたわい。」
「では、そのおかあさんのお墓《はか》は?」
おじいさんからおそわって、浦島太郎は、母の墓をたずねて行きました。見ると、その墓は、木の葉にすっかりうずもれていて、何代も何代もむかしの墓だということがわかりました。
それから、こんどは、わが家のほうへ行ってみました。ちょうずばちの石や、庭のふみ石などはそのままありましたが、ほかには、家もなければ、木さえもなくて、やっと、家のあとだということだけがわかりました。
しあんにあまって、浦島太郎は、乙姫からもらった三かさねの玉手箱を、ふところから出しました。そして、まず、いちばん上の箱のふたを開けてみました。すると、そこには、ツルの羽《はね》がはいっておりました。つぎの箱のふたを開けてみますと、中から、ユラユラッと白い煙《けむり》があがって、その煙で、浦島太郎は、いっぺんに、おじいさんになってしまいました。頭はしらが、あごには白ひげ、腰のまがったおじいさんになってしまいました。第三の箱を開けますと、中には、鏡《かがみ》がはいっていました。鏡を見ると、自分が、すっかり、おじいさんになったことがわかりました。
——ふしぎなことだ。
と、鏡を見ながら、思っていますと、さっきのツルの羽が、風にふかれて、舞いあがったように見えましたが、やがて、それが、大きな鳥のつばさになり、浦島太郎の背中《せなか》にはりつきました。そして、浦島太郎は、一羽のツルになってしまいました。
ツルは、空へ飛びあがって、しばらく、おかあさんの墓のまわりを飛んでいました。ちょうどそのとき、乙姫は、カメになって、浦島太郎を見るために、そこの浜へはいあがったということです。
ツルとカメとが、舞《まい》をまうという伊勢音頭《いせおんど》は、このお話からおこったものだそうです。
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